離床のライン管理|点滴・CVC/PICC・動脈ラインの見方

臨床手技・プロトコル
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点滴・ CVC / PICC ・動脈ラインありの離床は「見る順番」を固定すると回ります

点滴や中心静脈( CVC / PICC )、動脈ラインがある患者さんの離床で迷うのは、技術よりも「どこを先に確認して、何が起きたら止めるか」が揃っていないことです。結論として、①刺入部、②滴下、③固定、④症状・バイタル、⑤中止/報告を毎回同じ順番で確認すると、事故とやり直しが減ります。

本記事は、細かな手技の解説ではなく、PT がそのまま使える準備 → 離床前チェック → 段階プロトコル → 中止基準 → SBAR → 記録の「標準フロー」を 1 ページに固定します。

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現場の詰まりどころ:動かす前に「ライン側の事故」が起きている

離床中のトラブルは、バイタル悪化より先に滴下が止まる/速くなる刺入部が引っ張られる固定がゆるむなど「ライン側」から始まることが多いです。ここを最初に潰すには、離床の目的(端座位/立位/歩行)より先に、刺入部・滴下・固定の 3 点セットをルーチン化します。

離床判断の「型」は、環境で差が出ます

相談しやすい環境や、見本となる記録文化があると判断ミスは減ります。

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離床前に確認する「5 ステップ」

まずは「見る順番」を固定します。離床前だけでなく、端座位・立位・歩行後も同じ順番で再確認します。

点滴・CVC・PICC・動脈ラインあり離床の5ステップ確認図

まず見るのは 3 点:刺入部・滴下・固定(+機器の種類)

ライン管理の最小セットはシンプルです。離床前後で必ず確認するポイントとして、末梢と中心静脈それぞれに刺入部の炎症所見滴下の異常固定の状態などが挙げられます。中心静脈では固定(縫合・固定具)も合わせて確認します。

関節近くにラインがあるときは、 ROMex で引っ張りや屈曲が起きやすいので、可動域を取る前に「固定」と「余裕」を先に作ってから実施します。

離床前チェックリスト:Yes なら進む/No なら止めて整える

チェックは短く、同じ順番で回すほど機能します。下の表を「院内の最小セット」として使える形にしてあります。

離床前チェック(成人/点滴・ CVC / PICC ・動脈ライン)
チェック項目 見るポイント No / 変化あり の行動
刺入部 熱感・腫脹・発赤・疼痛、出血、滲出 中止→固定見直し→必要時報告
滴下 止まる/速い/逆流、アラーム 中止→屈曲・位置確認→改善なければ報告
固定 屈曲、張り、引っ掛かり 中止→形を作り直す
機器種類 末梢 / CVC / PICC / 動脈ライン 不明なら開始しない
症状・バイタル 呼吸苦・胸痛・めまい・ SpO2 ・血圧 施設基準に沿って中止

段階プロトコル:端座位 → 立位 → 歩行

離床は段階を刻むほど回ります。各段階で、刺入部 → 滴下 → 固定(+症状)の順に再チェックし、変化があれば次へ進まず止めます。

1)端座位

端座位では、ラインが衣服やシーツに引っ掛かって引っ張られることが多いです。姿勢が落ち着いたら、刺入部と滴下を再確認します。

2)立位

立位では、点滴スタンドが患者の進行方向から外れてラインが張ることがあります。立位後に一度止まり、滴下と固定を確認します。

3)歩行

歩行は短距離 → 停止 → 再チェックで進めます。ライン係を決めておくと事故が減ります。

中止基準:ライン側トリガーを先に入れておく

中止基準は「迷ってから」作ると遅れます。ライン管理では刺入部の異常滴下の異常固定の破綻をトリガーに入れると判断が速くなります。

離床の中止トリガー(ライン管理)
トリガー 疑うこと 行動
刺入部異常 固定不良、皮膚トラブル 中止→安静化→報告
滴下異常 屈曲、位置異常 中止→屈曲解除→再確認
固定破綻 偶発抜去リスク 中止→形を作り直す
症状悪化 循環・呼吸負荷 中止→再評価→報告

よくある失敗:知識より「運用の穴」を潰す

ライン事故は「知らなかった」より「形が崩れた」「役割が曖昧だった」で起きます。次の 4 つは再発しやすいので、先にルール化しておくと回ります。

離床時のライン管理( OK / NG 早見)
場面 NG(起きがち) OK(型) 共有ポイント
開始前 患者準備だけして滴下を見ない 刺入部 → 滴下 → 固定 の順で確認 刺入部所見、滴下状態
立位・歩行 スタンドが遅れてラインが張る ライン係を決める 引っ掛かりポイント
ROMex 刺入部を引っ張る角度で動かす 固定と余裕を作ってから実施 刺入部周囲の注意
異常時 戻せば大丈夫で報告しない SBAR で短く共有 いつ、何が変化したか

SBAR:ライン異常を短く通すテンプレ

  • S:離床中にライン所見の変化があり中止しました。
  • B:ラインは(末梢/ CVC / PICC /動脈ライン)です。
  • A:刺入部( )、滴下( )、固定( )の変化があります。
  • R:安静化済です。再固定や指示確認をお願いします。

記録の最小セット:前 → 中 → 後 を固定する

離床とライン管理の記録テンプレ
タイミング 必須 補足
開始前 ライン種、刺入部、滴下、固定 役割分担
離床中 段階と変化 中止理由
終了後 刺入部・滴下再確認 次回注意点

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

離床前後で必ず見るポイントは何ですか?

①刺入部、②滴下、③固定です。この順番を固定すると見落としが減ります。

滴下が止まったら何を確認しますか?

まず屈曲と位置を確認します。改善しなければ中止して報告します。

ROMex のとき刺入部近くは動かしてよいですか?

固定と余裕を作ってから行います。張りや滴下異常が出る角度は避けます。

動脈ラインがあるとき PT は何を見ますか?

固定、屈曲、引っ掛かり、症状変化を確認します。機器設定は勝手に変更しません。

歩行まで進めるときに多いトラブルは?

スタンド遅れによるラインの張り、車輪や手すりへの引っ掛かり、屈曲による滴下停止が多いです。短距離ごとに止まって再確認すると事故が減ります。

次の一手


参考文献

  1. 日本離床学会. Q&A Vol.50 点滴ライン挿入部付近の関節可動域訓練実施に際してのポイント. https://www.rishou.org/for-memberships/qa/qa-vol-50
  2. CDC. Guidelines for the Prevention of Intravascular Catheter-Related Infections. https://www.cdc.gov/infection-control/hcp/intravascular-catheter-related-infections/
  3. Liu K, et al. J Intensive Care. 2018;6:10. DOI: 10.1186/s40560-018-0281-0
  4. Perme C, et al. Cardiopulm Phys Ther J. 2013;24(2):12-17. PubMed: 23801900

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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