エンドフィールとは?ROM 制限の見分け方と記録のコツ

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エンドフィール( end-feel )とは?| ROM 制限の原因を “止まり方” で見分ける

エンドフィール( end-feel )は、他動運動の終末域で検者が感じる抵抗感(止まり方)です。ROM 制限では「どこで止まるか」だけでなく、どう止まるかまでそろえて見ると、筋性・関節包性・防御性収縮・機械的ブロックの切り分けがしやすくなります。この記事は、end-feel の種類、見分け方、 1 行記録、止めどきを短時間で整理したい PT / OT 向けです。

このページで答えるのは、end-feel を臨床でどう見分け、どう記録し、どこで評価を止めるかです。一方で、関節ごとの正常 ROM 一覧や疾患別の詳細診断までは深掘りしません。まずは「明日からブレずに触れる」ことに絞って、必要最小限で整理します。

エンドフィールの基本|まずは “正常” と “異常” を分ける

エンドフィールは、正常 end-feel(生理的)異常 end-feel(病的) に大別できます。まずは soft / firm / hard の正常パターンを身体で覚えると、capsular、spasm、empty、springy block の “違和感” を拾いやすくなります。

ただし、end-feel は主観的評価です。再現性を上げるには、同じ肢位・同じ速度・同じ最終域の押し込みでそろえ、痛みの部位とタイミングをセットで記録することが欠かせません。

エンドフィールの代表分類(正常/異常)| ROM 制限の “止まり方” を言語化する
分類 触れる感触(目安) 示唆する主因 臨床メモ(例)
Soft(正常) 柔らかい圧迫感 軟部組織の接近 「終末域で soft。圧迫感あり」
Firm(正常) 弾性のある張り 筋・腱の伸張 「終末域で firm。伸張感が優位」
Hard(正常) カチッと停止(骨性) 骨同士の接触 「終末域で hard。明確な stop」
Capsular(異常) 硬い/詰まる感じ 関節包・滑膜由来 「capsular feel。関節包性の硬さ」
Muscle spasm(異常) 途中で急に止まる(防御性) 疼痛・不安・反射性収縮 「痛み増悪と同時に spasm 様 stop」
Empty(異常) 抵抗より先に痛みで中止 急性炎症/骨折・腫瘍など 「empty feel。痛みで最終域まで不可」
Springy block(異常) バネ様で最後までいかない 関節内の機械的阻害 「springy block。機械的ブロック疑い」

5〜10 分でやる| ROM 制限の原因を絞る “ end-feel 中心 ” の手順

エンドフィールは単独で決め打ちせず、①どの角度で止まるか ②どんな止まり方か ③痛みがいつ出るか をセットで見ます。この 3 点だけでも、「伸張を進めるか」「まず痛みを落とすか」「負荷を上げず共有すべきか」の優先順位がつきます。

コツは、最終域の少し手前から減速し、軽い overpressure で確認することです。急に押し込むと spasm や痛み反応が混じり、別の end-feel に見えやすくなります。

エンドフィールで原因を絞るミニフロー(現場用)
手順 見るポイント よくある判断 次の一手(例)
① 痛みの性質 安静痛/夜間痛/熱感/外傷直後 炎症・損傷が強いか 無理に最終域を取らない
② 他動 ROM(ゆっくり) 最終域の手前から速度を落とす spasm / empty を拾う 痛みの閾値を確認
③ 軽い overpressure 抵抗の質( soft / firm / hard ) 筋性か関節包性か 伸張/モビライゼーションの適否を考える
④ 関節内ブロックの有無 springy block / catching 機械的阻害の可能性 負荷を上げずに共有
⑤ 代償動作 骨盤・体幹・隣接関節 見かけの ROM 改善 固定を強めて再評価

現場の詰まりどころ| “迷う end-feel” を 5 パターンで整理

臨床で迷いやすいのは、firm と capsular、そして spasm と empty です。迷ったときは「痛みが先か、抵抗が先か」「止まり方に再現性があるか」に戻ると、判断が安定します。

迷ったら、先に よくある失敗中止基準 を見返すと整理しやすいです。ROM の固定・代償・角度の取り方は 関節可動域( ROM )検査のやり方と記録ルール にまとめています。

迷いやすい end-feel の見分けポイント(メモ用)
パターン 見え方 見分けの一言 記録例(短文)
Firm(筋性) 伸張に伴い抵抗が増える “最後に伸びる余地” が残る 「firm。筋性の伸張感優位」
Capsular 詰まる/硬い/方向で偏る “関節内で止まる” 感じ 「capsular。硬い終末感」
Muscle spasm ある角度で急に止まる 痛み・不安で再現性が揺れる 「痛みと同時に spasm 様 stop」
Empty 抵抗より痛みで中止 “触れない” まま終わる 「empty。疼痛で最終域不可」
Springy block バネ様/引っかかり 機械的阻害を疑う 「springy block。catching あり」

記録のコツ| end-feel は “角度+痛み+質” を 1 行で残す

エンドフィールは、文章が長いほど曖昧になります。おすすめは、角度(どこで)+痛み(いつ/どこ)+ end-feel(どう) の順に、短文で固定することです。

例:「肩関節 外旋:他動 30° で前方痛増悪、終末域で capsular feel。代償:肩甲骨前傾あり」 のように、次回の再評価で同条件を再現できる形にします。

そのまま使える記録テンプレ( ROM / end-feel )
項目 書き方
ROM 他動/自動、角度 「PROM: 0–90° 」
痛み 部位+タイミング 「終末域で前方痛」
end-feel soft / firm / hard /異常分類 「firm(筋性)」「empty」
再現性 同条件で同じか 「3 回とも同様」
代償 体幹・隣接関節 「骨盤後傾で見かけ改善」

ダウンロード| end-feel 記録シート( PDF )

評価の手順をそろえながら記録したい方へ、end-feel 記録シートを用意しました。角度・痛み・終末感・再現性・メモを 1 枚で残せる形なので、初回評価と再評価の比較に使いやすい構成です。

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よくある失敗| end-feel がブレる原因は “手順” にある

エンドフィールの評価が不安定なときは、技術よりも手順のばらつきが原因のことが多いです。特に、最終域の速度と固定がそろっていないと、別物の end-feel を触ってしまいます。

下の表は、現場で多い “ NG →修正” をまとめたものです。チェックリストとして使ってください。

NG→修正ポイント( end-feel が安定するコツ)
NG(よくある) 何が起きる? 修正 一言メモ
最終域まで速い spasm を誘発しやすい 手前で減速→段階的に 「ゆっくりが正義」
固定が甘い 代償で見かけ ROM が伸びる 近位固定を強める 「骨盤・肩甲骨を止める」
押し込みが強すぎる 痛み先行で empty っぽくなる 軽い overpressure から 「まず確認→必要なら追加」
痛みの位置を聞いていない 原因推定が曖昧になる 部位・放散・タイミングを記録する 「いつ/どこで痛い?」

中止基準・赤旗| “ empty feel ” は特に慎重に

empty feel は「抵抗より痛みが先に来る」ため、無理に押し込むと悪化させるリスクがあります。安静痛、夜間痛、強い熱感、外傷直後 が絡む場合は、深追いせず情報共有を優先します。

下表は “いったん止める” 目安です。施設ルールや医師指示が最優先ですが、迷ったときの共通言語として使えます。

中止・相談の目安( end-feel 評価時)
所見 意味づけ(例) 推奨アクション
強い安静痛/夜間痛 炎症・重篤原因の可能性 無理に最終域を取らず共有
熱感・腫脹が顕著 急性炎症の関与 刺激量を下げて評価計画を見直す
springy block + locking 感 機械的阻害の可能性 負荷を上げずに所見を記録・相談
神経症状(しびれ増悪など) 神経系の関与 誘発肢位を避け、別評価へ切り替える

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. end-feel は毎回必ず取るべきですか?

A. すべての関節・すべての方向で深く取る必要はありません。まずは制限が強い方向/治療方針に直結する方向に絞り、手順を統一して記録するのがおすすめです。痛みが強い日は range の確認に留め、無理に押し込まない判断も重要です。

Q2. firm と capsular が毎回迷います。

A. 迷うときは「痛みの先行」「方向性(複数方向で同じ硬さか)」「再現性」に戻ります。capsular は “詰まり感” が一定で複数方向に広がりやすく、firm は筋の伸張に沿って抵抗が増えやすい、という整理が役立ちます。

Q3. empty feel を疑ったら、どう記録するのが安全ですか?

A. 「どの角度で」「どこが」「どの程度」痛いかを先に書き、抵抗の評価は “痛みで最終域まで不可” と明記します。無理に分類しようとせず、赤旗の有無(安静痛・夜間痛・腫脹など)を添えると共有の質が上がります。

Q4. springy block は必ず半月板損傷ですか?

A. 断定はできません。springy block は “機械的に止まる” サインの 1 つで、関節内構造の関与を示唆します。locking 感や catching、外傷機転と合わせて、負荷を上げずに共有するのが安全です。

次の一手

全体像から戻るなら 評価ハブ、測定の順番と固定をそろえるなら 関節可動域( ROM )検査のやり方と記録ルール を続けて読むのがおすすめです。


参考文献

  1. Hayes KW, Petersen CM. Reliability of Assessing End-Feel and Pain and Resistance Sequence in Subjects With Painful Shoulders and Knees. J Orthop Sports Phys Ther. 2001;31(8):432-445. DOI:10.2519/jospt.2001.31.8.432
  2. Petersen CM, et al. Association of End-Feels With Pain at the Knee and Shoulder. J Orthop Sports Phys Ther. 2000;30(9):512-519. DOI:10.2519/jospt.2000.30.9.512
  3. Kawamura H, Tasaka S, Ikeda A, et al. Ability to categorize end-feel joint movement according to years of clinical experience: an experiment with an end-feel simulator. J Phys Ther Sci. 2020;32(4):297-302. DOI:10.1589/jpts.32.297
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  5. van de Pol RJ, et al. Inter-rater reliability for measurement of passive physiological movements in upper extremity joints: a systematic review. Man Ther. 2010;15(6):e1-e13. DOI:10.1016/S1836-9553(10)70049-7
  6. Gajdosik RL, Bohannon RW. Clinical measurement of range of motion. Review of goniometry emphasizing reliability and validity. Phys Ther. 1987;67(12):1867-1872. DOI:10.1093/ptj/67.12.1867
  7. Boone DC, Azen SP. Reliability of goniometric measurements. Phys Ther. 1978;58(11):1355-1360. PubMed:704684
  8. Menadue C, Raymond J, Kilbreath SL, Refshauge KM. Reliability of two goniometric methods of measuring active inversion and eversion range of motion at the ankle. BMC Musculoskelet Disord. 2006;7:60. PubMed:16846562

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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