CBS評価の使い方|半側空間無視をADLでみる採点・記録・自己評価との差

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CBS 評価の使い方|ADL で半側空間無視をみる

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CBS(Catherine Bergego Scale)は、半側空間無視(USN)をADLの行動として捉える観察尺度です。机上課題では軽く見えても、移動・更衣・食事・物品探索などの生活場面では危険が現れることがあり、CBSではその生活上のズレを合計0〜30点で整理できます。

この記事では、CBSの使い方、0〜3点の採点、観察条件の固定、本人の自己評価との差、申し送りへの落とし込み方を整理します。あわせて、現場で入力・編集できるExcel原本と、手書き・印刷に使えるPDF版の記録シートを掲載します。

USN全体のスクリーニングや各机上課題の詳しい実施方法は関連記事に分け、本ページではADL観察をどのように記録・再評価・共有するかに絞って解説します。


机上で拾う → CBS で生活の危険を特定する

結論:机上テストは探索偏りの「検出」、CBSは「生活上の危険場面の特定」に向いています。評価を介入へつなげるには、机上課題で半側空間無視の可能性を確認したあと、CBSで移動・更衣・摂食・物品管理などを観察し、介助量や環境調整へ落とし込む流れが実用的です。

とくに、机上課題では軽度でも、歩行、車椅子操作、更衣、物品探索のように複数の処理が必要になる場面では無視症状が強く出ることがあります。どの場面で危険が現れ、どの声かけや環境調整で改善したかを、点数と短い行動メモで残すことが重要です。

CBS評価を机上課題からADL観察、介助量と環境調整へつなげる流れ
机上課題で検出し、CBSで生活上の危険場面を特定して、介助量・環境調整・申し送りへつなげます。
CBSで決めること/決めきれないこと
見たいこと CBSの適性 本記事での扱い
ADLでの見落とし・衝突・置き去り 向いている 詳しく扱う
机上での探索偏りの検出 やや不向き 親記事・抹消課題記事へ分ける
病巣や認知機能全体の鑑別 不向き 本記事では深掘りしない
退院先の最終判断 補助的に有用 危険場面と支援条件の整理に使う

実施のコツ|観察条件の固定が再評価の精度を左右する

結論:CBSは、見た行動をそのまま採点するだけでは評価者間の差が生じやすいため、観察前に条件を固定します。おすすめは、時間帯・環境・移動手段・観察課題・声かけ・介助量を決め、同じ条件を1セッションとして扱う方法です。

覚醒、疲労、疼痛、注意、周囲の刺激量によって、同じ対象者でも無視症状の現れ方は変わります。条件が異なる日に評価した場合は、前回と単純比較せず、条件差を記録したうえで参考値として扱います。

CBS再評価で固定する6つの条件
固定する項目 記録例 固定する理由
時間帯 午前・リハ前 覚醒や注意の変動を減らす
環境 病棟廊下 刺激量や障害物の差をそろえる
姿勢・移動手段 車椅子移動 視線や体幹回旋の条件をそろえる
観察する生活課題 移動+物品探索 課題による症状差を減らす
声かけ段階 注意喚起まで 介入量による点数差を減らす
介助量 見守り 安全確保の方法をそろえる

採点の考え方|0〜3点は「気づき・修正・反復」で整理する

結論:採点で迷った場合は、対象者が危険や見落としに自分で気づけるか、促しによって修正できるか、同じ行動を繰り返すかの3点で整理します。

単発の見落としだけで高得点をつけるのではなく、同じ条件で再現するかを確認します。一方、衝突、逸脱、患側の置き去りなど事故へ直結する行動は、頻度が少なくても安全面を含めて記録します。

CBSの0〜3点を判断する実務上の目安
点数 行動の特徴 現場での見え方 記録例
0 無視所見なし 設定した条件で問題がみられない 所見なし(条件:病棟廊下・車椅子)
1 時々見落とすが修正できる 注意喚起で探索が戻る 左側の見落としが散発、促しで修正
2 見落としが繰り返される 自発修正が少なく支援が必要 左側探索が恒常的に不足、具体指示で部分改善
3 探索が成立せず危険が強い 衝突・逸脱・転倒などに直結する 左側探索が成立せず、移動時の衝突を反復

高得点となった生活課題は、合計点とは別に優先して共有します。合計点が同じでも、食事の見落としと歩行中の衝突では、必要となる支援や緊急性が異なるためです。


CBS自動計算ツール

CBSの合計点と、観察評価・自己評価の差をすばやく確認したい場合は、自動計算ツールを利用できます。観察評価10項目をすべて入力した場合のみ結果を確定表示するため、未入力を誤って0点として集計しにくい仕様です。

自動計算は集計を補助するものであり、生活場面の行動メモや評価条件を置き換えるものではありません。計算結果は、危険場面、有効だった介入、自己評価との差とあわせて解釈してください。

CBS自動計算ツールを開く

CBS自動計算ツールを記事内で開く

観察評価と自己評価の差は「気づき」の手掛かり

結論:観察者が採点した結果と、対象者本人による自己評価の差は、危険への気づきや病識を考える手掛かりになります。ただし、得点差だけで病識低下と断定せず、説明理解、不安、疲労、その日の体調とあわせて確認します。

観察評価が自己評価より高い場合、本人が生活上の危険を軽く見積もっている可能性があります。反対に、自己評価のほうが高い場合は、不安、失敗経験、評価場面以外での困難、条件差などを確認します。

観察評価と自己評価の差の読み方
パターン 考えられること 確認すること 記録例
観察 ≒ 自己 本人の認識と行動所見が近い 同条件で再現するか 観察・自己評価の差は小さい
観察 > 自己 危険への気づきが不足している可能性 危険場面を本人が説明できるか 観察評価が高く、危険認識との乖離あり
観察が高く差も大きい 事故リスクと認識のズレに注意 家族説明、環境調整、介助量 高得点かつ自己評価との差が大きく、安全配慮を優先
自己 > 観察 不安や条件差、一時的悪化の可能性 本人が困る場面と評価条件の違い 自己申告は強いが観察所見は限定的、条件を再確認

申し送りは「点数+条件+危険場面+有効だった対応」で残す

結論:CBSは点数だけで共有せず、観察条件、危険が現れた生活課題、有効だった対応、次回の確認点をセットにすると臨床へつながります。

申し送りでは、次の4項目を固定すると担当者による情報差を減らせます。

  1. 条件:時間帯、場所、移動手段、声かけ段階、介助量
  2. 結果:高得点または危険が現れた生活課題
  3. 対応:有効だった声かけ、配置、目印、誘導方法
  4. 次回:同条件で確認する行動を1つ
CBS申し送りテンプレ
記録内容 短い例
条件 時間帯・場面・移動手段・声かけ・介助量 午前・廊下・車椅子・注意喚起まで・見守り
結果 危険が現れた生活課題 移動中の左接触を反復
対応 有効だった環境調整や声かけ 左側の目印と停止合図で改善
次回 同条件で確認するポイント 声かけなしで停止・確認できるか

申し送り例

軽度例:
条件:午前・病棟廊下・車椅子・注意喚起まで・見守り。左側の見落としは散発し、促しで探索が戻る。移動時に左側の障害物へ接近する場面あり。左側の目印と停止合図で改善した。次回も同条件で、左接触の頻度と自発的な停止確認を評価する。

中等度〜重度例:
条件:午後・病室での更衣と移乗・具体指示・軽介助。左側の探索が成立しにくく、左物品の取り忘れと患側管理不良を反復した。移動時に左接触が多く、衝突リスクを認めた。物品配置の調整と開始前の左確認、左側からのガイドで安全を確保した。次回は同時間帯で、開始前確認が自発化するかを確認する。


CBSと机上課題の役割を分ける

CBSは、半側空間無視による生活上の危険や介助方法を整理する尺度です。一方、抹消課題などの紙筆検査は、探索偏りを短時間で検出することに向いています。

机上課題だけで生活上の安全を判断せず、CBSだけで半側空間無視の全体像を決めないことが重要です。評価目的に応じて組み合わせます。

USN評価の使い分け
評価 得意なこと 注意点 活用場面
CBS 生活上の困難・事故リスクの可視化 条件固定がないと評価者差が出やすい 介助量、環境調整、声かけ、経時変化
紙筆課題 探索偏りを短時間で検出する ADLの危険へ直接つながらない場合がある 初期スクリーニング、机上での変化確認
移動・姿勢観察 衝突・逸脱・見落としを安全面から捉える 疲労や環境の影響を受けやすい 転倒・衝突リスク、訓練課題の設計

CBS評価・再評価記録シート|Excel・PDF

CBSをチームで運用するには、点数だけでなく、観察条件、自己評価との差、危険場面、有効だった対応、次回の確認条件まで同じ様式で残すことが重要です。

今回の記録シートでは、正式な尺度項目の文章は転載せず、原典を参照しながらNo.1〜10へ採点できる構成にしています。観察評価と自己評価の差はExcel上で自動計算され、合計点と差の方向も確認できます。

用途に合わせてファイルを選んでください。

Excel版:直接入力・編集・合計差の自動計算に対応
PDF版:A4横での印刷・手書き記録に対応

印刷用PDFを記事内でプレビューする

プレビューが表示されない場合は、CBS評価・再評価記録シートPDFを開いてください

正式な評価項目と採点基準は原典に従い、本シートは観察・比較・申し送りを補助する記録用紙として使用してください。


現場の詰まりどころ

条件が異なる評価を同じ基準で比較する

最も多い失敗は、時間帯、覚醒、疲労、環境、移動手段、声かけ、介助量が異なるにもかかわらず、合計点だけを前回と比較することです。得点差が介入効果ではなく条件差による可能性があるため、再評価では条件の一致を先に確認します。

合計点だけで危険度を判断する

合計点が低くても、歩行時の衝突など重大な危険が1場面に残ることがあります。反対に、合計点が高くても食事や整容に偏っており、移動の安全性は保たれている場合があります。

合計点だけでなく、2〜3点がついた生活課題と事故へのつながりを優先して記録します。

自己評価との差を性格の問題として扱う

本人の自己評価が観察評価より低い場合でも、単に「自覚がない」と断定しません。失語、注意障害、説明理解、不安、疲労、評価場面の違いなどを確認し、危険への認識がどの場面でズレるかを整理します。

回避の手順

  1. 観察条件を固定する。
  2. 原典に従って0〜3点を採点する。
  3. 高得点となった生活課題を短く記録する。
  4. 観察評価と自己評価の差を確認する。
  5. 有効だった声かけや環境調整を残す。
  6. 次回も同じ条件で確認する項目を1つ決める。

評価や記録の型は、個人の努力だけで安定するとは限りません。教育体制や相談環境も含めて整理すると、臨床で迷う時間を減らしやすくなります。

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よくある質問

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

Q1.CBSは誰が評価するのがよいですか?

生活場面を観察できるPT、OT、看護師などが適しています。職種名よりも、同じ条件で複数のADL場面を観察できることと、採点基準をチーム内でそろえることが重要です。

Q2.CBSの点数が何点下がれば改善ですか?

合計点だけでなく、2〜3点がついていた危険な生活課題が減ったかを確認します。移動、探索、患側管理など事故へつながる場面が、同じ条件で改善したかを優先して判断してください。

Q3.紙筆課題が軽度でも、ADLで危険になることはありますか?

あります。机上では代償できても、歩行、更衣、物品管理のように複数の処理が必要な場面では探索の偏りが強く現れることがあります。CBSは、その生活上の危険を観察して共有するために役立ちます。

Q4.本人による自己評価を併記する意味は何ですか?

観察評価と本人の自己評価を比較することで、生活上の危険への気づきや認識のズレを考える材料になります。差だけで病識低下と断定せず、説明理解、不安、疲労、評価条件とあわせて解釈します。

Q5.CBSとKF-NAPの違いは何ですか?

CBSは半側空間無視をADLで評価する尺度で、KF-NAPはCBSを生活場面でより標準化して観察・採点するための手順です。評価者差を減らし、チームで観察条件をそろえたい場合にKF-NAPの考え方が役立ちます。

Q6.Excel版とPDF版はどのように使い分けますか?

Excel版はパソコン上での直接入力、修正、合計点や自己評価との差の確認に向いています。PDF版は印刷して手書きで記録する場面や、カンファレンスで配布する場面に向いています。


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参考文献

  1. Azouvi P, Olivier S, de Montety G, Samuel C, Louis-Dreyfus A, Tesio L. Behavioral assessment of unilateral neglect: study of the psychometric properties of the Catherine Bergego Scale. Arch Phys Med Rehabil. 2003;84(1):51-57. doi: 10.1053/apmr.2003.50062 / PubMed: 12589620
  2. Chen P, Hreha K, Fortis P, Goedert KM, Barrett AM. Functional assessment of spatial neglect: A review of the Catherine Bergego Scale and an introduction of the Kessler Foundation Neglect Assessment Process. Top Stroke Rehabil. 2012;19(5):423-435. doi: 10.1310/tsr1905-423 / PubMed: 22982830
  3. Chen P, Chen CC, Hreha K, Goedert KM, Barrett AM. Kessler Foundation Neglect Assessment Process uniquely measures spatial neglect during activities of daily living. Arch Phys Med Rehabil. 2015;96(5):869-876.e1. doi: 10.1016/j.apmr.2014.10.023 / PubMed: 25461827
  4. Hreha K, Chen P. Revising the Kessler Foundation Neglect Assessment Process Manual: A Guidebook to Assessing Spatial Neglect. Hong Kong J Occup Ther. 2025 Nov 24:15691861251397555. doi: 10.1177/15691861251397555 / PubMed: 41306114

著者情報

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rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。医療機関、介護福祉施設、訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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