HDS-Rとは?やり方・採点・記録例|PDF・自動計算

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HDS-Rは30点満点の認知機能スクリーニングです

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HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)は、認知機能低下の可能性を短時間で確認する30点満点のスクリーニングです。原著では20/21点がカットオフとして示され、20点以下は追加評価を検討する目安になりますが、点数だけで認知症を確定する検査ではありません。

この記事では、PT・OT・STなどの医療従事者に向けて、実施前にそろえる条件、採点結果の見方、領域別の記録、再評価、よくある失敗を整理します。設問全文は掲載せず、自動計算ツールとA4記録用紙を使って、結果を安全管理やチーム共有へつなげる方法に絞って解説します。

HDS-Rとは?目的と使用場面

HDS-Rの役割は、認知症を診断することではなく、認知機能低下の可能性を拾い、追加評価や受診、生活機能の確認が必要かを判断する入口を作ることです。

9項目、30点満点で構成され、年齢、時間・場所の見当識、記銘、注意・計算、遅延再生、物品の記銘、語想起などを確認します。設問、教示、採点方法は、使用している正規資料や施設内の手順に沿ってください。

HDS-Rを検討しやすい場面

  • 指示の保持が難しい:説明直後は実施できても、時間が経つと手順が抜ける
  • 転倒や危険行動が増えた:見当識や注意の変化が安全管理へ影響していないか確認したい
  • 自己管理に不安がある:服薬、水分、補助具、予定管理などのIADLも含めて確認したい
  • 退院支援で情報を共有したい:家族聴取や生活機能評価へ進む必要性を整理したい
  • 経時変化を確認したい:状態が整った条件で再評価し、前回との差を確認したい

HDS-Rだけでは生活上の支障や必要な支援までは確定できません。低得点や気になる誤り方がある場合は、ADL・IADL、家族情報、行動観察、必要に応じた追加評価と組み合わせます。

HDS-Rのやり方|実施前に条件をそろえる

再現性を高めるには、検査を始める前に、覚醒、体調、感覚器、コミュニケーション、環境を確認します。条件が整っていないまま実施すると、認知機能以外の理由で得点が下がり、再評価との比較も難しくなります。

HDS-Rを実施して次の対応を決める4ステップ。実施条件の確認、正規資料に沿った実施、点数と誤り方の記録、次の対応の決定を示す図版
HDS-Rは、実施条件を整え、正規資料に沿って実施し、点数と誤り方を記録したうえで次の対応を決めます。
  1. 正規資料を準備する:施設で使用している実施用紙や手引きを確認する
  2. 覚醒と体調を確認する:眠気、疼痛、呼吸苦、発熱、脱水、低血糖が疑われる状態などを確認する
  3. 感覚器を確認する:眼鏡、補聴器、照度、騒音を確認する
  4. コミュニケーションを確認する:失語、難聴、構音障害などが検査の成立へ影響しないか確認する
  5. 環境を整える:周囲の会話、テレビ、人の出入り、同席者の介入を減らす
  6. 実施中の反応を記録する:聞き返し、反応時間、注意の中断、保続、途中離脱をメモする

聞こえにくい、理解しにくいという理由で、検査者が独自に設問を言い換えたり、手がかりや回答方法を変更したりすると、標準化された得点として解釈できなくなる場合があります。正規資料で認められていない変更は避け、成立しなかった理由を記録してください。

HDS-Rの採点と20/21点の考え方

HDS-Rは30点満点です。原著では20/21点をカットオフとし、20点以下を認知症が疑われる範囲として検討していますが、これは診断確定値ではありません。1

HDS-Rの得点を解釈するときの基本
得点 基本的な位置づけ 次に確認すること
21〜30点 一般的なカットオフでは基準点以上 生活上の困り、本人・家族の訴え、領域別の誤り方を確認する
0〜20点 認知機能低下の可能性を検討する範囲 実施条件、急性変化、ADL・IADL、家族情報、追加評価を確認する

基準点以上でも軽度の認知機能低下や生活上の問題を否定できず、20点以下でも認知症が確定するわけではありません。せん妄、意識・覚醒の変化、抑うつ、疼痛、感覚障害、急性疾患などが疑われる場合は、その要因を先に確認します。

また、年齢、教育歴、性別などの背景因子が得点へ影響することも報告されています。カットオフだけで二分せず、対象者の背景と検査中の反応を併記してください。9

点数の見方|合計点と領域別の誤り方を確認する

HDS-Rは合計点だけでなく、どの領域で、どのような条件下で誤りが生じたかを確認すると、追加評価や関わり方を決めやすくなります。

HDS-Rの領域別に残したい観察所見
領域 確認する視点 記録する所見 次に確認すること
時間・場所の見当識 誤りが固定しているか、時間帯で揺れるか 誤答内容、日内変動、周囲の手がかりへの反応 せん妄、病棟内行動、迷行、環境変化
記銘・遅延再生 直後に保持できるか、時間経過後に想起できるか 自発的な想起、反応時間、同じ誤りの反復 予定、服薬、訓練手順などの生活上の保持
注意・計算・逆唱 課題の途中で注意が切れないか 中断、保続、聞き返し、周囲刺激への反応 複数指示、二重課題、安全確認
物品の記銘・語想起 視覚情報や語の検索がどの程度保たれているか 想起数、反応の遅れ、同じ語の反復 失語、視覚認知、語流暢性、生活上の物品管理

領域別所見は、そのまま認知機能障害の診断名へ置き換えるものではありません。「追加で何を確認するか」「リハ中にどの条件を調整するか」を決める材料として使います。

記録と再評価|点数・条件・所見・次の対応を残す

記録は「HDS-R ○点」だけで終わらせず、実施条件、得点、検査中の所見、生活上の情報、次の対応を一緒に残します。

  1. 実施条件:時間帯、場所、眼鏡・補聴器、覚醒、疼痛、周囲環境
  2. 得点:合計点と、必要な領域別得点
  3. 検査中の所見:聞き返し、反応時間、注意の揺れ、保続、途中離脱
  4. 生活上の情報:指示理解、服薬、移動、予定管理などのADL・IADL
  5. 次の対応:条件をそろえた再評価、家族聴取、追加評価、医師への相談

1行記録例:「HDS-R 19/30点。午後、病室、補聴器未装着で実施。時間の見当識と遅延再生で失点し、聞き返しと注意の中断あり。補聴器装着・静かな環境で再評価し、服薬管理について家族へ確認予定。」

再評価時にそろえる項目

  • 前回と同じ時間帯または覚醒状態か
  • 疼痛、発熱、呼吸苦、薬剤変更などの条件差がないか
  • 眼鏡・補聴器と実施環境が同じか
  • 合計点だけでなく、変化した領域はどこか
  • ADL・IADLや安全行動に変化があるか

小さな点数差だけで改善・悪化を断定せず、条件差、領域別所見、生活上の変化を並べて判断します。

HDS-R自動計算ツール

HDS-Rの各下位項目の得点を入力すると、合計点と判定の目安を自動表示します。設問文は掲載していないため、正規資料に沿って検査・採点した後の集計補助として使用してください。

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1項目でも未入力がある場合は、合計点と判定を確定表示しない仕様です。ツールの結果だけで判断せず、当日の状態、検査中の所見、ADL・IADLと合わせて解釈してください。

HDS-R記録用紙PDF

A4記録シートには、基本情報、実施前の確認、領域別得点、根拠メモ、再評価時の条件差と次の対応を1ページで記録できます。設問文や詳細な採点基準は収載していません。

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HDS-Rでよくある失敗と対策

HDS-Rで起こりやすい失敗は、検査条件をそろえず、合計点だけで判断することです。標準化を崩す独自の言い換えにも注意します。

HDS-R運用のOK/NG早見表
場面 NG OK 記録ポイント
聴力・失語が疑われる 独自に設問を言い換え、通常どおり採点する 正規資料の範囲で対応し、成立しなければ中止または参考値とする 補聴器、聞き返し、理解面、成立しなかった項目
眠気・疼痛・急性の体調不良 状態が悪い1回の得点だけで判断する 体調を整え、比較可能な条件で再評価する 覚醒、疼痛、発熱、呼吸状態、薬剤変更
点数の共有 「19点でした」だけで終える 条件、領域別所見、生活上の問題、次の対応を添える 誤り方、ADL・IADL、再評価予定
カットオフ 20点以下を認知症と断定する スクリーニング結果として追加評価へつなぐ 年齢、教育歴、急性変化、家族情報
再評価 前回と異なる条件の点数だけを比較する 実施条件と領域別変化を並べて比較する 時間帯、環境、感覚器、体調、生活上の変化

HDS-Rについてよくある質問

HDS-Rは何分くらいで実施できますか?

短時間で実施しやすい検査ですが、所要時間は聞き返し、注意の持続、体調、実施環境によって変わります。時間を短くするために教示を省略したり、回答を急がせたりせず、正規資料に沿って実施してください。

20点以下なら認知症で確定ですか?

確定ではありません。20点以下は認知機能低下の可能性を検討する目安です。実施条件、急性の体調変化、ADL・IADL、家族情報、追加評価を確認し、必要に応じて医師へ相談します。

失語や難聴がある場合も採点できますか?

コミュニケーション上の制約によって、認知機能そのものを適切に測定できない場合があります。補聴器や環境を整えても成立しない場合は、独自に検査方法を変更せず、成立しなかった理由を記録し、他の観察や評価を組み合わせます。

再評価はいつ行いますか?

一律の間隔ではなく、評価目的と状態変化に合わせます。眠気、疼痛、感染、せん妄などの影響があった場合は、状態が整ってから比較可能な条件で再評価します。退院支援や薬剤変更後など、判断を更新する必要がある時点でも検討します。

自動計算ツールだけで判定してよいですか?

ツールは得点の集計補助です。正規資料による実施・採点、当日の状態、検査中の反応、ADL・IADL、家族情報と合わせて使用してください。

次に確認する記事

HDS-Rを評価体系の中で位置づけ直す場合は評価ライブラリへ、近い認知機能スクリーニングの領域別解釈を確認する場合はMMSEの記事へ進んでください。


参考文献

  1. Imai Y, Hasegawa K. The Revised Hasegawa’s Dementia Scale (HDS-R): Evaluation of its usefulness as a screening test for dementia. Hong Kong J Psychiatry. 1994;4(2):20-24. 全文情報
  2. Folstein MF, Folstein SE, McHugh PR. “Mini-mental state”. A practical method for grading the cognitive state of patients for the clinician. J Psychiatr Res. 1975;12(3):189-198. doi: 10.1016/0022-3956(75)90026-6. PMID: 1202204
  3. Fujiwara Y, Suzuki H, Yasunaga M, et al. Brief screening tool for mild cognitive impairment in older Japanese: validation of the Japanese version of the Montreal Cognitive Assessment. Geriatr Gerontol Int. 2010;10(3):225-232. doi: 10.1111/j.1447-0594.2010.00585.x. PMID: 20141536
  4. Gong M, Kojima T, Ryu S, et al. Utility of a shortened Hasegawa Dementia Scale Revised questionnaire to rapidly screen and diagnose Alzheimer’s disease. Aging Med (Milton). 2021;4(2):109-114. doi: 10.1002/agm2.12152. PMID: 34250428
  5. Honjo Y, Ide K, Nagai K, et al. Attention to the domains of Revised Hasegawa Dementia Scale and Mini-Mental State Examination in patients with Alzheimer’s disease dementia. Psychogeriatrics. 2024;24(3):582-588. doi: 10.1111/psyg.13100. PMID: 38403287
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  7. Tsukamoto R, Akisaki T, Kuranaga M, et al. Hasegawa Dementia Scale-Revised, for screening of early Alzheimer’s disease in the elderly with type 2 diabetes. Geriatr Gerontol Int. 2009;9(2):213-215. doi: 10.1111/j.1447-0594.2009.00524.x. PMID: 19490145
  8. Kim KW, Lee DY, Jhoo JH, et al. Diagnostic accuracy of Mini-Mental Status Examination and Revised Hasegawa Dementia Scale for Alzheimer’s disease. Dement Geriatr Cogn Disord. 2005;19(5-6):324-330. doi: 10.1159/000084558. PMID: 15785033
  9. Jeong JW, Kim KW, Lee DY, et al. A normative study of the Revised Hasegawa Dementia Scale: comparison of demographic influences between the Revised Hasegawa Dementia Scale and the Mini-Mental Status Examination. Dement Geriatr Cogn Disord. 2007;24(4):288-293. doi: 10.1159/000107592. PMID: 17717415

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

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