【改訂版PGCモラールスケールの評価方法を解説】評価用紙DL可能

評価法
リハビリくん
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こんにちは!リハビリくんです!

この記事では「改訂版PGCモラールスケール」をキーワードに内容を整理していきます。

    

生活満足感や幸福感などの主観的な Quality Of Life を評価することは、問題点の把握やリハビリテーションの効果を判定するうえで重要になります。

特に、超高齢社会を迎えた現在、高齢者が延長された老年期をいかに過ごすのか、その生活の内容が問われるようになってきているため主観的なQOLの評価はリハビリテーションにおける主要な評価項目となっております。

  

主観的なQOL評価として国内で使用されている尺度の1つに改訂版PGCモラールスケールという指標が挙げられます。こちらはIADLの評価尺度して有名なLawtonの尺度を開発したLawtonが開発した主観的QOL評価方法になります。

   

改訂版PGCモラールスケールについてご存知の方もいると思いますが、評価項目や評価方法まではあまり良く知らない方もいらっしゃると思います。そんな人のために、こちらの記事をまとめました!

  

この記事を読むことで、改訂版PGCモラールスケールについての理解を深め、臨床におけるQOL評価の一助になることを目標にします。是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


   

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QOLとは

QOLは「Quality Of Life」を省略した言葉であり、日本語では「生活の質」や「生命の質」と訳されます。

高齢化の進む日本では、「単に生きるだけではなく充実した人生を過ごすこと」や「自分らしさを保って暮らすこと」が人生の充実に直結すると考えられており、近年重要視されている指標になります。

現代の医学・医療の進歩は、単に疾病を治療・予防するだけでなく、患者の視点に立ったQOLの向上を求める方向へ向かっております。そこで、アウトカム研究の指標としてQOLは重要視されています。

QOL評価の種類について

医療や介護においてQOLを評価をする1つの目的として、健康状態と関連したQOLを評価することが挙げられます。

この、健康状態と関連したQOL評価を「健康関連QOL」といいます。健康関連QOLとは「疾患や治療が、患者の主観的健康感(メンタルへルス・活力・痛みなど)や、毎日行っている仕事・家事・社会活動にどのようなインパクトを与えているか、これを定量化したもの」とされています。また、健康関連QOLについては、いわゆる客観的評価になります。

そして健康関連QOLは包括的尺度と疾患特異的尺度の2つの尺度に分類されます。包括的尺度とは、測定対象を特定の疾患であったり、年齢や介護度で限定しないQOL尺度になります。そのため、健康な人を対象として評価することもできます。

包括的尺度の代表的なものとしてSF-36が挙げられます。SF-36については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【SF-36:健康関連QOL評価についての記事はこちらから

疾患特異的尺度とは、疾患ごとのQOL評価尺度になります。疾患の症状に起因する状態について、詳細な評価を行うための質問項目が用意されているため、症状の変化や治療の効果判定に敏感に反応します。

例えばパーキンソン病に特異的なQOL評価尺度としてPDQ-39がございます。PDQ-39については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【PDQ-39:パーキンソン病のQOL評価についての記事はこちらから

QOL評価の種類として、健康関連QOLの他には、主観的QOLが挙げられます。社会心理学や老年学において、主観的QOLを評価するためには、生活満足度や主観的幸福感、生きがいなどの概念を用いて、身体的・心理的・社会的・環境を指標に評価すると良いとされております。

ウェルビーイング(well-being)

ウェルビーイング(well-being)は、健康・幸福・福祉などに直訳されます。この言葉が初めて登場したのは、1946年の世界保健機関(WHO)設立時になります。

世界保健機関では、「健康とは、単に疾病がない状態ということではなく、肉体的、精神的、そして社会的に、完全に満たされた状態にある」ことを「ウェルビーイング(well-being)」としております。

「Health:健康」は、狭い意味での心身の健康のみを指すのではなく、感情として幸せを感じたり、社会的に良好な状態を維持していることなど、全てが満たされている広い意味での「健康」である、と解釈することができます。

健康であるのか、つまりウェルビーイング(well-being)といえるのかどうかを評価するために開発された評価尺度がPGCモラール・スケールになります。

改訂版PGCモラール・スケール

PGCモラール・スケールは Lawton によって開発された尺度であり、「I:心理的動揺」「II:老いに対する態度」「III:孤独感・不満足感」を下位概念としたモラールを測定する尺度になります。

モラールとは、集団の目標達成のために積極的に貢献しようとする意欲・態度のことを表します。「士気」や「やる気」とも訳され、社会心理学や産業心理学の分野では、勤労意欲や労働意欲を指します。

Lawtonはモラールが高いということは、「自分自身についての基本的な満足感を持っていること」「環境のなかに自分の居場所があるという感じをもっていること」「動かしえないような事実については、それを受容できていること」の 3 つの意味が含まれていると捉えております。

そして、モラールを測定するためにモラールを多次元のものとして定義したうえで、一次元の得点として表わすために開発、改訂したのが改訂版PGCモラール・スケールになります。

開発当初は22項目からなる尺度でありましたが、17項目版に改定され、近年は高齢者にとってより負担が少ない11項目版が普及しております。

削除された項目は、「さびしさ」「家族・友人等との行き来の満足」「不安」「怒り」「生きることの厳しさ」などの項目になります。

評価方法

PGCモラール・スケールは自己記入式の質問紙になります。知的機能の著しく低下した高齢者でなければ、調査票への記入が可能になります。

面接で聴き取る場合には、質問者が自分の判断で説明を加えたり、誘導したりすることがないようにします。

回答の選択肢は「はい」「いいえ」「わからない」の3件法になります。

肯定的な選択肢が選ばれた場合に 1 点、その他の選択肢が選ばれた場合には 0 点として、単純に加算して合計得点を算出します。「わからない」については一律で0点とします。最高得点は 11 点であり、得点が高いほどモラールが高いことを示します。

改訂版PGCモラール・スケールは 11 項目中 8 項目が否定的な設問となり、ポジティプな表現の設問は3項目(1、2、7)のみとなります。

改訂版PGCモラール・スケールは簡易的に短時間で評価することが可能ではありますが、自分の状況における動揺、老いによる影響、不満などに向き合う内容であることを踏まえて使用する必要があります。

評価項目

改訂版PGCモラール・スケールは11項目から成り、「はい」「いいえ」「わからない」の3件法により回答してもらいます。

  1. 今の生活に満足していますか
  2. あなたは現在、去年と同じくらい元気だと思っていますか
  3. この1年くらい、小さなことを気にするようになったと思いますか
  4. 年をとって前より役に立たなくなったと思いますか
  5. 心配だったり、気になったりして眠れないことがありますか
  6. 生きていても仕方がないと思うことがありますか
  7. 若い時に比べて、今の方が幸せだと思いますか
  8. 悲しいことがたくさんあると感じますか
  9. あなたは自分の人生は年をとるに従って、だんだん悪くなっていくと感じますか
  10. 物事をいつも深刻に受け止める方ですか
  11. 心配事があると、すぐにおろおろする方ですか

「I:心理的動揺」についての設問→3、5、10、11

「II:老いに対する態度」についての設問→2、4、7、9

「III:孤独感・不満足感」についての設問→6、8


評価用紙

改訂版PGCモラール・スケールの評価用紙をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「改訂版PGCモラール・スケール」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事が、臨床におけるQOL評価の一助へと繋がれば幸いです。

リハビリくん
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参考文献

  1. 中村勝喜,阿部吉樹,柴山大賀,日高紀久江.要支援・軽度要介護高齢者の主観的 QOLと高次生活機能の関連要因の検討.日本老年医学会雑誌.55巻,2号,2018:4,p276-283.
  2. 古谷野亘.社会老年学におけるQOL研究の現状と課題.J.Natl.Inst.Public Health.53(3) ,2004,p204-208.
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