いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!
この記事は「うつ病セルフチェック表:SRQ-D」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。
超高齢化が進む本邦において、高齢者ができる限り自立し、心身共に豊かな生活を送ることができるように支援する必要性が高まっています。そのためには、高齢者に生じやすいうつを正しく把握し、うつ状態に陥っていることにできるだけ早く気付き、適切に対処していくことが重要になります。
実際に医療や介護における臨床場面において、うつ病の影響により「生活に支障をきたしている」「活動性が低下している」「リハビリテーションを行う意欲がない」患者様および利用者様を目にすることがあります。
こんなときに、うつ病を評価する術をもっていないと何も解決することができません。うつ病の評価を適切に行い、うつ病の疑いがあるのであれば早期に治療して、うつ病を改善させる必要があります。しかし、そうはいっても、うつ病の評価は不慣れな方が多いと思います。そこでこの記事を読むことで下記の事項を理解できるようにしたいと思います!
- 高齢者とうつ病の関係性について
- 仮面うつ病とは何か
- SRQ-Dの概要と特徴について
- SRQ-Dの評価表(無料ダウンロード可能)
- 採点方法と合計点による重症度の判定
SRQ-Dを用いたうつ病評価において、様々な疑問を抱えることがあると思います。そんな方のために、こちらの記事をご用意しました。是非、最後までご覧になってください!
【簡単に自己紹介】
30代の現役理学療法士になります。
理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。
現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。
臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。
そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。
理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです
登録理学療法士
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。
療法士の働き方に対する記事の 1 つが右記になりますが、"理学療法士は生活できない?PTが転職を考えるべき7つのタイミング"こちらの記事は検索ランキングでも上位を獲得することができております。興味がある方は、こちらの記事も目を通してくれると幸いです☺
高齢者のうつ病は身体機能やQOLを低下させる
高齢になると加齢に伴う身体機能の変化、退職や子どもの自立に伴う社会的役割の喪失、配偶者や兄弟・友人との死別など、これまでとは異なる衰退や喪失といったライフイベントが増え、うつになりやすい時期となります。
高齢者のうつは、生活の質や身体機能の低下を招く要因の1つであり、国内外の研究において抑うつが要支援・要介護認定のリスク要因となりうることが報告されています。
高齢者に起こりうる最も多い病的な心理症状は、うつ病になります。更に超高齢社会となり、高齢者の数が激増している中、高齢者に対するうつ病の評価尺度の必要性は更に高まっていると言えます。
仮面うつ病とは
仮面うつ病は、うつ病の一種になります。抑うつ状態や気分の落ち込みといった、うつ病に特徴とされる気分の症状よりも、倦怠感や頭痛・肩こりといった身体的症状が比較的強く出ている状態です。
精神的な症状よりも、倦怠感や肩こりなどの身体的な症状の強さの方が大きいために、なかなか本人も「うつ病」という可能性を自覚することができないことがあります。その結果、精神科以外の様々な一般身体科を受診してみるも、検査に異常がないといわれてしまい、途方に暮れることがあります。
SRQ-D:うつ病診断チェックシートとは
SRQ-D(Self-Rating Questionnair for Depression)は、仮面うつ病発見の手がかりを得る方法の一つとして考案された質問紙法によるスクリーニングテストになります。
日本では1960年代後半から仮面うつ病への関心が高まり始めました。1972年に東邦大学医学部の阿部らが Rocklif らの質問紙をもとに仮面うつ病のスクリーニングを目的とした SRQ-D を開発し、今日までプライマリ・ケア医療の現場で活用されております。SRQ-Dは別名、東邦大式抑うつ尺度とも呼ばれます。
SRQ-Dの特徴
SRQ-Dの特徴を3つあげます。
- 質問数が18問と少ない
- ダミー項目が付加されている
- 身体症状に関する項目が多い
1996年に心療内科の標榜が認可されたこと、精神神経科からメンタルクリニックへの標榜変更がなされたことによって精神疾患の社会的認知が向上し、精神疾患をもつ患者の受診状況も大きく変化しました。
心療内科を訪れる患者は、身体症状よりも精神症状の訴えが強い患者が増加している傾向があり、心療内科外来では身体症状とともに精神症状の情報も収集できる質問紙の作成が望まれています。
しかし、精神科の受診については、初診に至るまで「心の治療」に対するネガティブなイメージをもつ方が多く、精神科・心療内科の受診をためらっていたという報告も多くあります。
そのため、プライマリ・ケアにおける精神疾患のスクリーニングは非常に重要となります。しかし、実際のプライマリ・ケア医療の現場はさまざまな病態・受診動機の患者が多数来院するため、短時間の診察時間内で効率よく病態を評価し治療方針を決定することが診療に必要となります。
SRQ-D 評価用紙
SRQ-D:うつ病自己診断チェックシート(評価表)をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺
SRQ-D 評価項目 評価方法
- 体がだるく疲れやすいですか
- 騒音が気になりますか
- 最近気が沈んだり気が重くなることがありますか
- 音楽を聞いて楽しいですか
- 朝のうち特に無気力ですか
- 議論に熱中できますか
- くびすじや肩がこって仕方がないですか
- 頭痛持ちですか
- 眠れないで朝早く目ざめることがありますか
- 事故やけがをしやすいしですか
- 食事がすすまず味がないですか
- テレビをみて楽しいですか
- 息がつまって胸苦しくなることがありますか
- のどの奥に物がつかえている感じがしますか
- 自分の人生がつまらなく感じますか
- 仕事の能率があがらず何をするのもおっくうですか
- 以前にも現在と似た症状がありましたか
- 本来は仕事熱心で几帳面ですか
回答と得点については「いいえ」を 0点、「ときどき」を 1点、「しばしば」を 2点、「つねに」を 3点として計算します。
質問「 2・4・6・8・10・12」についてはダミー項目であるため、加点しない質問となります。そのため、合計点は最低 0 点、最高 36 点となります。
SRQ-D カットオフ値
- 10点以下:抑うつ無し
- 11~15点:境界領域
- 16点以上:抑うつ傾向あり
うつ病 AI 無料チェック ユビー
うつ病の原因と、関連する病気を AI で無料チェックすることができるサイトがうつ病症状検索エンジン「ユビー」になります。こちらのサイトでは「うつ」がどの病気に関連するのかを無料でチェックすることができます。
ユビーでは、3 分間程度で回答することができる質問に答えるだけで以下のサポートを受けることができます。
- 症状の原因、関連する病気、対処法がわかる
- 適切な診療科、近所の病院・クリニックがみつかる
- 回答結果を医療機関に連携できるから、診療がスムーズ
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「SRQ-D:うつ病診断チェックシート」をキーワードに考えを述べさせていただきました。
昔に比べて、うつ病などの精神疾患に対する世間の理解は随分進んだと思います。しかし、いざ自分自信に気分の落ち込みを認め、精神科を受診したほうがいい状況になったとしても、抵抗があり一歩踏み出すことができないことがあると思います。
そのような時にSRQ-Dを使用して、うつ病の自己診断をしてみると良いと思います。SRQ-Dは設問に対し自己チェックをして合計点を出すことができます。心身に不安を感じたら、是非SRQ-Dを活用して自分の精神状態をチェックしてみましょう!
うつの評価については他にもいくつか評価尺度があり、それぞれ他の記事で詳しくまとめております。他の評価尺度についての記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【簡易抑うつ症状尺度:QIDS-Jについての記事はこちらから】【不安や抑うつを評価する質問票(HADS)についての記事はこちらから】
参考文献
- 倉岡真澄佳,佐藤朝子,奥平祐子,菅重博,鈴木聡子,久松由華,山田宇以,端詰勝敬,坪井康次.SRQ-D II 31とSRQ-D II 15の信頼性・妥当性の検討 : 第1報.心身医学.2007年,47巻,10号,p.855-863.
- 友常健,小川吉司,長谷川範幸,工藤貴徳,奈良岡真紀,玉澤直樹,須田俊宏.SRQ-D を用いた糖尿病患者における“うつ”の検討.糖尿病.51 巻,7号,2008年,p587-591.