【EuroQol:EQ-5D】5項目の質問からなる簡便な評価尺度

評価法
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リハビリくん
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いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「EuroQol:EQ-5D」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

   

高齢化の進む日本では、「単に生きるだけではなく充実した人生を過ごすこと」や「自分らしさを保って暮らすこと」が人生の充実に直結すると考えられており、そのアウトカム指標として QOL が重要視されています。

   

医療や介護において QOL という言葉は一般的なワードになりますが、保健医療分野における QOL の研究に目を転じてみると、その歴史はまだ浅いことがわかります。

QOL については1940 年代末の Karnofsky らによるがん患者における化学療法の臨床評価の中で取り上げられた QOL 研究が端緒となり、1960 年以降、欧米ではがんや高血圧などを中心に QOL 研究が発展していきました。

  

日本では 1980 年代以降にようやく、医療の現場で種々の慢性疾患を持つ患者を対象に QOL 研究の取り組みが行われるようになりました。

最近では介護や高齢者の健康など、保健の現場においても、地域の中における QOL 研究が進められております。さらに、ヘルスプロモーションの一環として地域全体の QOL に関する研究への取り組みも行われております。

   

臨床や地域といった場を越えて、人々がそれぞれの人生や生活を楽しみ、生きている姿は当事者だけでなく、周囲の人々に生きることへの希望と勇気と安心を与え、社会全体の安寧に寄与するものと考えられます。

  

このように人生の質を評価指標として捉えることができる QOL についてですが、こちらの記事では QOL 評価尺度の中でも健康関連 QOL を評価する EuroQol(EQ-5D)について説明させていただきます。

   

こちらの記事で 健康関連 QOL 尺度である EuroQol(EQ-5D)における理解を深め、リハビリテーションや QOL 評価における一助になると幸いです。是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

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QOL(クオリティ・オブ・ライフ)

QOL は「Quality Of Life」を省略した言葉であり、日本語では「生活の質」や「人生の質」と訳されます。

どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているのか、ということを尺度として捉える概念になります。

人はどこの地域で生まれ、誰が親であったとしても、人間として生きていく尊厳を尊重され、人間として生きる喜びを享受することを許されております。

結果として受けた生命の長短や障害の有無にかかわらず、あるいは、結果として受けた人生の苦楽の深さにかかわらず、尊厳と喜びを追求することは、人間誰もが平等に許されている権利となります。

高齢化の進む日本では、「単に生きるだけではなく充実した人生を過ごすこと」や「自分らしさを保って暮らすこと」が人生の充実に直結すると考えられており、そのアウトカム指標として QOL が重要視されています。

健康関連QOL評価

医療や介護においてQOLを評価をする1つの目的として、健康状態と関連したQOLを評価することが挙げられます。この健康状態と関連したQOL評価を「健康関連 QOL(HRQOL)」といいます。

健康関連 QOL は 1990 年代の後半に提唱された概念になります。健康関連 QOL とは「疾患や治療が患者の主観的健康感(メンタルへルス・活力・痛みなど)や、毎日行っている仕事・家事・社会活動にどのようなインパクトを与えているか、これを定量化したもの」とされています。また、健康関連QOLについては、いわゆる客観的評価になります。

そして健康関連QOLは包括的尺度と疾患特異的尺度の2つの尺度に分類されます。包括的尺度とは、測定対象を特定の疾患であったり、年齢や介護度で限定しないQOL尺度になります。そのため、健康な人を対象として評価することもできます。

健康関連 QOL 評価は、一般的健康状態を包括的に評価する「包括的尺度」と特定の疾患やそれに伴う特定の症状の程度を評価するための「疾患・症状特異的尺度」に分類されます。

包括的尺度は健康関連 QOL を包括的に測定するためのツールであり、被験者の一般健康状態を知ることができます。

包括的尺度を使えば患者から健康な人まで連続的に測定でき、疾患が異なっていても比較が可能になるという特徴があります。

包括的尺度はさらに「プロファイル型尺度」と「選好による尺度」に分類されます。

プロファイル型尺度は QOL の構成要素を身体機能、メンタルへルスというように多次元に分けて評価する尺度であり、SF-36、Sickness Impact Profile などの尺度がプロファイル型尺度に当てはまります。

SF-36 については、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらもご覧になって頂けると幸いです☺️ 【SF-36:健康関連QOL評価についての記事はこちらから

選好による尺度は QOL を多面的に捉える質問紙であり、最終的に単一のサマリースコアが算出できるという特徴をもつ尺度となります。

期待効用理論というモデルによって、単一の尺度である「効用値」にまとめ上げるというのが選好に基づく尺度と呼ばれる由来になり、 EQ-5D、Health Utility Index 3 などが代表例となります。

EuroQol:EQ-5D

近年、医療技術の経済評価への社会的要請が高まり、健康関連 QOL を定量的に評価する手法が必要とされています。

そこで注目されている評価尺度として EQ-5D が挙げられます。EQ-5D は 1987 年に設立された EuroQol グループが開発しました。

健康関連 QOL を評価するための自己記入式の質問票であり、医療従事者でなくとも簡易に測定できる健康関連 QOL の尺度として幅広く用いられております。

また、EQ-5D の特徴として、医療技術の経済評価において近年利用が進んでいる質調整生存年の算出に用いるための QOL 値を算出することができます。

質問項目としては、「移動の程度」「身の回りの管理」「普段の活動」「痛み/不快感」「不安/ふさぎ込み」の 5 項目から構成されております。

5 項目の回答結果より換算表を用いることで効用値を算出することが可能となっております。

効用値とは健康関連 QOL を一元的にスコア化したものであり、死亡を 0 、完全な健康を 1 とした間隔尺度で表され、費用対効用分析や費用対効果分析において健康状態を表す際の指標として使用されております。

EuroQol:EQ-5D の日本語版は 1997 年に「日本語版 EuroQOL 開発委員会」により開発され公式版として認定されております。

EQ-5D は一般集団を対象とした健康状態の調査に使用されたり、臨床研究においても糖尿病、脳卒中、リウマチ疾患、癌など様々な疾患を対象とした QOL 評価尺度 として有用性が報告されています。

評価方法

EuroQol(EQ-5D)は「移動の程度」「身の回りの管理」「普段の活動」「痛み/不快感」「不安/ふさぎ込み」の 5 項目から構成されています。この 5 項目からなる評価方法を 5 項目法といいます。

5 項目法では、各項目における設問について「 問題がない(レベル1)」 「いくらか問題がある(レベル2)」「問題がある(レベル3)」 までの 3 段階の回答のうち、最もよく当てはまるものを選択する形式となっております。

つまり、EuroQol(EQ-5D)はあらゆる健康状態 を上述した 5 の次元に分解 し、それぞれについて 3 段 階に基づいて記述することになります。

例えば歩くことができずベッド(床)に寝たきりであり(3)、身の回りのことも自分でするにはいくらか問題があり(2)、ふだんの活動を行うのにいくらか問題があり(2)、痛みや不快感は認めず(1)、不安や、ふさぎ込みがない(1)場合の健康状態は「32211」と表すことができます。

5 項目法では、5 項目の質問に対して 3 件法により回答するため、全部で 3 の 5 乗 243 の健康状態を弁劉することができます。243の健康状態に 「意識不明」と「死」を加え、EuroQolで扱われる健康状態の数は 245 となります。

5 項目法からなる測定値は効用値へ換算することができます。効用値については、完全な健康を 1 、死を 0 として表現される間隔尺度で表された指標であり、費用一効果分析において用いることができます。

効用値については日本語版 EuroQOL 開発委員会が執筆した「日本語版 EuroQol の開発」というタイトルの論文の最終ページ(p123)に 243 通りの効用値が記載されております。

5 項目法の回答の中には効用値がマイナスの値を示すこともありますが、これは死よりも効用の低い健康状態であると捉えることができます。一般的にいうと「死んだ方がまし」と表現されるような状態にあります。

評価項目

EuroQol(EQ-5D)は「移動の程度」「身の回りの管理」「普段の活動」「痛み/不快感」「不安/ふさぎ込み」の 5 項目から構成されています。この 5 項目からなる評価方法を 5 項目法といいます。

移動の程度

  1. 私は歩き回るのに問題はない
  2. 私は歩き回るのにいくらか問題がある
  3. 私はベッド(床)に寝たきりである

身の回りの管理

  1. 私は身の回りの管理に問題はない
  2. 私は洗面や着替えを自分でするのにいくらか問題がある
  3. 私は洗面や着替えを自分でできない

ふだんの活動(仕事、勉強、家族・余暇活動)

  1. 私はふだんの活動を行うのに問題はない
  2. 私はふだんの活動を行うのにいくらか問題がある
  3. 私はふだんの活動を行うことができない

痛み/不快感

  1. 私は痛みや不快感はない
  2. 私は中程度の痛みや不快感がある
  3. 私はひどい痛みや不快感がある

不安/ふさぎ込み

  1. 私は不安でもふさぎ込んでもいない
  2. 私は中程度に不安あるいはふさぎ込んでいる
  3. 私はひどく不安あるいはふさぎ込んでいる

カットオフ値

EuroQol(EQ-5D)ではカットオフ値は定められていません。5 項目法によって算出した効用値が 1 に近いほど健康関連 QOL が高く、0 に近いほど健康関連 QOL が低いという評価になります。

5 項目法は記述法になりますが、これだけである程度までは健康状態の優劣をつけることが可能となります。

例えば、健康状態 「32321」よりは 「21221」の方が健康関連 QOL が高いといったように、5 項目のうち、比較対象と比べてより悪い項目が 1 つもなく、少 なくとも 1 つ以上の項目で勝っている場合は優劣をつけることができます。

しかし、5 項目法による評価には課題もあります。「21232」 より「21222」 の方が優れているにしても、どのくらい優れているのかについては判定できません。また、「21232」と「23212」とではどちらが優れているのか判断できないといった課題があります。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「EuroQol:EQ-5D」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事が健康関連 QOL 尺度である EuroQol(EQ-5D)における理解力向上をもたらし、リハビリテーションや QOL 評価として少しでもお力添えになれば幸いです。

参考文献

  1. 日本語版EuroQol開発委員会.日本語版EuroQolの開発.医療と社会.Vol.8,No.1,1998,p109-123.
  2. 藤田麻里,林恭平,小笹晃太郎,渡邊能行,濱島ちさと.基本健康診査受診者を対象としたOOL調査.厚生の指標. 第48巻,第8号,2001年8月,p22-27.
  3. 高橋秀寿,関勝.Quality of Life(QOL).Jpn J Rehabil Med.2020,57,p1174-1180.
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