FIM 4〜1 点の決め方|介助量(割合)で迷わない採点テンプレ

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FIM 4〜1 点の決め方|結論:介助が入った「工程の割合」で見積もるとブレが減ります

点数より先に「どの工程で介助が入ったか」を言語化すると、チームで揃います。 評価 → 介入 → 再評価の型を 3 分で復習する( PT キャリアガイド )

FIM の 4〜1 点は、同じ「介助あり」でも介助量(どのくらい手が出たか)で点数が変わります。現場でブレやすいのは、「支えた時間」や「大変そうな印象」で判断してしまい、工程ごとの介助割合が曖昧になることです。結論としては、動作を工程に分ける → 介助が入った工程の割合で見積もると、採点が安定します。

本記事では、4 点(最小介助)〜 1 点(全介助)の境界を、工程分解のテンプレとケースで整理します。FIM 全体像(点数の意味や 5 点・ 6 点との位置づけ)を先に確認したい場合は FIM の総合ガイドも併用すると、判断の順番が揃いやすくなります。

まず押さえる:4〜1 点は「介助の割合」で決まる(監視ではない)

4〜1 点は、身体介助(手が出る)または代行が入る点数帯です。 5 点(監視・促し)は「身体介助なし」、 6 点(修正自立)は「監視なし」なので、ここから下は実際に介助が入ったかが分かれ目になります。迷いを減らすには、まず「どの工程で、何ができなかったか」を工程単位で特定し、介助が入った割合を見積もります。

注意点は、介助の割合を「動作時間」で見ないことです。たとえば、立ち上がりの 1 回の介助は短時間でも、動作の核心工程で介助が入っているため、割合は大きく見積もる必要がある場合があります。逆に、時間は長くても「見守り」中心で手が出ていないなら、そもそも 4〜1 点ではなく 5 点以上の検討になります。

FIM 4〜1 点の基本イメージ(成人・一般的運用の早見)
点数 介助の割合(目安) 呼び方 臨床での言い換え 記録で残すべき核
4 点 最小介助(本人が大部分を実施) Minimal assistance 「少し支える/一部だけ手が出る」 介助が入った工程(例:起立時のみ)
3 点 中等度介助(半分程度) Moderate assistance 「工程の半分は介助が必要」 どこから介助が必要になったか
2 点 最大介助(本人の実施は少ない) Maximal assistance 「ほぼ介助、本人は一部のみ」 本人ができた工程とできなかった工程
1 点 全介助(本人の実施がほぼない/代行) Total assistance 「代行中心」 代行の内容(どこを誰がやったか)

工程分解テンプレ:4〜1 点を「工程の枚数」で決める

実務で最も再現性が高いのは、対象動作を 4〜 6 工程に分けて、介助が入った工程の数を数える方法です。工程の切り方をチームで揃えておくと、採点の揺れが減り、経時変化(改善・悪化)も読み取りやすくなります。

たとえば、移乗なら「ブレーキ/足位置 → 立ち上がり → 回旋・方向転換 → 着座 → 臀部位置調整」のように分けます。更衣なら「準備 → 袖通し → 体幹回旋・引き上げ → 整え」のように分けます。工程の枚数が違うと割合が変わるので、施設内で “よく使う動作” はテンプレ化するのがおすすめです。

工程分解テンプレ(例:移乗・更衣・トイレ動作)
動作 工程例( 5 工程) 介助が入った工程の数 点数の当てはめ(目安)
移乗 準備 → 起立 → 回旋 → 着座 → 位置調整 1 / 5(起立のみ介助) 4 点(最小介助)
更衣(上衣) 準備 → 袖通し → 引き上げ → 整え → 後片付け 2〜 3 / 5(引き上げ・整えで介助) 3 点(中等度介助)
トイレ動作 移動 → 立位保持 → 下衣操作 → 清拭 → 整容 4 / 5(ほぼ介助、立位保持のみ一部可能) 2 点(最大介助)

4 点・ 3 点・ 2 点の境界:迷ったら「核心工程」を優先して見積もる

工程分解で見積もるときに最後に迷うのは、「介助が入った工程の “重さ” 」です。短時間でも、起立・立位保持・方向転換などの核心工程で身体介助が入る場合は、見た目の “少なさ” よりも割合を大きめに評価したほうが、再評価で整合しやすくなります。

逆に、核心工程は本人ができていて、周辺(準備・後片付け・環境操作)で一部介助が入る場合は、点数を落としすぎないほうが、機能変化の追跡が安定します。ここは「どこを介助したか」を 1 行で残すだけで、次回の採点が揃います。

境界で迷うときの判断軸( 4 点/ 3 点/ 2 点)
迷いどころ 起きやすい誤り 判断の軸 記録の一言例
短時間しか支えていない 時間の短さで 4 点に寄せすぎ 核心工程(起立・方向転換)で介助なら割合は大きめ 起立で身体介助、以降は見守りで完遂
工程の半分はできるが不安定 不安定=すべて介助と扱う できた工程・できない工程を分けて 3 点相当か検討 回旋以降で介助増、着座は介助必要
本人が関与しているが代行が多い 関与があるだけで 3 点に上げる 本人が実施できた工程が “少ない” なら 2 点寄り 下衣操作は代行、立位保持のみ一部可能

ケースで確認:この介助量は 4 点? 3 点? 2 点?

以下は、現場で迷いやすい “ちょうど境界” の例です。ポイントは、介助が入った工程を列挙し、工程数と核心工程の有無で見積もることです。

介助割合で見るケース例(代表パターン)
場面 介助が入った工程 点数の目安 理由(判断軸)
移乗 起立のみ身体介助、回旋〜着座は見守り 4 点 核心工程は 1 つ介助だが、全体は本人主導
更衣(上衣) 袖通しは可能、引き上げ・整えで介助 3 点 工程の半分前後で介助が必要
トイレ動作 立位保持は一部可能、下衣操作・清拭は介助 2 点 本人が実施できる工程が少なく、代行割合が高い
歩行 体幹・骨盤の支持が必要で常時身体介助 2 点(〜 1 点検討) 常時介助で本人の関与が限定的(代行に近い)

よくある失敗:工程が曖昧で「点数が人によって違う」

採点が割れる原因の多くは、工程が曖昧なまま「大変そう」「危なそう」で点数を決めることです。対策はシンプルで、工程の切り方を固定し、介助が入った工程を 1 行で残すことです。これだけで “採点者依存” が減り、再評価の比較がしやすくなります。

もう一つの落とし穴は、見守りと身体介助が混在しているのに、どちらかで一括りにしてしまうことです。混在する場合は「身体介助が入った工程」を特定し、残りは “見守り” と切り分けて記録すると、点数決定が速くなります。

よくある失敗と修正(工程分解で安定させる)
失敗 なぜ起きる 修正 記録の型
「介助量が多い/少ない」だけで決める 工程が言語化されていない 工程に分けて “どこに介助が入ったか” を列挙 起立:介助/回旋:見守り/着座:見守り
時間がかかった=介助量が多いと判断 時間と介助を混同 時間ではなく “手が出た工程” で見積もる 速度低下あり(介助なし)/核心工程は自立
危険だから 2 点に落とす 安全配慮を点数に直結させる 危険の理由を工程に落とし、介助が入った範囲で決める 方向転換で介助、直線歩行は見守り

記録のコツ:点数 +「介助が入った工程」だけで十分

4〜1 点は、点数そのものよりも「介助が入った工程」が最重要です。点数だけだと、次回の採点者が条件を再現できず、改善が “点数の揺れ” に埋もれます。おすすめは、点数 + 介助工程 + 介助の種類(支え/引き上げ/代行)の 3 点セットです。

例:「移乗 4 点:起立のみ支え、回旋〜着座は見守り」「更衣 3 点:引き上げで介助、袖通しは自立」。この書き方に揃えると、チームで採点の整合が取りやすくなります。

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

介助割合は「時間」で見積もっていいですか?

おすすめしません。短時間でも核心工程(起立・立位保持・方向転換)で身体介助が入ると、動作の成立に対する寄与が大きく、時間だけで見積もると過小評価になりやすいです。工程に分けて「どこに介助が入ったか」で見積もるほうが、再評価でブレません。

見守りと身体介助が混ざるときはどうしますか?

混ざる場合は、身体介助が入った工程を明確にして、それ以外を見守りとして切り分けます。点数は「身体介助が入った工程の割合」で決め、記録には “介助が入った工程” を 1 行で残すのが最短です。

1 点(全介助)と 2 点(最大介助)の境界は?

目安として、本人が実施できる工程がほとんどなく、代行が中心なら 1 点寄りになります。本人が一部でも工程を担え、動作成立に意味のある関与があるなら 2 点を検討します。迷った場合は、本人が担えた工程を列挙し、次回も同じ条件で再現できる形にすると判断が揃います。

工程分解は毎回やる必要がありますか?

毎回フルでやる必要はありません。よく使う動作(移乗・更衣・トイレ動作など)は、施設内で 4〜 6 工程のテンプレを作ると、採点が速くなり、ブレも減ります。変化が大きい時期だけ工程分解を丁寧にし、安定してきたら “介助工程の 1 行記録” に寄せる運用が現実的です。

次の一手:点数別で “迷いどころ” を潰す

参考文献

  • Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The functional independence measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PubMed

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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