【MNA-SF】6項目の評価手順とカットオフ

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栄養・嚥下
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MNA®-SF とは?(6 項目・所要 5 分)

MNA®-SF( Mini Nutritional Assessment-Short Form )は、高齢者の低栄養リスクを 6 項目・合計 0〜14 点で簡便に抽出する国際標準のスクリーニングです。入院時や回復期、在宅訪問でも適用でき、握力や歩行など身体機能指標とも相性が良いのが特徴です。

低栄養はフレイル・サルコペニア・褥瘡・感染の増悪因子となるため、早期発見→早期介入の入口として MNA®-SF を用い、陽性なら詳細評価へ進みます(診断は GLIM など)。実務では BMI が測れない場面が多く、下腿周囲長( CC )代替が要点です。内部手順は 栄養スクリーニング運用プロトコル も参照ください。

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評価項目(A〜F)と採点の要点

MNA®-SF は「食事量」「体重減少」「移動能力」「急性疾患/ストレス」「認知・気分」「体格( BMI または CC )」の 6 項目です。 BMI 不可の場面では CC を代替使用できます。以下に臨床で迷いやすい選択肢の並びを含め、一覧化しました。

CC は膝下最大周径を左下腿で測るのが標準です。座位で膝を 90° 屈曲、メジャーは下腿長軸に直交させ、きつ過ぎず緩過ぎないテンションで最大値を 2 回以上確認します(浮腫・ギプスなどは備考に明記)。

表 1|MNA®-SF の 6 項目と採点(成人高齢者)
項目 評価内容 選択肢と点数
A 食事摂取量 過去 3 か月の摂取量減少(食欲不振・消化器・咀嚼/嚥下) 0=著しい減少/1=中等度の減少/2=減少なし
B 体重減少 過去 3 か月の体重変化 0=3 kg 以上/1=不明/2=1〜3 kg/3=なし
C 移動能力 歩行・外出の可否 0=寝たきり/常時車椅子/1=離床可・外出不可/2=自由に外出可
D 急性疾患/ストレス 過去 3 か月の急性疾患・強いストレス 0=はい/2=いいえ
E 認知/気分 認知症・うつ状態の有無 0=重度認知症/うつ/1=中等度認知症/2=問題なし
F 体格(BMI または CC) BMI もしくは CC(代替) BMI:0=<19/1=19–<21/2=21–<23/3=≧23
CC 代替:0=<31 cm/3=≧31 cm

判定(カットオフ)と解釈

合計 0〜14 点で判定します。 12〜14 点=栄養良好、 8〜11 点=低栄養リスク、 0〜7 点=低栄養です。 8 点と 12 点が重要境界で、 8 点未満は迅速な介入と詳細評価が必要です。

判定はスクリーニングであり、診断ではありません。陽性( 0〜11 点)では GLIM 基準などの診断枠組みに接続し、重症度(表現型)と原因(病因)の両面を確認します。詳細は 低栄養ケア設計ガイド も参照ください。

表 2|MNA®-SF のスコア区分と対応
合計点 判定 対応の例
12–14 栄養良好 定期再評価・予防教育(転帰に影響する薬剤/口腔/活動量の見直し)
8–11 低栄養リスク 食事強化・間食/補助食品・嚥下/口腔評価・活動量処方、早期フォロー
0–7 低栄養 管理栄養士と連携し GLIM 診断・重症度判定、原因是正と多職種介入

実施手順(ミスを減らすコツ)

①問診( A・D・E )→ ②体重・身長 or CC( F )→ ③スコア集計 → ④陽性時の次アクション( GLIM で診断・介入設計)。

CC は**左右差・浮腫**に注意。 BMI は**実測身長**が望ましいが、立位困難時は推定身長法より CC 代替のほうが再現性が高い場面が多いです。再評価間隔は在宅/外来なら 1–3 か月、病棟は週次の再スクリーニングが実務的です。

よくある落とし穴

・BMI が測れないのに F を空欄のままにする(→ CC 代替で必ず回答)。 ・浮腫やギプスで CC が不正確(→備考に状態を明記し、再測する)。 ・スコア陽性でも診断に進まない(→ GLIM 接続)。

・急性期の一過性低下で過大評価(→臨床経過と併せて判断)。 ・アルブミン値は MNA®-SF に不要(→採血なしで完結)。

評価用紙と使用上の注意

評価用紙は貴サイトのダウンロードに加え、公式の原本も併記します。 MNA® フォームは**外観改変不可**です(ロゴや順序を変えないでください)。

参考文献(一次情報・DOI/PubMed)

  1. Rubenstein LZ, Harker JO, Salvà A, et al. Screening for undernutrition in geriatric practice: developing the MNA-SF. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001;56(6):M366-M372. doi:10.1093/gerona/56.6.m366 PubMed
  2. Kaiser MJ, Bauer JM, Ramsch C, et al. Validation of the MNA-SF. J Nutr Health Aging. 2009;13(9):782-788. doi:10.1007/s12603-009-0214-7 PubMed
  3. MNA® User Guide / Forms(英語・日本語版 PDF). Nestlé. GuideFull MNAJapanese
  4. Cederholm T, Jensen GL, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition. Clin Nutr. 2019;38(1):1-9. PMC
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