【起立性低血圧の予防法】血圧低下のメカニズムと弾性包帯の使用方法

臨床での悩み
リハビリくん
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こんにちは! リハビリくんです!

 

早速ですが、起立性低血圧の症状って本当に厄介ですよね。よくある症状といえばその通りですが、いざ血圧が低下すると実際ヒヤヒヤして不安になると思います。特に臨床経験が少ない若手の頃は尚更じゃないかなと思います。また、起立性低血圧の存在により対象者の活動や参加の制限に繋がってしまい、モヤモヤした覚えがある方もいらっしゃると思います。

 

そのような中、起立性低血圧を認める患者様でも、なんとか離床活動を促進させてあげたくて弾性包帯や弾性ストッキングの使用を検討したことがありませんか?また、使用してはみたけど目に見える効果がでなくて、使用しなくなってしまったケースもあるかと思います。

  

こちらの記事ではそういった悩みや不安を解決していきたいと思います!

 

結論からお伝えしますと「弾性包帯を巻くことは起立性低血圧の予防となります!」

 

弾性包帯を巻く部位によっても期待できる効果が変わってくるため、下記にて起立性低血圧が発生する要因や弾性包帯を巻く部位について解説していきたいと思います!


リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!

  

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弾性包帯は有効であるのか?

腹帯や弾性包帯の使用は失神の診断・治療ガイドライン(2012年改訂版)にてクラスⅡaで推奨されています。

その有効性のメカニズムは外圧が下肢の静脈貯留を減らし心臓への静脈環流を改善することで、1回拍出量の減少を防ぎ、心拍出量を維持することになります。

健常者を対象とした先行文献では、腹帯を使用して起立時の1回拍出量を維持することで起立性低血圧のリスクを減らす可能性を示唆しています。

他の報告では、大腿から下腿に異なる3つの高さの弾性ストッキングを使用した結果、それぞれが起立性低血圧の予防に有用であったことを示唆しています。

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身体のどこに巻けば有効なのか?

過去の研究結果をもとに考えていきます。

先行文献では、①下腿 ②大腿 ③腹部から下肢 ④腹部のみ の4つの異なるレベルでの圧迫の有効性について報告されています。

特に ③腹部から下肢 ④腹部のみ を圧迫した場合には、ほかの2つと比較し姿勢変化後の収縮期血圧低下を大いに減少させることができると考えることができます。

これは、腹部が身体中で最大の体液貯留層であり、起立時の体液シフトの70%以上を占めるという過去の報告により裏づけされています。

起立性低血圧に対する弾性包帯の効果に関するエビデンスはまだまだ不十分となっています。

そのため、起立性低血圧に対して弾性包帯を巻くことで「めちゃくちゃ効果があります!!」とは言えないと思います。

しかし、医師と連携して投薬による起立性低血圧のコントロールももちろん必要にはなりますが、投薬による治療の効果が乏しい時には、弾性包帯の使用を検討すべきだと思います。

血圧が低下するメカニズム

血圧はなぜ下がるのでしょうか?
人が背臥位から立位になる際、体位変換による重力の影響により約500〜800mLの血液が胸腔内から下肢や腹部内臓系へ移動します。このとき、心臓への還流血液量が約30%減少するため、心拍出量は減少し体血圧は低下します。

この循環動態の変化に対し、生体は圧受容器反射系の賦活により対処しています。これらの圧受容器反射が反応することにより、心拍数増加、心収縮力増加、末梢血管抵抗増加、末梢静脈の収縮が生じます
健常者では、この圧受容器反射系が適切に機能して血圧の過剰な低下を抑制しています。

「圧受反射系のいずれかの部分に異常を来すか、循環血液量が異常に低下した状態では、起立時に高度の血圧低下を来たします。その原因は、神経原性と非神経原性に分けられ、低心拍出量を来す、そのほかの要因(脱水、出血、発熱など急性期で起こる症状)が影響を及ぼすことも考えられます。

また、体液量減や血管拡張作用を有する薬剤に起因するものが多く、特に高齢者では圧受容器反射系の機能低下が強いため、血圧低下が生じやすくなります。

低血圧の病態や、血圧低下した時の対応方法については、他の記事でまとめております!こちらの記事も、ご覧になって頂けると幸いです☺️ 【低血圧、血圧低下についての記事はこちらから

まとめ

起立性低血圧は臨床でよく遭遇する症状ですが、この症状に対ししっかりと対策がなされた上でリハビリテーションを行っているのか、そうでないのかは重要になります。

パーキンソン病、糖尿病、レビー小体型認知症のように自律神経障害を起因として生じる起立性低血圧もあれば、歳をとって生体の圧受容器反射機能が低下し起立性低血圧が生じることもあります。

私は医療機関に従事し、リハビリテーションを行なっていますが、起立性低血圧に悩むスタッフは非常に多い印象があります。

また、経験不足であったり、医療知識に乏しいスタッフでは起立性低血圧に気付かず、ベッドのギャッジアップ練習を行なったり、車椅子に乗車する練習を行っていることがあります。

適切なリスク管理が行われていない状態での起立性低血圧の発症は、命に関わりますし、意識消失からの転倒転落も考えられますのでしっかり対策しないといけません。

一方、起立性低血圧を認める患者様に対して、日々リハビリテーションを実施していきADLの向上を目指したい!!という気持ちもよくわかります!

冒頭でも説明しましたが、腹帯や弾性包帯の使用は失神の診断・治療ガイドライン(2012年改訂版)にてクラスⅡaとなっていますが、まだまだエビデンスは不十分といえると思います。

しかし、予防的な観点でいえば何も工夫をしないまま、身体を起こすより、評価を行うことも含めて弾性包帯を巻いてから身体を起こす取り組みは良いと思います。

起立性低血圧に対して適切なリスク管理に努め、患者様、利用者様の力になれるようにリハビリテーションを実施していきましょう!

起立性低血圧を管理するうえで、血圧の正常値について正確に理解しておく必要があります。血圧の正常値については、他の記事でまとめております!こちらの記事も、ご覧になって頂けると幸いです☺️ 【血圧の正常値、管理方法についての記事はこちらから


リハビリくん
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参考文献

  1. 橋本拓哉,髙橋智子,松山友子.下腿型弾性ストッキング着用の有無による離床時の血圧及び脈拍の比較検証.東京医療保健大学.第1号 ,2020年,
  2. 鈴木裕二, 守川恵助, 乾亮介, 芳野広和, 田平一行.下肢弾性ストッキング強度が起立時の血行動態に及ぼす影響. (社)日本理学療法士協会近畿ブロック.第51回近畿理学療法学術大会,

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