TCTとは|4項目を0・12・25点で評価する体幹機能検査
TCT(Trunk Control Test)は、脳卒中後の体幹機能を、寝返り・起き上がり・端座位保持の4項目で確認する評価尺度です。各項目を0点・12点・25点で採点し、合計0〜100点で示します。
採点で重要なのは、単に動作ができたかではなく、身体介助が必要だったか、寝具や支持物を使ったか、異常な動作様式だったかを分けることです。この記事では、4項目別の採点基準、12点と25点の境界、端座位保持の条件、記録方法、自動計算ツール、PDF記録補助シートを整理します。

体幹評価全体から確認したい方へ
TCTの4項目と採点基準|0点・12点・25点の早見表
TCTの4項目は、麻痺側方向への寝返り、非麻痺側方向への寝返り、背臥位からの起き上がり、端座位保持です。原法では、各項目を「介助なしではできない」「介助なしでできるが異常な方法」「正常にできる」の3段階で整理します。
| 評価項目 | 0点 | 12点 | 25点 |
|---|---|---|---|
| 寝返り:麻痺側方向 | 評価者の介助なしでは動作を完了できない。 | 介助なしで完了できるが、寝具や支持物を引くなど異常な方法を使う。 | 正常な方法で動作を完了できる。 |
| 寝返り:非麻痺側方向 | 評価者の介助なしでは動作を完了できない。 | 介助なしで完了できるが、寝具や支持物を引くなど異常な方法を使う。 | 正常な方法で動作を完了できる。 |
| 起き上がり | 評価者の介助なしでは端座位まで起き上がれない。 | 介助なしで起き上がれるが、寝具・柵などを引いて行う。 | 正常な方法で端座位まで起き上がれる。 |
| 端座位保持 | 介助なしでは30秒間の座位保持ができない。 | 30秒保持できるが、手でベッドなどに触れて身体を安定させる。 | 上肢支持を使わず、30秒間安定して保持できる。 |
採点上の注意:TCTの原法は、12点と25点を細かな介助量や動作速度で区切っていません。反動、左右差、動作時間などの所見だけで独自の減点基準を作らず、原法の区分と施設内の運用を確認してください。
12点と25点の違い|身体介助・支持・見守りを分ける
12点と25点を分ける中心は、介助なしで遂行できたかに加えて、異常な方法や支持物を使ったかです。見守り、身体介助、患者さん自身による支持を混同しないようにします。
| 評価中の状況 | 採点の考え方 | 記録すること |
|---|---|---|
| 評価者が動作を助けた | 介助なしでは遂行できないため、0点に該当する。 | 介助した部位と、介助が必要になった動作段階。 |
| 患者さんが柵や寝具を引いた | 介助なしで完了できても、異常な方法であれば12点を確認する。 | 何を、どの場面で使用したか。 |
| 端座位で手をついた | 手で身体を安定させながら30秒保持した場合は12点を確認する。 | 支持した場所、左右、支持時間。 |
| 近くで見守っただけ | 見守りだけで直ちに0点にはならない。 | 見守りが必要だった理由と安全上のリスク。 |
| 転落を防ぐため身体に触れた | 接触が動作遂行を助けた場合は身体介助として扱う。 | 接触の目的、部位、動作への影響。 |
「少しふらついた」「時間がかかった」「左右差があった」という所見だけで、機械的に12点と決めるのは避けます。点数と動作の質は分けて記録し、再評価時に両方を比較してください。
TCTの評価方法|安全確認から採点まで
TCTはベッドサイドで実施しやすい評価ですが、ベッド環境や支持条件が変わると比較しにくくなります。再評価を想定し、実施条件と採点根拠を残します。
| 手順 | 行うこと | 記録のポイント |
|---|---|---|
| 1. 安全確認 | 疼痛、転落リスク、ライン類、循環動態などを確認する。 | 中止・変更が必要になる条件を先に整理する。 |
| 2. 環境確認 | ベッド、寝具、柵、支持物、端座位時の足底条件を確認する。 | 原法から変更した条件は必ず残す。 |
| 3. 4項目を実施 | 寝返り2方向、起き上がり、端座位保持を実施する。 | 身体介助、支持・把持、動作の崩れを観察する。 |
| 4. 採点 | 各項目を0点・12点・25点で採点する。 | 「できたか」だけでなく「どのようにできたか」を確認する。 |
| 5. 所見を記録 | 点数と採点根拠を項目ごとに残す。 | 支持物、介助部位、条件変更、安全面を簡潔に記載する。 |
端座位保持の評価条件|足底を床から離して30秒
TCTで条件が変わりやすいのが端座位保持です。原法では、ベッド端で足底を床から離した状態を30秒間保持します。
足底を床につけると、下肢からの支持を利用できるため、原法とは異なる条件になります。安全上の理由で足底接地や評価者の支持が必要な場合は、無理に原法を続けず、安全を優先したうえで変更内容を記録してください。
| 確認項目 | 判断と記録 |
|---|---|
| 足底条件 | 原法では足底を床から離す。接地させた場合は条件変更として記録する。 |
| 保持時間 | 30秒保持できるか確認する。途中で保持できなくなった場合は経過を残す。 |
| 上肢支持 | 手でベッドや周囲へ触れて身体を安定させていないか確認する。 |
| 身体介助 | 評価者が体幹や上肢を支え、保持を助けたか確認する。 |
| 安全性 | 側方・後方への崩れ、疼痛、恐怖感、疲労などを記録する。 |
条件を変えて実施した結果は、原法と同じ条件で測定した得点と単純に比較しないようにします。「足底接地あり」「右手でベッド支持」「骨盤帯を介助」など、変更点を得点と一緒に残してください。
TCTの記録方法|点数と採点根拠をセットで残す
TCTは合計点だけでなく、各項目がその点数になった理由を残すことで、再評価や申し送りに活用しやすくなります。
| 記録項目 | 残す内容 |
|---|---|
| 項目別得点 | 4項目それぞれの0点・12点・25点。 |
| 支持・把持 | 柵、寝具、ベッド、上肢支持などの使用。 |
| 身体介助 | 介助した部位と、介助が必要になった動作段階。 |
| 評価条件 | 足底条件、ベッド環境、支持物、原法からの変更。 |
| 動作の質 | 左右差、反動、速度、崩れ方など、次回比較したい所見。 |
| 安全面 | 転落リスク、疼痛、恐怖感、疲労、循環動態の変化。 |
カルテへ転記する記録テンプレート
TCT:合計[ ]/100点
麻痺側寝返り[ ]点:[支持・介助・動作様式]
非麻痺側寝返り[ ]点:[支持・介助・動作様式]
起き上がり[ ]点:[支持・介助・動作様式]
端座位保持[ ]点:[足底条件・上肢支持・保持状況]
条件変更・安全面:[ ]
TCT記録補助シート(PDF)
TCTの項目別得点と、支持・把持・代償・安全面を1枚で記録できる補助シートです。印刷してベッドサイドで使用するほか、電子カルテへ転記する前の下書きとして活用できます。
注意:このPDFは、臨床記録を補助するための自作シートです。公式評価用紙や認定教材の代替ではありません。施設の運用ルールや正式な採点基準に沿って使用してください。
TCT自動計算ツール
4項目の得点を選択すると、合計点と内訳を自動計算できます。未入力の項目がある場合は合計点を確定しない仕様です。
自動計算ツールは採点補助であり、12点と25点を自動で判定するものではありません。採点基準を確認したうえで点数を選択し、支持・把持・身体介助などの所見を別に記録してください。
TCTの結果は合計点だけで解釈しない
TCTは、寝返り・起き上がり・端座位保持がどの程度成立しているかを短時間で整理する評価です。ただし、同じ合計点でも、低得点になった項目や動作様式が異なれば、必要な評価や介入も変わります。
結果を確認するときは、合計点に加えて次の3点を見ます。
- どの項目が0点または12点だったか
- 身体介助と支持・把持のどちらが必要だったか
- 前回と同じ条件で評価できたか
TCTだけでは、動的座位バランス、体幹の協調性、下肢機能、感覚、注意機能などを十分に評価できません。満点付近でも体幹機能を詳しく調べる必要がある場合は、目的に応じてFACTやTISなどを追加します。
TCTでよくある採点ミス
| よくあるミス | 問題点 | 回避策 |
|---|---|---|
| 身体介助が必要でも12点にする | 12点を「軽介助」と読み替えている。 | 介助なしで遂行できない場合は0点を確認する。 |
| 支持物を使っても25点にする | 動作の完了だけで採点している。 | 何を使って動作したかまで確認する。 |
| 見守りだけで0点にする | 見守りと身体介助を混同している。 | 評価者が動作遂行を実際に助けたかを確認する。 |
| 端座位を足底接地で行う | 原法と評価条件が異なる。 | 足底を離した30秒保持を基本とし、変更時は記録する。 |
| わずかな左右差だけで12点にする | 原法にない独自の減点基準を作っている。 | 得点と動作の質を分け、左右差は所見として残す。 |
| 合計点だけを記録する | 次回、何が変化したか判断できない。 | 項目別得点と採点根拠をセットで残す。 |
FAQ|TCTの採点でよくある質問
各項目をタップすると回答が開きます。
Q. TCTは何点満点ですか?
A. 4項目を各0点・12点・25点で採点し、合計100点満点で示します。
Q. 12点は軽介助という意味ですか?
A. いいえ。12点は、評価者の身体介助なしで遂行できるものの、寝具や支持物を使うなど異常な方法で行う場合です。介助なしでは遂行できない場合は0点を確認します。
Q. 見守りが必要な場合は0点ですか?
A. 見守りだけで直ちに0点にはなりません。評価者が患者さんの動作遂行を実際に助けたか、患者さん自身が支持物を使用したかを分けて判断します。
Q. 端座位保持は足を床につけてもよいですか?
A. 原法では、ベッド端で足底を床から離して30秒間保持します。安全上の理由で足底を接地した場合は条件変更を記録し、原法と同じ条件の得点と単純比較しないようにします。
Q. TCTが満点なら体幹機能に問題はありませんか?
A. TCTは4項目による簡便な評価です。満点でも動的座位バランスや体幹の協調性を詳しく確認したい場合は、目的に応じてFACTやTISなどを追加します。
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まとめ|TCTは点数と動作様式を一緒に記録する
TCTは、寝返り2方向、起き上がり、端座位保持の4項目を、各0点・12点・25点で評価する体幹機能検査です。
0点は介助なしでは遂行できない場合、12点は介助なしで遂行できるものの異常な方法を使う場合、25点は正常な方法で遂行できる場合として整理します。特に、身体介助、患者さん自身による支持・把持、見守りを混同しないことが重要です。
合計点だけで評価を終えず、項目別得点、支持物、身体介助、端座位の足底条件、安全面を一緒に記録し、同じ条件で再評価できるようにしましょう。
参考文献
- Collin C, Wade D. Assessing motor impairment after stroke: a pilot reliability study. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 1990;53(7):576-579. doi:10.1136/jnnp.53.7.576 / PubMed
- Franchignoni FP, Tesio L, Ricupero C, Martino MT. Trunk Control Test as an early predictor of stroke rehabilitation outcome. Stroke. 1997;28(7):1382-1385. doi:10.1161/01.STR.28.7.1382 / PubMed
- Duarte E, Marco E, Muniesa JM, et al. Trunk Control Test as a functional predictor in stroke patients. J Rehabil Med. 2002;34(6):267-272. doi:10.1080/165019702760390356 / PubMed
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。
現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。
保有資格
- 脳卒中認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター2級

