METs 早見表(生活動作・家事・移動・運動)
このページは、代表的な生活動作・家事・移動・運動の METs(メッツ)を、臨床で使いやすい範囲に絞って早見表にまとめたものです。目的は「正確な推定」ではなく、活動候補を最速で拾って、条件を揃えて記録できる状態にすることです。
一般的な強度分類の目安は 中等度= 3.0〜 5.9 METs /高強度= 6.0 METs 以上ですが、臨床では数値だけで決めず、RPE( Borg )・症状(息切れ、疼痛、めまい等)で最終調整します。
同ジャンルの全体像から確認する(迷いを減らす)
運動療法は「安全 → 強度設定 → 実施 → 記録 → 再評価」の型で回すほど、説明と申し送りが一気にラクになります。
早見表の使い方(迷わない 3 ステップ)
METs は「活動の強度(絶対強度)」を、安静時の何倍かで共有できる便利な共通言語です。一方で、同じ活動名でも 速度・坂・姿勢・休憩で値が変わるため、表は代表値として扱い、条件を揃えて比較できる状態にして使います。
迷いを減らすコツは、指標を増やすより手順を固定することです。下の 3 ステップだけ守ると、再評価が一気に速くなります。
- 目的を決める:強度の目安か/安全管理か(安全管理なら症状・バイタルを優先)。
- 近い活動を選ぶ:表から候補を拾い、条件(速度・坂・補助具・休憩)を 1 行で固定する。
- 記録をセットで残す:活動名+条件+時間(分)。必要に応じて RPE と症状も添える。
記録の型(最小セット):
「活動名(例:歩行)/条件(例:平地、杖あり、ゆっくり、休憩 2 分)/時間(例: 10 分× 2 )」
生活動作( ADL / IADL )の代表 METs
同じ「歩く」でも、速度や坂で強度は大きく変わります。迷うときは先に「条件」列を見て、近いものを選ぶのがコツです。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 活動(例) | 代表 METs | 条件の目安 | 臨床メモ |
|---|---|---|---|
| 座位安静 | 1.0 | 静かに座る | 基準( 1 MET ) |
| 立位(静的) | 1.3 | 立っている | 立位保持の目安に |
| 更衣(上衣中心) | 2.0 | ゆっくり | 疼痛・息切れで上がりやすい |
| 入浴(洗体) | 2.5 | 椅子座位を含む | 温熱・血圧変動に注意 |
| 階段昇降(ゆっくり) | 4.0 | 手すりあり | 膝痛・心不全では負荷増 |
| 階段昇降(速い) | 8.0 | 休憩なし | 転倒・息切れの監視を |
| 歩行(ゆっくり) | 2.5 | 室内・平地 | 補助具で実負荷が変わる |
| 歩行(やや速い) | 3.3 | 約 3 mph 相当 | 中等度に入り始める目安 |
| 歩行(速い:早歩き) | 5.0 | 約 4 mph 相当 | 中等度の代表 |
家事・作業の代表 METs
家事は「同じ作業名でも、連続時間・姿勢・道具」で負荷が変動します。表は見積もりとして使い、症状と RPE を合わせるのが安全です。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 活動(例) | 代表 METs | 条件の目安 | 臨床メモ |
|---|---|---|---|
| 調理(立位中心) | 2.5 | 切る・盛る・片付け | 立位耐久の目安に |
| 食器洗い | 2.3 | 立位 | 腰痛では姿勢調整を |
| 洗濯(干す・取り込む) | 2.8 | 腕上げを含む | 肩痛・息切れで上がりやすい |
| 掃除機がけ | 3.3 | 連続 10 分以上 | 中等度の目安になりやすい |
| 床拭き(中腰) | 3.5 | しゃがみ動作を含む | 膝痛・ふらつき注意 |
| 庭仕事(一般) | 4.0 | 草取り・軽作業 | 熱中症と血圧変動に注意 |
| 雪かき(重い作業) | 6.0 | 連続作業 | 高強度になりやすい |
移動(歩行・自転車など)の代表 METs
移動は「速度」が強度を左右します。歩行は速度、自転車は速度+坂を揃えると記録が安定します。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 活動(例) | 代表 METs | 条件の目安 | 臨床メモ |
|---|---|---|---|
| 歩行(平地:中等度) | 3.3 | 約 3 mph 相当 | 中等度( 3.0〜 5.9 METs )の入り口 |
| 歩行(速い:早歩き) | 5.0 | 約 4 mph 相当 | 中等度の代表 |
| ジョギング(軽め) | 7.0 | ゆっくり | 高強度( 6.0 METs 以上)に入りやすい |
| ランニング( 6 mph 目安) | 9.8 | 一定ペース | 心肺負荷が高い |
| 自転車(ゆっくり) | 4.0 | < 10 mph(平地) | 下肢負荷は軽めでも心拍が上がることがある |
| 自転車(やや速い) | 6.8 | 10〜 12 mph(平地) | 高強度に入りやすい |
運動(有酸素・筋トレ)の代表 METs
運動は「フォーム」「休憩」「負荷」で強度が動きます。筋トレは休憩が長いと平均 METs が下がるため、連続時間だけでなく「セット構成」も記録すると評価が安定します。
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| 活動(例) | 代表 METs | 条件の目安 | 臨床メモ |
|---|---|---|---|
| ストレッチ | 2.3 | ゆっくり | 導入・クールダウン向き |
| ヨガ(軽〜中等度) | 3.0 | 流れが少ない | 呼吸と体位変換に注意 |
| エルゴ(軽負荷) | 3.5 | 会話可能 | 中等度の立ち上げに |
| エルゴ(中等度) | 5.5 | 会話は短文 | 息切れ・血圧を確認 |
| 筋トレ(軽〜中等度) | 3.5 | 休憩を含む | 関節痛があると RPE が先に上がる |
| 筋トレ(高強度) | 6.0 | 高負荷・休憩短め | 高強度として扱う |
表の注意点(この 3 つだけ押さえる)
METs 早見表は、使い方を誤ると「強度が合わない」「日によって違う」「記録が比較できない」で詰まりやすくなります。次の 3 点だけ押さえると、再評価の比較が成立します。
- 注意 1:同じ活動名でも、速度・坂・環境・休憩で METs は変わります(表は代表値)。
- 注意 2:臨床の最終判断は、METs だけでなく RPE( Borg )・症状を優先します。
- 注意 3:再評価に効くのは「数値」より 条件です。活動名+条件+時間(分)をセットで残します。
補正が必要な場面( METs が外れる理由と直し方)は、関連:METs の限界(外れる理由と補正: RPE )にまとめています。
現場の詰まりどころ(よくある迷い→対策)
このゾーンは「判断を固定して、次の一手に落とす」ためのパートです。数値の正しさより、同じルールで続けて比較できる状態に整えます。
▶ よくある失敗へ
▶ 回避のチェック(注意点 3 つ)へ
関連:運動強度の決め方( METs → RPE → 症状 )
※スマホでは表が横にスクロールできます。
| よくある迷い | 起こりやすい理由 | 対策(次アクション) | 記録ポイント |
|---|---|---|---|
| 活動が複数に当てはまる | 条件(速度・負荷)が書けていない | 条件を 1 行で固定して、最も近い行を選ぶ | 速度、坂、補助具、休憩 |
| 表の METs だと強すぎる | 疾患・痛み・不安で相対強度が上がる | 速度を落とす/分割する/ RPE と症状で調整 | RPE、息切れ、疼痛、血圧 |
| 同じ活動でも日によって違う | 体調・睡眠・薬剤・環境が変動 | 「その日の条件」を短く残し、比較軸を作る | 体調、内服、実施時刻 |
よくある質問
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1.中等度と高強度の境目は何 METs ですか?
一般的な目安として、中等度= 3.0〜 5.9 METs /高強度= 6.0 METs 以上です。ただし臨床では、数値だけでなく RPE( Borg )と症状を合わせて判断するのが安全です。
Q2.表の METs と実感(きつさ)が一致しません
METs は絶対強度の目安なので、疼痛・不安・体調・疾患や薬剤で「きつさ(相対強度)」が変わります。速度を落とす/分割する/休憩を入れる等で調整し、RPE と症状を優先して進めます。
Q3.家事はどれを選べば良いですか?
家事は条件差が大きいので、「連続しているか」「姿勢(中腰が多いか)」「腕上げが多いか」で近い行を選びます。迷ったら安全側(低め)から開始し、観察しながら調整します。
Q4.臨床の記録は何を残せば再評価に使えますか?
最低限、活動名+条件(速度・坂・補助具・休憩)+時間(分)をセットで残します。加えて、息切れ・疼痛・ RPE ・バイタル(必要時)を記録すると、次回の条件設定が速くなります。
次の一手
- 運用を整える:運動強度の決め方( METs → RPE → 症状 )
- 共有の型を作る:週 23 メッツ・時( 23 Ex )の作り方(計算式と例)
教育体制・人員・記録文化など“環境要因”を一度見える化すると、次の打ち手が決めやすくなります。
チェック後に『続ける/変える』の選択肢も整理したい方は、PT キャリアナビで進め方を確認しておくと迷いが減ります。
参考文献
- Ainsworth BE, Haskell WL, Herrmann SD, et al. 2011 Compendium of Physical Activities: a second update of codes and MET values. Med Sci Sports Exerc. 2011;43(8):1575-1581. doi: 10.1249/MSS.0b013e31821ece12 / PubMed: 21681120
- Herrmann SD, et al. 2024 Adult Compendium of Physical Activities: A third update of the energy costs of human activities. J Sport Health Sci. 2024;13(1):6-12. doi: 10.1016/j.jshs.2023.10.010 / PubMed: 38242596
- [CDC](chatgpt://generic-entity?number=0). How to Measure Physical Activity Intensity(強度分類の目安). Web
- Compendium of Physical Activities(更新情報・配布). pacompendium.com
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


