ADL・IADL評価ハブ:必要に応じてQOLまで最短で引く

評価
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ADL・IADL 評価ハブ|使い分け→記録→必要に応じて QOL まで最短で引く

ADL / IADL は「尺度の名前を知っている」よりも、目的に合わせて 1〜2 指標を選び、同条件で回すほうが、退院支援の説明力が上がります。このハブでは、まず何を使う? → どう記録する? → いつ追加する?の順で迷いを減らし、必要な記事へ最短で飛べる形に整理します。

ポイントは、点数だけで終わらせず、介助が増える局面(どこで手が要るか)と条件(環境・補助具・見守り)を 1 行残すことです。これだけで再評価が安定し、多職種共有と家族説明がスムーズになります。全体の設計は 評価ハブ から俯瞰できます。

評価を「選ぶ→回す→説明する」まで一気に整えるなら、臨床の型と学び方もセットにすると迷いが減ります。

評価の組み立て( 5 分フロー )を確認する

最短 5 分の使い方|結論(迷わない順番)

結論として、生活機能の評価は ADL(介助量)→ IADL(生活が回るか)→ 必要時に QOL / PROMの順で積むと、退院支援の説明が通りやすいです。最初から数を増やさず、初回は 1〜2 指標に絞って「同条件で再評価できる」状態を作ります。

病棟では ADL で介助量の共通言語を作り、在宅・地域では IADL でつまずき場面を具体化します。外出や社会参加まで見たいときは、生活の広がりを扱う 生活範囲・社会参加の評価ハブ を追加すると整理が速いです。

ADL / IADL の最短フロー(初回〜再評価)
順番 やること まず 1 本 記録のコツ
1 ADL で介助量をそろえる FIM / Barthel Index(比較) 点数+「介助が増える局面」を 1 行残す
2 IADL で生活が回るかを言語化 Lawton IADL(運用) 合計点より「詰まる工程」を先に特定する
3 必要時に生活の広がりを補完 LSA / FAI(比較) 生活圏(外側)と頻度(内側)を混ぜない
4 必要時に QOL / PROM を追加 HRQOL / PROM の選び方 「何を良くしたいか」を本人の言葉で固定する

まずどれを使う?目的別の最小セット

迷いの正体は「 ADL と IADL の違い」と「この評価で何を結論にしたいか」です。結論として、退院支援なら ADL で介助量を確定し、在宅・地域なら IADL で生活課題を具体化します。生活の広がり(外出・社会参加)がテーマなら、LSA / FAI を足すとブレにくいです。

尺度は「入院= ADL / 在宅= IADL 」のように単純化せず、目的(説明したいこと)で決めるのが実務的です。迷ったら、まず下の表で “ まず 1 本 ” を決めてから、必要な情報だけを追加してください。

目的別:ADL / IADL の “ まず 1 本 ” と追加の考え方
目的 まず選ぶ 追加で深掘り 次に読む
退院支援で介助量をそろえる FIM / Barthel Index Lawton IADL(在宅課題) FIM と Barthel Index(比較)
在宅で “ 生活が回るか ” を整理 Lawton IADL TMIG-IC(高次生活機能) Lawton IADL を退院支援に落とす
活動の “ 実行(頻度)” を追う FAI LSA(生活範囲) FAI と Lawton IADL(比較)
フレイル・生活機能低下を俯瞰 KCL / TMIG-IC ADL / IADL を必要分だけ フレイル評価の選び方

総論でまとめて把握したい場合は ADL 評価スケールの種類と使い分け(比較表) も便利です。

ADL|介助量と自立度をそろえる(退院支援の土台)

ADL は「できる / できない」よりも、どれだけ手がかかるか(介助量)を標準化するのが価値です。院内共有では、点数に加えて介助が増える局面を言語化すると、方針が揃いやすくなります。

まずは施設運用(回復期のカンファ、申し送り、退院時サマリ)に合わせて 1 つ決め、同一版・同一条件で再評価できる形に整えます。

IADL|生活が回るかを言語化する(在宅・地域の核心)

IADL は「自立に見えるのに支援が要る部分(服薬・金銭・交通・買い物など)」を拾えるため、家族支援やサービス設計に直結します。コツは合計点で結論を急がず、下位項目から「詰まる工程」と「事故リスク」を先に特定することです。

また、IADL は能力(できる)実行(どれくらいしている)が混ざりやすい領域です。Lawton(能力)と FAI(頻度)など、何を測っているかを分けると解釈ミスが減ります。

まず押さえる 3 本(迷ったらここ)

比較・使い分け(混ぜない)

外出・社会参加まで扱う(必要時に追加)

必要に応じて QOL・PROM|目標と納得感をつなぐ

ADL / IADL が整ってきた段階で、本人の価値(何が大事か)を評価に取り込むと、目標設定と介入の納得感が上がります。QOL / PROM は「全員に必須」ではなく、退院後の生活拡大・慢性期の継続支援・外来フォローなどで必要に応じて追加するのが実務的です。

尺度の選び方(負担・タイミング・読み方)まで含めて整えるなら、まず 健康関連 QOL(HRQOL)と PROM の選び方 から入ると迷いにくいです。

記録テンプレ|再評価につなげる “ 最小セット ”

ポイントは、スコアを残すだけで終わらせず、条件介助が増える局面を 1 行で残すことです。これだけで「再評価の比較不能」を減らせます。

下のテンプレは、病棟でも在宅でも共通で使える最小形です。初回はこの型で統一し、必要になった情報だけを追加してください。

ADL / IADL 記録テンプレ(最小セット)
区分 書くこと(例) コツ
条件 場所、補助具、見守り / 介助、時間帯、靴・装具 条件が変わると比較不能なので、先に固定する
結果 FIM / BI、Lawton IADL、必要なら LSA / FAI 合計点+「落ちた項目」をセットで残す
局面 移乗の立ち上がり、ズボン操作、服薬の段取り、買い物の移動手段 介助が増える “ 瞬間 ” を 1 行で書く
再評価 いつ、同条件で、同一指標を回すか 再評価が書けない評価は、介入と説明が弱くなる

現場の詰まりどころ|よくあるミスを “ 表 ” で潰す

ADL / IADL 評価で起きやすい詰まりどころ(OK / NG 早見)
場面 NG(起きがち) OK(こう直す) 記録ポイント
点数共有 合計点だけで結論 「落ちた項目」と「介助が増える局面」を 1 行追加 局面メモ(例:移乗の立位保持、ズボン操作)
再評価 毎回条件が違う 場所・補助具・見守り・時間帯をセットで固定 条件テンプレをカルテに残す
尺度選択 最初から尺度を増やしすぎる 初回は 1〜2 指標に絞り、必要になってから追加 「追加する理由」を 1 行で書く
解釈 能力(できる)と実行(している)が混ざる Lawton(能力)と FAI(頻度)など、焦点を分ける 参照期間(過去 4 週間 / 3 か月等)も固定
退院支援 IADL を後回しにして退院後に詰まる ADL で介助量 → IADL で工程 → 代償(道具・サービス) 「誰が・どこで・どう補う」を言語化

よくある質問(FAQ)

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

ADL と IADL は、臨床ではどう使い分けますか?

結論として、まず ADL =介助量の標準化 で退院支援の土台を作り、そのうえで IADL =生活が回るか(工程の詰まり)を追加して在宅課題を具体化します。ADL だけだと「家で回るか」が見えにくく、IADL だけだと「どこにどれだけ手が要るか」が曖昧になりやすいので、順番が重要です。

FIM と Barthel Index はどちらを優先すべきですか?

院内共有で介助量を細かくそろえるなら FIM が有利です。短時間で全体像をつかみ、退院前後の「ざっくりした変化」を追うなら Barthel Index が扱いやすいです。迷ったら、まず 1 つ決めて同条件で再評価できる運用を優先します。詳しくは FIM と Barthel Index(比較) を参照してください。

Lawton IADL は合計点で見れば十分ですか?

合計点だけだと、支援設計に必要な情報が不足しやすいです。下位項目から「どこで詰まるか(工程)」と「事故リスク」を先に特定し、代償(ツール・サービス)/環境/教育 をセットで実装してから、同条件で再評価するのが回ります。運用の型は Lawton IADL を退院支援に落とす にまとめています。

IADL の “ 能力 ” と “ 実行(頻度)” が混ざってしまいます

混ざりやすいので、意図的に分けるのが安全です。たとえば Lawton は「能力(できる)」、FAI は「実行(頻度)」として使い分けると解釈ミスが減ります。比較は FAI と Lawton IADL(比較) を参照してください。

QOL / PROM はいつ追加すればいいですか?

ADL / IADL がある程度そろい、「本人にとっての良い生活」や優先順位を介入に反映したいときに追加します。退院後の生活拡大、慢性期の継続支援、外来フォローなどで特に役立ちます。選び方は HRQOL / PROM の選び方 にまとめています。

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参考文献

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  • Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The functional independence measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PMID: 3503663
  • Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities of daily living. The Gerontologist. 1969;9(3 Part 1):179-186. doi: 10.1093/geront/9.3_Part_1.179
  • Koyano W, Shibata H, Nakazato K, et al. Measurement of competence: reliability and validity of the TMIG Index of Competence. Arch Gerontol Geriatr. 1991;13(2):103-116. doi: 10.1016/0167-4943(91)90053-S
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著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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