いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!
この記事は「GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。
リハビリテーションの実施にあたって、短時間で実施することができる栄養スクリーニングの存在は非常に重要になります。しかし、栄養スクリーニングの種類については様々なものがありますので、どの栄養スクリーニングを使用すればいいのかは悩むんでしまうと思います。
その中でも、GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)は、理想体重との比である%IBWとアルブミン値を使用して栄養状態を数値化し、4段階で評価を行うことができます。
現在の体重だけ分かれば、%IBWは計算できますので、非常に簡単かつ有効な栄養スクリーニングといえます。また、Excelなどで数式を組んでしまえば、体重とアルブミン値のみ入力するだけで数値化することができるため、病院や施設のように大人数を評価したい場合にも向いています。
- GNRIとは?
- エネルギーやタンパク質の摂取量が不足した状態:PEMについて
- GNRI の評価方法が知りたい
- カットオフ値はあるの?
栄養評価を実施する上で、様々な疑問を抱えることがあると思います!そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。
理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです
登録理学療法士
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
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医療従事者となる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーション専門職は超高齢社会を突き進む本邦において必要不可欠な職種になります。
実際に近年では、理学療法士は 10,000 ~ 11,000 人程度、作業療法士は 4,000 ~ 5,000 人程度、言語聴覚士は 1,600 ~ 1,800 人程度、国家試験に合格しており、順調に有資格者数が増え続けています。
このように世の中から必要とされている反面、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の給与は他業界と比較して恵まれてるとはいえません。「賃金構造基本統計調査」から他業界と比較してみても2022 年度のリハビリテーション専門職の初任給平均額は 239,100 円となっており、満足できるものではありません。
また、給与の問題もありながら、リハビリテーション専門職は業界特有の激しい人間関係という荒波に揉まれながら業務にあたることになります。この人間関係で辛い思いをする人はかなり多いと考えられます。
このように、給与や人間関係、また福利厚生などを含めた恵まれた労働環境で働くためには転職が必要になることもあります。1 年目、すなわち始めての職場が恵まれた環境であればいうことありませんが、必ずしもそう上手くはいきません。
最近では転職サイトにも様々な種類のものがあり、どの転職エージェントを選択するか迷うと思います。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士におすすめしたい転職サイトは、他の記事で詳しくまとめています!《【理学療法士転職サイトランキング】おすすめ5選|リハビリ職の転職》こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️
低栄養スクリーニング
低栄養スクリーニングツールは、低栄養ハイリスク患者の抽出のみならず、低栄養の病態把握、リハビリテーションと栄養管理の方針決定やモニタリング、効果判定に使用することができます。
妥当性の確認されている栄養スクリーニングツールとしては MNA®-SF、GNRI、CONUT、MST、MUST、NRS 2002、NSI、PNI など複数のスクリーニングツールがあげられます。
スクリーニングツールごとに特色があり、長所や短所があるため、どのスクリーニングツールを使用するかについては状況によって使い分ける必要があります。
栄養スクリーニングでは、効率のよい評価が求められます。そのため、以下に示したような要件を満たした評価ツールが必要になります。
- 妥当性がある
- 信頼性がある
- 入手しやすい情報を利用する
- 実施が容易である
- 低コストである
- 患者に対して非侵襲的な方法である
この記事では、上記の条件を全て満たしている低栄養スクリーニングツール GNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)について解説していきます。
GNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)とは
GNRI(geriatric nutritional risk index)とは、2005 年に Bouillanne らによって発表された低栄養スクリーニングツールになります。
GNRI の読み方はシンプルに 「ジー エヌ アール アイ」 となります。略称で呼ばないとすれば、「ジェリアトリック ニュゥートリィシャナル リスク インデックス」となります。
GNRI は Buzby らによる NRI(nutritional risk index)という低栄養スクリーニングツールを高齢者向けに改良した指標になります。
GNRI による低栄養のスクリーニングは現体重と理想体重比(%IBW)、血清アルブミン値のみで実施することができます。急性期患者、血液透析患者、心不全患者などにおいて予後予測能が報告されています。
GNRI とNRI の違い
GNRI は Buzby らによる NRI(nutritional risk index)という低栄養スクリーニングツールを高齢者向けに改良した指標になりますが、GNRI とNRI はどのように違うのでしょうか?
GNRI とNRI の違いは GNRI が理想体重(IBW)を評価に使用するのに対して、NRI では平常時体重(UBW)を使用するところになります。
理想体重(IBW)と平常時体重(UBW)に大きな違いを感じない方もいるかもしれませんが、臨床では平常時体重(UBW)の情報が得られないことが少なくありません。
認知機能や意識障害によって本人から聴取できないこともあれば、家族に伺っても体重までは存じてないこともあります。そのため、高齢者の特徴を考慮すると NRI よりも理想体重(IBW)を活用する GNRI の方が使用しやすい指標となります。
理想体重(IBW)
理想体重(IBW)とは、身長に対して最も健康リスクが低いと考えられる体重になります。
「最も健康リスクが低いと考えられる体重」をどこに定めるのかというと、BMI が 22 になる体重になり、計算式は以下の通りになります。
身長(m)× 身長(m)× 22
疾患や年齢や全身状態によって、必ずしも BMI 22 が最も適しているという訳ではありませんが、統計的に最も健康状態に適した体型が BMI 22 と報告されています。
GNRI 評価方法
GNRI の評価方法は計算式に血清アルブミンの検査値、現体重、理想体重を当てはめて GNRI score を算出します。
14.89 × 血清アルブミン(g/dL)+ 41.7 ×〔現体重(kg)÷ 理想体重(kg)]
【注意点】現体重が理想体重より多い場合は、現体重(kg)÷ 理想体重(kg)を 1 として計算する。
「現体重 ÷ 理想体重」により %理想体重(%IBW)が算出されます。%理想体重(%IBW)の基準は以下の通りになります。
- 80 ~ 90 %:軽度栄養障害の疑い
- 70 ~ 79 %:中等度栄養障害の疑い
- 69 %以下 :高度栄養障害の疑い
GNRI score 栄養状態の判定
GNRI score によって栄養状態を以下の 4 段階で判定することができます。
- 98 以上:栄養障害リスクなし
- 92 以上 98 未満:栄養障害リスク軽度
- 82 以上 92 未満:栄養障害リスク中等度
- 82 未満:栄養障害リスク高度
GNRI 練習問題
GNRI のカットオフ値の参考になっているのは、アルブミン値と %IBW の値です。実際の患者を想定して計算してみます。
症例 1:アルブミン値 3.0 g/dl、%IBW= 0.9
14.89 × 3.0+ 41.7 ×0.9 = 82.2
症例 2:アルブミン値 3.8 g/dl、%IBW= 1.0
14.89 × 3.8 + 41.7 ×1.0 = 98.3
症例 1 についてはGNRI:82.2 となるため「栄養障害リスク中等度」、症例 2 についてはGNRI:98.3 となるため、「栄養障害リスクなし」と判定することができます。
GNRI 透析患者 基準値
透析患者では栄養障害が予後を悪化させるため、栄養状態の経時的な評価が重要になります。
GNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)は高齢者だけではなく、透析患者に対する予後予測能が評価されています。
山田らは、透析患者では GNRI 値 91 以下を栄養障害リスク、92 以上をリスクなしとすることが妥当であり、その判定結果は筋肉量や体脂肪量、プレアルブミンをはじめとする血清蛋白指標などを反映すると報告しています。
GNRI は簡易的な算出式で短時間に多数の患者を評価することが可能というメリットがありますが、血清アルブミンの影響を強く受けるため、腹膜透析や血液濾過透析の患者においては必ずしも 有効ではないことに留意する必要があります。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「GNRI (Geriatric Nutritional Risk Index)」をキーワードに考えを述べさせていただきました。
こちらの記事が、「GNRI」についての理解を深めることに繋がり、臨床における栄養管理に少しでもお役立ちすれば幸いです。
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参考文献
- 百崎良,安保雅博.リハビリテーションにおける栄養スクリーニング.Jpn J Rehabil Med .2017,54,p82-86.
- 藤井俊樹,服部英明,中濱克之,山田裕治.Geriatric Nutritional Risk Indexによる透析患者の予後予測能力について:Body Mass Index あるいは血清アルブミン単独との比較.透析会誌.47( 1 ),2014,p75-84.
- 𠮷田亜香里,宮澤靖.GNRI
(geriatric nutritional risk index).透析ケア .2023,vol.29,no.10,p20-22. - 小林恵,菅野義彦.透析患者の低栄養の指標・評価.Medicα1 Technology.Vol.51,No.7,2023.7,p751-755.