早期離床・リハビリテーション加算とは?2026年度の算定要件・施設基準・PT/OT/STの役割

制度・実務
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  1. 早期離床・リハビリテーション加算とは?2026年度の算定要件
  2. 対象となる治療室|ICU・HCU・SCU・PICU等の5区分
    1. 一般病棟での早期リハビリテーションとの違い
  3. 算定要件|入室後48時間以内の開始と4つの確認事項
    1. ①患者を評価し、具体的な支援計画を作成する
    2. ②入室後48時間以内に取り組みを開始する
    3. ③チームによる定期評価を行う
    4. ④取り組み内容と実施時間を記録する
  4. 算定できる・できないケースの判断
    1. ベッド上運動だけで48時間要件を満たすか?
  5. 14日上限の考え方|転室・再入室時は算定歴を確認する
    1. ICUからHCUへ転室した場合
    2. 退室後に再入室した場合
  6. 疾患別リハビリテーション料との同日算定は不可
  7. 施設基準|早期離床・リハビリテーションチームの構成
    1. 医師の経験要件
    2. 看護師の経験・研修要件
    3. PT・OT・STの5年以上の経験要件
  8. チームの兼務・プロトコル・届出様式
    1. 複数の治療室でチームを兼ねる場合
    2. 早期離床・リハビリテーションのプロトコル
    3. 疾患別リハビリテーション料の届出
    4. 届出様式は「様式42の3」
  9. PT・OT・STの役割|運動・呼吸・嚥下・生活機能を評価する
    1. ICU-AWの評価
    2. FSS-ICUによる基本動作評価
    3. 医療機器使用中の離床判断
  10. 記録例|48時間以内の開始・チーム評価・実施時間を残す
    1. 架空症例の記録例
  11. 院内運用フロー|対象治療室の確認から算定まで
  12. 算定時に間違えやすい6つのポイント
  13. よくある質問
    1. Q1.早期離床・リハビリテーション加算は何点ですか?
    2. Q2.入室後48時間以内に立位や歩行を行う必要がありますか?
    3. Q3.ベッド上運動を実施すれば48時間要件を満たしますか?
    4. Q4.呼吸器リハビリテーション料と同日に算定できますか?
    5. Q5.PT・OT・STの全員をチームに配置する必要がありますか?
    6. Q6.回復期リハビリテーション病棟での勤務経験は5年要件に含められますか?
    7. Q7.ICUからHCUへ転室した場合、14日間を再起算できますか?
  14. 次の一手|48時間以内の開始と同日算定を点検する
  15. 参考文献
  16. 著者情報

早期離床・リハビリテーション加算とは?2026年度の算定要件

早期離床・リハビリテーション加算は、救命救急入院料や特定集中治療室管理料などを算定する治療室で、入室後早期から多職種による離床・リハビリテーションの取り組みを行った場合に評価される加算です。2026年度の点数は500点/日で、入室した日から起算して14日を限度として算定します。

算定には、対象治療室の施設基準の届出、早期離床・リハビリテーションチームによる評価と計画作成、入室後48時間以内の取り組み開始、定期評価、実施内容と時間の記録が必要です。

結論:PT・OT・STが早期にリハビリテーションを実施しただけでは、本加算を算定できません。対象となる入院料と施設基準を確認し、多職種による一連の取り組みを実施する必要があります。また、同一日に所定の疾患別リハビリテーション料を算定することはできません。

ICUでの評価・離床手順も確認する

本記事では診療報酬上の算定要件を中心に解説します。実際の評価や離床判断については、ICU-AWとMRC-SSの評価、FSS-ICUの評価方法、CHDF・CRRT中の離床プロトコルも参考にしてください。

早期離床・リハビリテーション加算の基本事項(2026年度)
項目 内容
点数 500点/日
算定期間 入室した日から起算して14日を限度
取り組み開始 入室後48時間以内
対象入院料 A300、A301、A301-2、A301-3、A301-4
必要な体制 医師・看護師・PT、OTまたはSTを含む早期離床・リハビリテーションチーム
主な取り組み 患者評価、計画作成、48時間以内の開始、定期評価
記録 取り組み内容と実施時間等を診療録等に記載
同日算定 所定の疾患別リハビリテーション料は算定不可
届出様式 様式42の3

500点は疾患別リハビリテーション料の1単位当たりの点数ではありません。早期離床・リハビリテーションに関する多職種の取り組みを評価する加算です。

対象となる治療室|ICU・HCU・SCU・PICU等の5区分

早期離床・リハビリテーション加算の対象となる入院料は、救命救急入院料、特定集中治療室管理料、ハイケアユニット入院医療管理料、脳卒中ケアユニット入院医療管理料、小児特定集中治療室管理料の5区分です。

実際の算定では、各入院料の注に定められた要件と、該当する施設基準への適合・届出を確認する必要があります。

早期離床・リハビリテーション加算の対象入院料
区分番号 入院料 治療室の例
A300 救命救急入院料 救命救急センター等
A301 特定集中治療室管理料 ICU
A301-2 ハイケアユニット入院医療管理料 HCU
A301-3 脳卒中ケアユニット入院医療管理料 SCU
A301-4 小児特定集中治療室管理料 PICU

上表は対象となる入院料の区分を示したものです。実際の算定には、該当する入院料の注に定められた条件と、治療室ごとの施設基準への適合・届出が必要です。

特に小児特定集中治療室管理料では、医師の経験要件などに小児集中治療に関する取扱いがあります。成人ICUの施設基準を、そのままPICUに当てはめないようにしてください。

一般病棟での早期リハビリテーションとの違い

一般病棟で発症・手術後早期にリハビリテーションを開始しても、それだけで本加算の対象にはなりません。

本加算は、所定の治療室における多職種の早期離床・リハビリテーション体制と取り組みを評価するものです。

一方、疾患別リハビリテーション料に関連する早期リハビリテーション加算、初期加算、急性期リハビリテーション加算は、対象や算定方法が異なります。

算定要件|入室後48時間以内の開始と4つの確認事項

算定上の中心となるのは、早期離床・リハビリテーションチームと治療室スタッフが連携し、患者の状態に応じた総合的な取り組みを行うことです。

まずは、以下の図版で算定までの流れを確認してください。

早期離床・リハビリテーション加算の算定フロー。対象治療室の確認、チームによる評価と計画、入室後48時間以内の開始、継続評価と記録、500点・14日上限・同日算定制限を整理した図
図:早期離床・リハビリテーション加算の算定フローと要点(2026年度)。対象治療室、チームによる評価・計画、48時間以内の開始、定期評価・記録、算定期間を確認します。

図版は算定の流れを把握するための概要です。実際の請求では、対象入院料ごとの施設基準と、患者ごとの算定要件を確認してください。

実務では、次の4項目を確認します。

  1. チームによる患者評価と具体的な支援計画の作成
  2. 入室後48時間以内の計画に基づく取り組み開始
  3. チームによる定期的な評価
  4. 取り組み内容と実施時間等の診療録への記載

①患者を評価し、具体的な支援計画を作成する

早期離床・リハビリテーションチームは、患者の状態を把握・評価したうえで、治療室の職員とともに具体的な支援方策を計画します。

評価・支援の対象には、運動機能、呼吸機能、摂食嚥下機能、消化吸収機能、排泄機能などが含まれます。

計画は、関係学会の指針等に基づいて作成します。単に「離床実施」と記載するだけでなく、患者の状態に応じた取り組み内容を明確にすることが重要です。

②入室後48時間以内に取り組みを開始する

患者を診療する医師、看護師、PT、OT、ST、臨床工学技士等が、早期離床・リハビリテーションチームと連携し、入室後48時間以内に計画に基づく早期離床の取り組みを開始します。

48時間の起点は、対象となる治療室への入室です。発症時刻や手術終了時刻から一律に計算するものではありません。

また、48時間以内に必ず立位や歩行を達成するという意味ではありません。医学的安全性を評価したうえで、患者の状態に応じた取り組みを開始します。

判断のポイント:48時間以内に「何らかのリハビリテーションを行った」という事実だけでなく、チームと連携し、作成した計画に基づく早期離床の取り組みを開始したことを確認します。

③チームによる定期評価を行う

早期離床・リハビリテーションチームは、計画に基づいて行われた取り組みを定期的に評価します。

集中治療中の患者は、呼吸・循環状態、覚醒状態、活動能力などが短期間で変化します。開始時の計画を固定せず、患者の状態に応じて内容を見直すことが重要です。

④取り組み内容と実施時間を記録する

評価、計画作成、早期離床の取り組み、定期評価等の内容と実施時間について、診療録等への記載が求められます。

院内では、入室日時、開始日時、担当職種、患者の反応などを併せて管理すると、算定要件との照合がしやすくなります。

ただし、院内で管理する補助項目のすべてが、通知で個別に義務づけられた記録項目という意味ではありません。

算定できる・できないケースの判断

早期離床・リハビリテーション加算は、対象治療室に入室していることだけで自動的に算定できるものではありません。

患者ごとの取り組み開始時期、計画、実施内容、算定期間、同日算定の制限を確認します。

早期離床・リハビリテーション加算の算定判断例
ケース 判断 確認事項
ICU入室後24時間で、計画に基づく取り組みを開始した 算定候補 施設基準、チームの関与、定期評価、記録等も確認
ICU入室後24時間でベッド上運動を行った 内容による 計画に基づく早期離床の取り組みとして実施したか確認
入室後72時間で初めて取り組みを開始した 48時間要件を満たさない 開始日時と実施内容を確認
医学的に離床が困難であった 個別確認 実際に計画に基づく取り組みを開始できたか確認
PTが介入していない日 一律には判断できない 多職種による取り組みの実施状況と算定要件を確認
同日に呼吸器リハビリテーション料を算定した 同日算定不可 点数表に定められた併算定制限に該当
入室日から14日を超えた 当該算定期間の上限超過 入室日と算定歴を確認

「算定候補」は、すべての算定要件を満たすことを保証するものではありません。実際の請求では、対象入院料、施設基準、実施内容、算定歴を併せて確認してください。

ベッド上運動だけで48時間要件を満たすか?

ベッド上運動を実施したという事実だけで、48時間以内の開始要件を満たすと一律に判断することはできません。

通知では、早期離床・リハビリテーションチームと連携し、計画に基づく早期離床の取り組みを開始することが求められています。

したがって、実施した運動の目的、患者の状態、チームの計画との関係を確認する必要があります。

また、医学的な理由で立位や歩行が困難な患者についても、単に「歩けなかったから算定不可」と判断するのではなく、実際に行った取り組みが要件に該当するかを確認します。

14日上限の考え方|転室・再入室時は算定歴を確認する

早期離床・リハビリテーション加算は、入室した日から起算して14日を限度として算定します。

この14日は、PT・OT・STが実際に介入した日数を14日分まで数えるという意味ではありません。点数表に定められた入室日を基準とする期間制限です。

ICUからHCUへ転室した場合

ICUからHCUへ転室した場合、転室先も早期離床・リハビリテーション加算の対象となる入院料に含まれます。

ただし、対象となる治療室間を移動したことだけで、新たな14日間を自動的に算定できると判断してはいけません。

転室前後の入院料、加算の算定歴、入室日、関連通知・疑義解釈を確認してください。

退室後に再入室した場合

退室後に再入室した場合も、再入室を理由に14日間の算定期間が必ず再起算されるとは限りません。

転室・再入室の状況によって確認すべき条件が異なるため、すべてのケースに共通する再起算の取扱いを一律に断定することは避けます。

院内では、患者ごとの入退室履歴と算定歴を管理し、判断が難しい場合は最新の通知・疑義解釈を確認してください。

疾患別リハビリテーション料との同日算定は不可

早期離床・リハビリテーション加算では、同一日に所定の疾患別リハビリテーション料を算定できないことが点数表に明記されています。

これは、一般病棟等で疾患別リハビリテーション料に関連して算定する早期リハビリテーション加算や初期加算と混同しやすいポイントです。

早期離床・リハビリテーション加算と同日算定できない疾患別リハビリテーション料
区分番号 診療報酬
H000 心大血管疾患リハビリテーション料
H001 脳血管疾患等リハビリテーション料
H001-2 廃用症候群リハビリテーション料
H002 運動器リハビリテーション料
H003 呼吸器リハビリテーション料
H007 障害児(者)リハビリテーション料
H007-2 がん患者リハビリテーション料

同日算定できないことと、医学的に必要なリハビリテーションを実施してはいけないことは別です。

患者の状態に応じて必要な介入を行い、請求は診療報酬上のルールに沿って判断します。

施設基準|早期離床・リハビリテーションチームの構成

本加算を算定するためには、所定の経験を有する医師、看護師、PT・OT・STのいずれかを含む早期離床・リハビリテーションチームを設置する必要があります。

以下は、特定集中治療室管理料等の施設基準に示された主な職種要件を整理したものです。小児特定集中治療室管理料などでは個別の要件があるため、実際の届出では該当する治療室の施設基準を確認してください。

早期離床・リハビリテーションチームの主な職種要件
職種 主な要件
医師 集中治療に関する5年以上の経験を有する専任の医師
看護師 集中治療を必要とする患者の看護経験5年以上があり、所定の研修を修了した専任の常勤看護師
PT・OT・ST 所定の医療機関で5年以上の経験を有する専任の常勤PT、OTまたはST

PT・OT・STの3職種すべてを必ず配置するという要件ではありません。所定の経験を有するPT、OTまたはSTが必要です。

医師の経験要件

医師には、集中治療に関する5年以上の経験が求められます。

小児特定集中治療室管理料では、小児の特定集中治療に関する経験年数を確認する取扱いがあるため、成人ICUと同一の条件として扱わないようにしてください。

看護師の経験・研修要件

看護師には、集中治療を必要とする患者の看護経験5年以上と、所定の研修修了が求められます。

施設基準では、集中治療を必要とする患者の看護に係る適切な研修が定められています。研修の名称だけでなく、実施主体、内容、修了状況を確認してください。

届出では、研修を修了したことが確認できる文書等の提出が必要です。実際の添付資料は、最新の届出様式と記載要領に従って準備してください。

PT・OT・STの5年以上の経験要件

PT・OT・STの経験要件では、単に免許取得後5年以上であることだけを確認するのでは不十分です。

施設基準通知では、特定集中治療室等を有する保険医療機関での経験が5年以上であることが求められます。

ただし、特定集中治療室等を有する保険医療機関での経験が5年に満たない場合は、回復期リハビリテーション病棟に専従で勤務した経験と合わせて5年以上であっても差し支えないとされています。

経験年数を確認する際は、次の内容を区別してください。

  • 特定集中治療室等を有する保険医療機関での勤務経験
  • 回復期リハビリテーション病棟に専従で勤務した経験
  • 勤務先の対象入院料の届出状況
  • 勤務期間と専従・専任の区分
PT・OT・STの経験年数の確認例
勤務経験 確認すること
特定集中治療室等を有する病院で5年以上 所定の経験年数を満たすか確認
対象施設で3年+回復期リハ病棟に専従で2年 通算5年以上として取り扱えるか確認
一般病院での勤務経験のみ5年以上 対象施設の届出状況を確認。勤務年数だけでは判断しない
回復期リハ病棟に勤務したが専従ではなかった 専従経験として計上できるかを確認

上表は勤務歴の確認方法を整理した例です。実際の届出では、施設基準通知と様式42の3の記載要領に従って判断してください。

チームの兼務・プロトコル・届出様式

複数の治療室でチームを兼ねる場合

同一保険医療機関に複数の特定集中治療室等が設置されている場合、早期離床・リハビリテーションチームが複数の治療室を兼ねることは認められています。

ただし、各治療室で必要な取り組みが実施できる体制を確保することが前提です。

医師・看護師の兼務については、患者の診療や看護に支障がないことなど、施設基準で定められた条件を確認してください。

早期離床・リハビリテーションのプロトコル

施設基準では、早期離床・リハビリテーションに関するプロトコルの整備が求められます。

また、実施状況等を踏まえて、プロトコルを定期的に見直す必要があります。

院内プロトコルでは、次の項目を整理すると実務に活用しやすくなります。

  • 対象患者の抽出方法
  • 入室後の評価と計画作成
  • 離床開始前の安全確認
  • 段階的な活動内容
  • 実施中止・再評価の判断
  • 医師・看護師・PT・OT・ST等の役割分担
  • 記録方法と定期評価

これらは院内プロトコルを設計するための例であり、すべてが通知に列挙された独立の算定要件という意味ではありません。

実際の離床開始・中止基準は、患者の医学的状態、主治医の判断、関係学会の指針、院内プロトコルに従って設定します。

疾患別リハビリテーション料の届出

特定集中治療室管理料等の早期離床・リハビリテーション加算では、所定の疾患別リハビリテーション料の施設基準に係る届出が求められます。

対象となる主な届出は、次のいずれかです。

  • H000 心大血管疾患リハビリテーション料
  • H001 脳血管疾患等リハビリテーション料
  • H003 呼吸器リハビリテーション料

これらの施設基準の届出が必要であることと、早期離床・リハビリテーション加算を算定する日に疾患別リハビリテーション料を請求できることは別です。

同日算定の制限を必ず確認してください。

届出様式は「様式42の3」

早期離床・リハビリテーション加算の施設基準届出には、別添7の様式42の3を使用します。

届出では、対象となる入院料、チーム構成員、経験年数、研修修了状況、プロトコルの整備状況などを確認します。

提出時には、管轄する地方厚生局が公開している2026年度の最新様式と記載要領を確認してください。

厚生労働省|令和8年度診療報酬改定について

PT・OT・STの役割|運動・呼吸・嚥下・生活機能を評価する

早期離床・リハビリテーション加算は、歩行練習だけを評価する制度ではありません。

通知では、運動機能、呼吸機能、摂食嚥下機能、消化吸収機能、排泄機能等の維持・改善・再獲得に向けた総合的な取り組みが示されています。

PT・OT・STが関与する評価・支援領域の例
領域 評価の視点 支援例
運動機能 筋力、関節可動域、基本動作、活動耐容能 段階的な離床、座位・立位・歩行練習
呼吸機能 呼吸状態、酸素化、呼吸仕事量、活動時反応 呼吸状態に応じた活動調整、呼吸理学療法
認知・高次脳機能 覚醒、注意、指示理解、せん妄等 活動環境の調整、作業活動、コミュニケーション支援
摂食嚥下機能 嚥下機能、口腔機能、食事に関する状態 多職種による嚥下評価、食事再開に向けた支援
排泄機能・排泄ADL 排泄状況、移動・移乗、姿勢保持 排泄動作の評価、環境調整

上表は多職種による臨床的な関与の例であり、すべての患者に全項目の実施が義務づけられているという意味ではありません。

ICU-AWの評価

集中治療領域では、筋力低下や活動能力の低下を把握し、介入内容を調整することが重要です。

ICU-AWの評価では、患者の覚醒状態や指示理解を確認したうえで、MRC-SS等の評価を検討します。

詳しい評価方法は、ICU-AWとMRC-SSの評価方法をご覧ください。

FSS-ICUによる基本動作評価

FSS-ICUは、集中治療室における基本動作能力を把握するための評価指標です。

患者の状態に応じて、寝返り、起き上がり、端座位、立ち上がり、歩行などの動作能力を評価する際に活用できます。

評価手順は、FSS-ICUの使い方と評価方法で整理しています。

医療機器使用中の離床判断

人工呼吸器、持続血液浄化療法、点滴ライン、ドレーン等を使用している患者では、医療機器の管理と離床時の安全確認が必要です。

離床の可否は、医療機器の有無だけで判断せず、患者の全身状態、機器の設定、ラインの固定状況、治療上の制限などを多職種で確認します。

実務上の確認事項は、CHDF・CRRT中の離床プロトコルや点滴・ライン管理中の離床手順を参照してください。

記録例|48時間以内の開始・チーム評価・実施時間を残す

診療録等には、早期離床・リハビリテーションチームの評価、計画、取り組み、定期評価の内容と実施時間等を記載します。

院内では、制度上必要な記録と、算定管理のための補助項目を分けて整理すると確認しやすくなります。

早期離床・リハビリテーション加算の記録確認表
項目 確認内容
入室情報 入室日時、対象となる入院料
評価・計画 患者の状態、機能評価、支援方策、チームの関与
開始時期 入室後48時間以内の取り組み開始
実施内容 計画に基づく取り組み、実施時間
定期評価 状態の変化、介入内容の見直し
算定確認 14日上限、同日算定制限、算定歴

架空症例の記録例

症例設定:ICU入室後、医学的状態が安定し、段階的な離床を開始した患者

入室:10月1日 14時00分

チーム評価・計画:10月2日 9時00分。医師、看護師、PT等で全身状態、呼吸機能、覚醒状態、運動機能を確認。ベッド上での活動から端座位へ段階的に進める方針とした。

取り組み開始:10月2日 10時00分。計画に基づき、患者の状態を確認しながら基本動作への介入を開始。

実施内容・時間:呼吸・循環状態を確認しながら、ベッド上での活動と端座位練習を実施。実施時間20分。

患者の反応:実施中の全身状態に大きな変化なく終了。次回は活動耐容能と端座位保持能力を再評価する。

定期評価:チームで実施内容と患者の反応を共有し、活動段階の見直しを検討する。

この記録は記載方法を考えるための架空例です。実施時間20分は算定に必要な一律の最低時間を意味しません。また、この記録だけで施設基準や算定要件をすべて満たすことを保証するものではありません。

院内運用フロー|対象治療室の確認から算定まで

早期離床・リハビリテーション加算の運用では、施設基準と患者ごとの算定要件を分けて管理することが重要です。

  1. 対象治療室の確認:算定している入院料がA300、A301、A301-2、A301-3、A301-4のいずれかに該当するか確認する。
  2. 施設基準の確認:チーム構成員の経験・研修・勤務体制、プロトコル、届出状況を確認する。
  3. 患者の評価:入室後早期に患者の状態と各種機能を把握する。
  4. 計画の作成:チームと治療室スタッフが共同して具体的な支援方策を決める。
  5. 48時間以内の開始:医学的安全性を確認し、計画に基づく取り組みを開始する。
  6. 定期評価と記録:実施内容・時間・患者の反応を記録し、計画を見直す。
  7. 算定確認:14日上限、転室・再入室時の算定歴、疾患別リハビリテーション料との同日算定制限を確認する。

このフローは院内で確認漏れを減らすための整理例です。実際の運用では、各入院料の施設基準通知と院内プロトコルに合わせて調整してください。

算定時に間違えやすい6つのポイント

早期離床・リハビリテーション加算の主な確認漏れ
間違えやすい点 確認方法
一般病棟で早期リハビリを行えば算定できる 対象治療室の入院料と施設基準の届出を確認する
PTが離床を実施すれば算定できる チームによる評価・計画・開始・定期評価・記録を確認する
48時間以内に歩行を達成する必要がある 計画に基づく取り組みを48時間以内に開始したか確認する
500点と疾患別リハビリテーション料を同日に請求できる 同日算定不可の規定を確認する
PT・OT・STの3職種すべてが必要 所定の経験を有するPT・OT・STのいずれかの配置要件を確認する
ICUからHCUに移れば14日を再起算できる 転室前後の算定歴と関連通知を確認し、自動的な再起算を前提にしない

よくある質問

Q1.早期離床・リハビリテーション加算は何点ですか?

2026年度は500点/日です。所定の治療室に入室した日から起算して14日を限度として算定します。疾患別リハビリテーション料の1単位当たりの点数ではありません。

Q2.入室後48時間以内に立位や歩行を行う必要がありますか?

48時間以内に計画に基づく早期離床の取り組みを開始することが求められます。すべての患者に立位や歩行の達成を一律に求めるものではありません。患者の医学的状態を評価し、安全性を確認して取り組みます。

Q3.ベッド上運動を実施すれば48時間要件を満たしますか?

ベッド上運動を行った事実だけでは、一律に判断できません。チームと連携して作成した計画に基づく早期離床の取り組みとして実施されたかを確認する必要があります。

Q4.呼吸器リハビリテーション料と同日に算定できますか?

できません。H003呼吸器リハビリテーション料を含む所定の疾患別リハビリテーション料は、本加算と同日に算定できないと定められています。

Q5.PT・OT・STの全員をチームに配置する必要がありますか?

いいえ。所定の経験を有する専任の常勤PT、OTまたはSTが求められます。3職種すべてを必須とする要件ではありません。

Q6.回復期リハビリテーション病棟での勤務経験は5年要件に含められますか?

特定集中治療室等を有する保険医療機関での経験が5年に満たない場合、回復期リハビリテーション病棟に専従で勤務した経験と合わせて5年以上であっても差し支えないとされています。勤務歴を確認する際は、施設の届出状況と専従経験を区別してください。

Q7.ICUからHCUへ転室した場合、14日間を再起算できますか?

転室したことだけで、新たな14日間を自動的に算定できるとは判断しないでください。転室前後の入院料、入室日、算定歴、関連通知・疑義解釈を確認する必要があります。

次の一手|48時間以内の開始と同日算定を点検する

早期離床・リハビリテーション加算の運用では、最初に対象治療室と施設基準の届出を確認します。

次に、患者の入室日時、チームによる評価・計画、48時間以内の取り組み開始、定期評価、実施内容と時間の記録を点検してください。

算定時は、入室日から14日以内であることと、同一日に所定の疾患別リハビリテーション料を請求していないことを確認します。

臨床面の評価や安全管理を整理したい場合は、ICU-AWの評価、FSS-ICU、CHDF・CRRT中の離床も併せて確認してください。

参考文献

  1. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定について.2026.
  2. 厚生労働省.令和8年度診療報酬点数表(早期離床・リハビリテーション加算の規定を含む).2026.
  3. 厚生労働省.診療報酬の算定方法.救命救急入院料・特定集中治療室管理料等.
  4. 厚生労働省.令和8年度診療報酬改定:発症早期からのリハビリテーション介入の推進.2026.
  5. 日本理学療法士協会.令和8年度診療報酬改定情報.2026.

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを運営。臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録方法、医療制度など、医療従事者の実務に役立つ情報を発信しています。

保有資格:脳卒中認定理学療法士、褥瘡・創傷ケア認定理学療法士、登録理学療法士、3学会合同呼吸療法認定士、福祉住環境コーディネーター2級。

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハビリテーション、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食・嚥下。