ADL・IADL評価ハブ|目的から使う尺度を選ぶ
ADL・IADL評価で最初に決めたいのは、尺度名ではなく「何を知りたいか」です。介助量をそろえたいならADL、退院後の生活が回るか確認したいならIADL、外出や活動の広がりまで見たいなら生活範囲・社会参加、本人が感じる健康や生活の質を確認したいならQOL・PROMへ進みます。
このページは、BI・FIM・Lawton IADL・FAI・LSAなどの詳しい採点方法を解説する記事ではありません。評価目的から必要な領域を選び、比較記事・個別尺度記事へ最短で進むためのハブです。迷ったときは、下の早見表から現在の評価目的に最も近い行を選んでください。
評価ハブで全体像を見る
まずここから|何を知りたいかで評価を選ぶ
結論として、ADL・IADL周辺の尺度は評価したい生活課題で分けると整理しやすくなります。すべてを測るのではなく、まず現在の意思決定に必要な領域を1つ選び、必要になったときだけ追加します。
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| 知りたいこと | 評価領域 | 代表的な尺度 | 最初に読む記事 |
|---|---|---|---|
| 日常生活で必要な介助量を整理したい | ADL | BI・FIMなど | FIMとBarthel Indexの違い |
| ADLとIADLの違いから整理したい | ADL・IADL | BI・FIM・Lawton・FAIなど | ADLとIADLの違い・使い分け |
| 退院後に生活が回るか確認したい | IADL | Lawton IADLなど | Lawton IADLの実務での使い方 |
| 実際の活動状況を詳しくみたい | IADL・活動 | FAIなど | FAIとLawton IADLの違い |
| 外出や生活範囲まで確認したい | 生活範囲・社会参加 | LSAなど | 生活範囲・社会参加の評価ハブ |
| 本人が感じる健康・生活の質を確認したい | QOL・PROM | SF-36・EQ-5Dなど | HRQOL・PROMの選び方 |
ADL|介助量と基本的な生活動作を評価する
ADLを評価する目的は、食事・更衣・排泄・移動・入浴などの基本的な生活動作について、どこまで自立し、どの場面で介助が必要かを整理することです。退院支援や病棟での介助量共有では、まずADLの評価から確認すると全体像をそろえやすくなります。
代表的な尺度にはBarthel IndexやFIM、Katz Indexなどがあります。尺度ごとに項目数や介助量の表し方が異なるため、詳細な採点基準は各記事で確認してください。
IADL|退院後・在宅生活の課題を評価する
IADLでは、買い物、家事、交通手段、服薬、金銭管理など、基本的ADLより複雑な生活行為を確認します。ADLが比較的保たれていても、IADLに支援が必要であれば、退院後に誰が・どこを・どのように補うかを具体化する必要があります。
IADLをみる尺度は目的や対象によって異なります。Lawton IADL、TMIG-IC、FAIなどを同じ尺度として一括りにせず、「何を把握したいか」を確認して選びます。
生活範囲・社会参加|家の外まで生活が広がっているかを見る
ADL・IADLだけでは、外出範囲、活動の広がり、社会とのつながりまで十分に整理できない場合があります。「家の中では生活できるが外へ出られない」「退院後に活動範囲が狭くなった」といった課題が中心なら、生活範囲・社会参加の評価へ進みます。
QOL・PROM|本人が感じる健康や生活を評価する
ADL・IADLは生活機能を整理するうえで重要ですが、それだけで本人が感じている健康状態や生活の質を表せるとは限りません。本人にとって何が改善したのか、どの生活課題を優先したいのかを本人報告から確認したい場合は、QOL・PROMを検討します。
全例へ追加するのではなく、その結果が介入目標や経過判定に必要かを確認して選びます。
評価後は点数だけでなく「条件」と「生活課題」を残す
どの尺度を選んでも、再評価につなげるには点数だけで終わらせないことが重要です。少なくとも、評価時の条件・支援が必要だった場面・次に確認する生活課題を残しておくと、同じ尺度を再評価したときに変化を解釈しやすくなります。
記録は、次のような最小形にすると整理しやすくなります。
| 残す情報 | 確認すること |
|---|---|
| 尺度・結果 | 使用した尺度、得点、低下・介助がみられた項目 |
| 条件 | 場所、補助具、見守り・介助など、結果に影響する条件 |
| 生活課題 | どの場面・工程で支援が必要になるか |
| 次の確認 | 介入後に何を、どの条件で再評価するか |
次の一手|迷ったらこの2方向へ進む
ADL・IADLの違いと尺度の使い分けから整理したい場合は比較記事へ、すでにIADLの評価が必要と分かっていて退院・在宅支援へ落とし込みたい場合はLawton IADLの実装記事へ進むと、次の判断につながります。
- 全体の違いから整理する:ADLとIADLの比較・使い分け記事
- IADLを実務へ落とす:Lawton IADLの実装記事
参考文献
- Mahoney FI, Barthel DW. Functional evaluation: the Barthel Index. Md State Med J. 1965;14:61-65. PubMed: 14258950
- Keith RA, Granger CV, Hamilton BB, Sherwin FS. The functional independence measure: a new tool for rehabilitation. Adv Clin Rehabil. 1987;1:6-18. PubMed: 3503663
- Lawton MP, Brody EM. Assessment of older people: self-maintaining and instrumental activities of daily living. Gerontologist. 1969;9(3 Pt 1):179-186. DOI: 10.1093/geront/9.3_Part_1.179
- Koyano W, Shibata H, Nakazato K, Haga H, Suyama Y. Measurement of competence: reliability and validity of the TMIG Index of Competence. Arch Gerontol Geriatr. 1991;13(2):103-116. DOI: 10.1016/0167-4943(91)90053-S
- Satake S, Arai H. Validation of the Kihon Checklist for assessing frailty status. Geriatr Gerontol Int. 2016;16(6):709-715. DOI: 10.1111/ggi.12543
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度など、現場で活用しやすい実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

