嚥下食レベル一覧|JDD2021の0j・0t〜4ととろみ3段階

栄養・嚥下
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嚥下食レベルとは?JDD2021の食事コードととろみ3段階を分けて確認します

結論:「嚥下食レベル」を確認するときは、JDD2021(学会分類2021)の食事コードと、水分のとろみ3段階を分けて考えます。食事はコード0〜4の5段階を基本とし、実際の表記は0j・0t・1j・2-1・2-2・3・4です。水分のとろみは薄い・中間・濃いの3段階で整理します。

特に迷いやすいのが、「0t」と「とろみ3段階は同じなのかという点です。0tは単に「とろみ付き液体すべて」を示すコードではありません。本記事では、各コードの違い、0tの位置づけ、とろみの数値基準、2-1と2-2・3と4の境界、記録・申し送りまで実務向けに整理します。

最初に押さえる3点

  • JDD2021(食事)は0j・0t・1j・2-1・2-2・3・4で整理する
  • 0tと「薄い・中間・濃い」のとろみ3段階は同じ分類ではない
  • JDD2021とFILSは、評価している内容が異なる
JDD2021の食事コード、とろみ3段階、FILSの違いを整理した図
図:JDD2021(食事)、とろみ3段階、FILSはそれぞれ役割が異なります。図中の「0tはとろみではない」は、0tが「とろみ3段階そのものではない」という意味です。0t自体は、JDD2021(食事)でとろみを意味する嚥下訓練食品のコードです。

JDD2021の食事コード一覧|0j・0t・1j・2-1・2-2・3・4

JDD2021(食事)は、コード0・1・2・3・4の5段階を基本とします。コード0は0jと0t、コード2は2-1と2-2に分かれるため、実際に確認する表記は7つです。

重要なのは、コード番号だけで食形態を判断しないことです。JDD2021は名称だけではなく、均質性、付着性、凝集性、離水、押しつぶしに必要な能力などの形態・性状を確認して分類します。また、コード番号はすべての患者さんで難易度や重症度と一致するわけではなく、その時点で適切な食形態を個別に検討します。

スマートフォンでは表を横スクロールできます。

JDD2021(食事)のコードを理解するための要約
コード 位置づけ 形態・性状のポイント 必要な口腔機能の目安 区別するときのポイント
0j 嚥下訓練食品 均質なゼリー状。付着性・凝集性・かたさ・離水に配慮 若干の送り込み能力 少量をすくった時点で適切な食塊状となり、そのまま嚥下できる形態を想定する
0t 嚥下訓練食品 均質で、付着性が低く、適切な粘度と凝集性をもつとろみの形態 若干の送り込み能力 原則として中間または濃いとろみを想定する。通常のとろみ付き水分すべてを意味しない
1j 嚥下調整食 均質なゼリー・プリン・ムース状。付着性・凝集性・かたさ・離水に配慮 若干の食塊保持・送り込み能力 口腔外ですでに適切な食塊状となっている形態を想定する
2-1 嚥下調整食 均質でなめらか、べたつかず、まとまりやすいペースト状 下顎・舌による食塊形成と保持 粒やざらつきがない「均質」であることが2-2との大きな違い
2-2 嚥下調整食 べたつかず、まとまりやすいが、やわらかい粒などを含む不均質な形態 下顎・舌による食塊形成と保持 2-1との中心的な違いは、均質か不均質か
3 嚥下調整食 形はあるが押しつぶしやすく、食塊形成・移送がしやすい。多量の離水やばらけに配慮 舌と口蓋間の押しつぶし能力以上 押しつぶした後に再びまとめて送り込めることが必要
4 嚥下調整食 かたすぎず、ばらけにくく、貼りつきにくい。箸やスプーンで切れるやわらかさ 上下の歯槽堤間の押しつぶし能力以上 舌と口蓋間の押しつぶしだけでは処理が難しく、歯槽堤間での押しつぶし・すりつぶしを想定する

※日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2021」をもとに、各コードの違いを確認しやすいよう要約しています。正式な分類・適用では、学会分類2021本文と早見表を確認してください。

0tと「とろみ3段階」は同じではありません

0tと、薄い・中間・濃いのとろみ3段階は別の分類です。ここはJDD2021を読むときに特に混同しやすいポイントです。

0tは、JDD2021(食事)に含まれる嚥下訓練食品のコードです。均質で、付着性が低く、適切な粘度と凝集性をもつとろみの形態を指し、原則として中間のとろみまたは濃いとろみが対応します。

一方、「薄い・中間・濃い」はJDD2021(とろみ)で、嚥下障害者のためのとろみ付き液体を3段階に整理したものです。つまり、例えば「薄いとろみのお茶」を使用しているからといって、その水分を自動的に食事コード0tと表現するわけではありません。

0tと、とろみ3段階の違い
確認項目 0t とろみ3段階
分類 JDD2021(食事) JDD2021(とろみ)
役割 嚥下訓練食品としての食事コード 液体のとろみの程度を表す
主な表記 コード0t 薄い・中間・濃い
実務上の記録 0tとして使用した場合に記録 水分のとろみとして食事コードとは別に記録

なお、コード1には1jがありますが、1tというコードは設定されていません。また、コード番号をそのまま「0→1→2→3→4」と機械的に食上げするのではなく、患者さんごとに適切な食形態を評価します。

とろみ3段階|薄い・中間・濃いの数値を確認します

JDD2021(とろみ)は、段階1「薄いとろみ」・段階2「中間のとろみ」・段階3「濃いとろみ」の3段階です。段階番号はとろみ調整食品の使用量が少ない順であり、単純な難易度の番号ではありません。

JDD2021(とろみ)3段階の目安
段階 名称 粘度 LST値 シリンジ法の残留量
1 薄いとろみ 50–150 mPa・s 36–43 mm 2.2–7.0 mL
2 中間のとろみ 150–300 mPa・s 32–36 mm 7.0–9.5 mL
3 濃いとろみ 300–500 mPa・s 30–32 mm 9.5–10.0 mL

数値だけを切り取って使用しないことが重要です。学会分類の粘度値は、コーンプレート型回転粘度計を用い、測定温度20℃、ずり速度50 s−1などの定められた条件で測定した値です。異なる粘度計や測定条件で得た数値を、そのままJDD2021の粘度値と比較することはできません。

LST値と粘度も完全には一致しないため、境界付近では注意が必要です。また、シリンジ法は10 mLのシリンジへ液体を入れ、10秒間自然落下させた後の残留量を確認する方法です。

とろみ調整食品の種類、飲料、温度、調製後の時間によっても状態は変化します。実務では作り方を再現できるようにしたうえで、患者さんが実際に飲む時点の状態を確認します。

また、単に「濃いほど安全」と考えるのも避けます。濃いとろみは重度の嚥下障害で選択される場合がありますが、とろみ調整食品によっては付着性などが増して、かえって嚥下しにくくなることがあります。患者さんごとに安全性と適切なとろみの程度を評価します。

JDD2021とFILSは別|食形態と摂食状況を分けて記録します

JDD2021とFILSは、同じ「レベル」を扱っていても評価している内容が異なります。JDD2021は食事の形態と水分のとろみを共有する分類です。一方、FILSは実際の摂食状況を1〜10で評価する尺度です。

FILSでは、レベル1〜3は食事としての経口摂取をしていない段階、4〜6は代替栄養を併用する段階、7以上は3食を経口摂取し代替栄養を必要としない段階として大きく整理できます。

したがって、「JDD2021のコード2-1だからFILS○」のように一対一で換算するものではありません。食形態と摂食状況の両方を共有する場合は、「JDD2021:2-1/水分:中間のとろみ/FILS:○」のように別々に記録します。FILSの各レベルの判定は、FILS(食事摂取レベル)1〜10の判定と記録例で確認できます。

食形態の分類と「この患者に使えるか」の判断は分けます

JDD2021のコードを特定できても、その食形態を患者さんが安全に摂取できると決まるわけではありません。JDD2021は食形態・とろみを共有するための共通言語であり、患者への適用は嚥下機能や全身状態を含めて個別に評価します。

患者側では、覚醒、呼吸状態、姿勢、口腔機能、食塊の保持・送り込み、押しつぶしや咀嚼能力、疲労、摂取量などを確認します。むせ、湿性嗄声、SpO2変化なども観察情報になりますが、単独所見だけで誤嚥の有無を確定することはできません

判断が難しい場合はST・医師などと共有し、必要に応じてVE・VFを含む評価につなげます。患者側の評価手順から確認したい場合は、摂食嚥下評価の全体像と基本的な評価手順で整理しています。

申し送りは「食事コード」と「水分」を別々に残します

申し送りでは、施設内の食種名だけでなく、JDD2021コードと水分条件を分けて残すと解釈のズレを減らせます。さらに、姿勢や一口量など、その患者さんで確認した提供条件を併記すると再現しやすくなります。

JDD2021を使った申し送りで残したい情報
項目 記録内容 記録例
食事 JDD2021コードと実際の料理形態 JDD2021 2-1/主食:ミキサー粥
水分 とろみの有無・段階 中間のとろみ
提供条件 姿勢、一口量、介助方法など 座位80°/一口量5 mL/介助あり
観察所見 むせ、声、口腔残留、呼吸変化、疲労など むせなし/湿性嗄声なし/後半に疲労あり
次の対応 継続、条件調整、追加評価、相談など 同条件で継続/STと再評価

JDD2021で迷いやすい4つのポイント

実務でズレやすいのは、似た言葉やコード番号をそのまま同じ意味として扱う場面です。特に0t、2-1と2-2、3と4、コード番号と重症度の関係は分けて考えます。

JDD2021で起こりやすい混同と確認点
迷いやすい場面 確認すること
0t=とろみ付き水分すべてと考える 0tはJDD2021(食事)の嚥下訓練食品。通常の水分のとろみは別に記録する
2-1と2-2を食種名だけで決める 2-1は均質でなめらか、2-2はやわらかい粒などを含む不均質な形態であることを確認する
3と4を「少し硬い・柔らかい」だけで分ける 舌と口蓋間で押しつぶせるか、上下の歯槽堤間での押しつぶしが必要かも確認する
コード番号を重症度そのものと考える 数字の大小は参考にしつつ、疾患・病態と実際の摂取能力に合わせて個別に食形態を選ぶ

記録テンプレ|コード・とろみ・条件を分けて残します

記録では、JDD2021による食品の分類と、その患者さんで確認した摂取条件を分けて残します。以下はJDD2021の公式記録様式ではなく、分類と患者側の条件を混同しないための実務用記録例です。

【食事】JDD2021コード:__/主食:__/副食:__

【水分】とろみ:なし・薄い・中間・濃い/飲料:__

【調製】とろみ調整食品:__/量:__/温度:__/調製後時間:__

【条件】姿勢:__/一口量:__/介助方法:__

【所見】むせ:__/湿性嗄声:__/口腔残留:__/呼吸変化:__/疲労:__

【摂取状況】摂取量:__/所要時間:__/FILS:__(使用する場合)

【方針】継続・条件調整・追加評価・ST/医師へ相談/再評価条件:__

記録シートPDF|条件と申し送りを1枚で整理できます

手書きで整理したい場合は、既存のA4「嚥下食レベル選定5分フロー記録シート」を使用できます。赤旗確認、食形態・水分、評価条件、観察所見、方針・再評価までを1枚で記録するための当サイト作成シートです。

PDF v2を使用するときの注意:現在の食形態欄は「0j・1j・2-1・2-2・3・4」で、0tの独立したチェック欄はありません。0tを使用する場合は補足欄などへ明記し、正式なJDD2021コードは本文または学会分類2021を優先してください。

嚥下食レベル選定5分フロー記録シート(A4 / PDF)

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JDD2021でよくある質問

迷いやすいポイントだけを、本文の確認用としてまとめます。

Q1.0tと「とろみ3段階」は同じですか?

A.同じではありません。0tはJDD2021(食事)における嚥下訓練食品のコードです。薄い・中間・濃いの3段階は、JDD2021(とろみ)で液体のとろみの程度を表します。

Q2.1tというコードはありますか?

A.ありません。JDD2021(食事)は0j・0t・1j・2-1・2-2・3・4で構成されます。1には1jが設定されています。

Q3.2-1と2-2の違いは何ですか?

A.中心的な違いは均質性です。2-1はなめらかで均質なもの、2-2はやわらかい粒などを含む不均質なものです。「ミキサー食」「ペースト食」などの施設名称だけではなく、実際の性状を確認します。

Q4.コード0から4は、そのまま嚥下障害の重症度順ですか?

A.すべての患者さんに共通する重症度順ではありません。数字の大小は参考になりますが、疾患・病態によって適切な食形態は異なるため、患者さんごとに評価します。

Q5.とろみは段階3の方が安全ですか?

A.必ずしもそうではありません。濃いとろみが適する患者さんもいますが、付着性などが増して嚥下しにくくなる場合もあります。適切なとろみの程度は患者さんごとに評価します。

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JDD2021は、食形態ととろみを多職種・施設間で共有するための共通言語です。個々の患者さんにどの食形態を選ぶかは、嚥下機能や全身状態、摂取状況を合わせて判断します。


参考文献

  1. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食委員会. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021. 日摂食嚥下リハ会誌. 2021;25(2):135-149. 学会資料
  2. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会. 日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021 Q&A. 学会Q&A
  3. Kayashita J, Fujishima I, Fujitani J, et al. The Japanese Dysphagia Diet of 2021 by the Japanese Society of Dysphagia Rehabilitation. Jpn J Compr Rehabil Sci. 2022;13:64-77. doi: 10.11336/jjcrs.13.64
  4. Kunieda K, Ohno T, Fujishima I, Hojo K, Morita T. Reliability and validity of a tool to measure the severity of dysphagia: the Food Intake LEVEL Scale. J Pain Symptom Manage. 2013;46(2):201-206. doi: 10.1016/j.jpainsymman.2012.07.020

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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