内部障害リハは「疾患」と「今困っていること」から評価を選ぶ
内部障害リハでは、すべての評価を一度に行うのではなく、①疾患・病態を確認する → ②症状と安全性を見る → ③運動耐容能を評価する → ④介入・ADLへつなげる順に整理すると迷いにくくなります。本ページは、心不全・COPD・呼吸器疾患を中心に、内部障害患者を担当したとき「次にどの記事を確認すればよいか」を選ぶためのハブです。評価方法そのものは各専門記事で詳しく確認してください。
まずどこから読むか|内部障害リハの入口を3つに分ける
最初に、「疾患を整理したい」「評価を選びたい」「安全性を確認したい」のどこで困っているかを決めます。ここが決まれば、最初からBorg、6 MWT、血液ガス、NYHAなどをすべて確認する必要はありません。
| 今困っていること | まず確認する記事 | そこで確認すること |
|---|---|---|
| 心不全患者の評価を組み立てたい | 心不全リハ評価ハブ | 症状、うっ血、耐容能、運動処方、再評価 |
| 息切れ・運動耐容能を横断して評価したい | 呼吸・運動耐容能評価ハブ | 息切れ、安全確認、運動耐容能、測定条件 |
| 運動を開始・継続してよいか迷う | リハ中止基準 | 中止・一時中断・慎重に進める場面 |
症状・目的から記事を選ぶ
疾患名だけでは次の評価が決まらない場合は、患者に起きている問題から逆算します。息切れ、運動耐容能低下、血圧変動、排痰困難など、いま判断したい問題を1つ選んでください。
| 確認したいこと | 次に読む記事 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 心不全らしい徴候を整理したい | 心不全の臨床徴候チェック | 症状・徴候を整理する |
| 生活上の心不全症状を分類したい | NYHA分類 | 症状と身体活動の関係を整理する |
| COPDの病態・重症度を確認したい | GOLD(COPD)の読み方 | 呼吸困難・増悪リスクなどを整理する |
| うっ血所見を確認したい | JVP(頸静脈評価) | 体液貯留を考える所見の1つとして確認する |
| 活動強度を整理したい | METsの計算と使い方 | 活動・運動強度を整理する |
| 換気・酸素化を整理したい | 血液ガス(ABG)の読み方 | PaO2、PaCO2、酸塩基平衡などを読む |
疾患・病態から選ぶ|心不全とCOPDでは見る順番が異なる
内部障害では、共通して症状・バイタル・運動時反応を確認しますが、病態ごとに追加して見る情報が異なります。疾患別の記事では、その病態で優先する所見や評価を確認してください。
心不全では「症状・うっ血・耐容能」を分けて考える
心不全では、息切れや疲労だけでなく、浮腫、体重変化、呼吸状態などを含めて当日の状態を整理します。運動耐容能だけで病態を判断せず、疾患情報と身体所見を組み合わせて介入可否や負荷調整につなげます。
COPDでは「病態」と「実際の活動制限」を分けて見る
COPDでは、GOLDなどから得られる疾患情報だけでなく、息切れがどの活動で生じるか、運動時にどのような反応を示すかを確認します。病態の分類と、その日の運動負荷設定を同じものとして扱わないことが重要です。
呼吸・運動耐容能を評価する|主観・客観・測定条件を分ける
呼吸・運動耐容能の再評価では、数値を増やすよりも何を、どの条件で、いつ測定したかをそろえることが重要です。詳細な評価の選び方は横断ハブへ分離し、本ページでは目的だけを整理します。
| 視点 | 確認例 | 再評価で残したいこと |
|---|---|---|
| 主観 | 息切れ、疲労、胸部症状、下肢疲労 | どの活動・タイミングで出現したか |
| 客観 | SpO2、HR、血圧、歩行距離など | 開始前・運動中・終了後の反応 |
| 条件 | 酸素、補助具、歩行路、休憩など | 前回から変更した条件 |
呼吸そのものの観察項目を広く確認したい場合は、呼吸理学療法の評価項目から、呼吸数・呼吸パターン・聴診などを含めて整理できます。
安全管理|評価より先に「今日は進められるか」を確認する
内部障害患者では、同じ患者・同じ運動でも当日の全身状態によって反応が変わります。運動負荷を伴う評価や介入へ進む前に、症状、バイタル、疾患特有のリスク、医師指示、施設基準を確認します。
- リハ前後の血圧チェック手順:測定条件と血圧反応をそろえて確認する
- 起立性低血圧の評価と対応:離床・立位・歩行で血圧低下や症状が出る場合に確認する
中止判断は単一のSpO2、心拍数、血圧だけで決めず、症状と経時変化を含めて判断します。患者ごとの指示や施設の基準がある場合は、それらを優先してください。
呼吸手技・介入|手技名ではなく目的から選ぶ
評価後に呼吸手技へ進む場合は、「何を改善したいために行うのか」を先に決めます。換気、排痰、呼吸困難など目的が異なれば、選ぶ手技や注意点も変わります。
- 徒手的呼吸介助7手技:呼吸介助の使い分け・禁忌・安全管理を確認する
- 体位ドレナージ:排痰を目的としたポジショニングを確認する
- 気道吸引の適応判定:吸引が必要な場面と代替策を整理する
ADL・栄養・生活へつなげる|評価値を生活上の問題へ戻す
内部障害リハでは、Borgや歩行距離などの評価値だけで介入を終えず、患者が実際に困っている生活動作へ戻す必要があります。入浴、階段、屋外歩行、買い物、食事など、症状によって制限されている活動を具体化します。
- ADL・IADL評価ハブ:生活動作のどこに制限があるか整理する
- 栄養・嚥下ハブ:低栄養や摂食・嚥下を含めて確認する
- 生活範囲・社会参加の評価ハブ:屋外活動や生活範囲まで評価する
迷ったときの分岐|評価を増やす前に確認する
内部障害患者を担当して迷ったときは、評価項目を追加する前に「何が分からないため次の判断ができないのか」を確認します。
| 困っていること | 最初に確認すること | 次の行動 |
|---|---|---|
| 負荷量が決まらない | 症状・運動時反応・前回条件 | 同条件で比較できる評価へ戻る |
| 安全性が不安 | 開始前症状、バイタル、疾患特有のリスク | 中止・相談基準を確認する |
| 数値が改善しても生活が変わらない | 実際に制限されているADL・IADL | 生活動作を1つ選び介入目標へ戻す |
| 呼吸評価が毎回違う | 測定条件・タイミング・記録項目 | 同じ条件と順番で再評価する |
手技そのものの実施方法や安全管理を探している場合は、臨床手技・プロトコルハブから各手順へ進んでください。
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。
Q1. 内部障害患者では、最初にどの評価を取ればよいですか?
全員に同じ評価を行うのではなく、まず疾患・病態、現在の症状、介入前の安全性を確認します。そのうえで、息切れ、運動耐容能、循環反応など、次の判断に必要な評価を選びます。
Q2. Borgや6 MWTは内部障害患者なら全員に必要ですか?
必ずしも全員に必要ではありません。評価目的、歩行能力、全身状態、疾患、実施可能性によって選択します。重要なのは尺度やテストを増やすことではなく、得られた結果が負荷設定や再評価に使えることです。
Q3. 心不全とCOPDで共通して見るポイントはありますか?
症状、バイタル、活動時の反応、運動耐容能、測定条件などは共通して確認します。一方で、心不全ではうっ血などの循環器特有の情報、COPDでは呼吸困難や増悪歴など、それぞれの病態に応じた情報も必要です。
次の一手|このハブから専門記事へ進む
このページは内部障害領域の入口です。疾患や困っている問題が決まったら、このページで評価方法を掘り下げ続けるのではなく、対応する疾患別・評価別・手技別の記事へ進んでください。
「何を実施するか」ではなく、まず「何を判断したいのか」を決めると、必要な評価と次の記事を選びやすくなります。
参考文献
- 日本循環器学会, 日本心臓リハビリテーション学会. 2021年改訂版 心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドライン. 日本循環器学会.
- 日本循環器学会, 日本心不全学会. 2025年改訂版 心不全診療ガイドライン. 日本循環器学会.
- Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. Global Strategy for Prevention, Diagnosis and Management of COPD: 2026 Report. GOLD 2026 Report and Pocket Guide.
- ATS Committee on Proficiency Standards for Clinical Pulmonary Function Laboratories. ATS statement: guidelines for the six-minute walk test. Am J Respir Crit Care Med. 2002;166(1):111-117. DOI: 10.1164/ajrccm.166.1.at1102 / PubMed: 12091180
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

