いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!
この記事は「UPDRS」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。
パーキンソン病と上手く付き合っていくうえで重要なことは、適切なタイミングで治療を開始することと、症状の経過に伴って治療方法を適切に変更していくことになります。
パーキンソン病は脳内でドパミンを十分作れなくなる病気で、基本的には薬による治療(症状の進行を抑えること)が中心になります。パーキンソン病の難しいところが、対象者によって症状の経過が異なるところになります。そのため、薬の種類や量、組み合わせはそれぞれの対象者に合わせて調整していくことになります。
だからこそ必要になることがパーキンソン病の評価になります。パーキンソン病の症状の種類や程度を評価していくことは、パーキンソン病の治療のヒントとなります。この記事で紹介するUPDRSは、運動症状と非運動症状の複数の側面からパーキンソン病を総合的に判定することが可能であり有用な評価になります。
UPDRSは知名度も高く、パーキンソン病の包括的評価として理解している方は多いと思います。しかし実際に使用できるかというと使用したことがない方が大半だと思います。そんな方のために、こちらの記事をまとめました。今までにUPDRSを一度も使用したことがない人でも、この記事を読むことで明日からの臨床で活用することができるようになることを目標にします。特に、下記のポイントを理解できるようにします。
- パーキンソン病の基本情報
- UPDRS・MDS-UPDRSの概要
- 42の評価項目と採点における注意点
こちらの記事がパーキンソン病のアセスメントの質の向上、症状の進行を防止させるための取り組みに少しでもお力添えになれば幸いです。是非、最後までご覧になってください!
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。
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- パーキンソン病とは
- パーキンソン病(PD)症状
- UPDRSとは?パーキンソン病包括的評価法
- 推奨グレード(エビデンス)
- UPDRS 評価項目
- On Off 症状に応じた評価のタイミング
- UPDRS 評価方法
- Part 1:精神機能、行動および気分(MAX:16点)
- Part 2:日常生活動作(MAX:52点)
- Part 3:運動能力検査(MAX:108点)
- 18.言語
- 19.顔の表情
- 20.安静時の振戦
- 21.手の動作時または姿勢時振戦
- 22.(筋)固縮(患者は座位で安静にしている。主要な関節で判断する。歯車現象は無視)
- 23.指タップ(親指と示指をなるべく大きく早くタップする。左右は別々に)
- 24.手の動作(できるだけ大きく、すばやく手の開閉をくり返す。左右は別々に)
- 25.手の回内回外運動(垂直や水平の位置で、できるだけ大きく、両手を同時に)
- 26.下肢の敏捷性.下肢をあげてかかとで床をタップする.かかとは7.5cm あげる.
- 27.イスから立ち上がる.(まっすぐの背もたれの木か金属のイス.腕を組んだまま立ち上がる)
- 28.姿勢
- 29.歩行
- 30.姿勢の安定性(患者はまっすぐに立ち,開眼し,足はすこし開いて準備する。肩を後方に勢いよく引いて後方突進現象をみる)
- 31.からだの動作緩慢.(動作緩慢,ちゅうちょ,腕の振りの減少,運動の振幅の減少と運動全体の少なさを総合的に評価する)
- Part 4:治療の合併症(MAX:23点)
- UPDRS 合計点の解釈、カットオフ値
- まとめ
- 参考文献
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、アルツハイマー病に次いで 2 番目に多い中枢神経変性疾患であり、進行性の疾患になります。
罹病期間は長く、パーキンソン病を発症してから10年以上経過している方も少なくありません。最近では、新しい治療薬の開発などによりパーキンソン病の予後が大きく改善しています。また、パーキンソン病の方の平均寿命は一般の平均寿命とさほど変わらない程、長生きができるとも言われています。
病因は中脳黒質変性症のドパミン作動性神経の変性であり、病変の細胞にはレビー小体といわれる蛋白質封入体を認めます。この蛋白質分解の経路においての障害が病態機序に関わるとされている振戦、運動緩慢、筋硬直、姿勢やバランスの障害を特徴としています。
2017 年時点では、世界中で約 700 万人の人が PD に罹患していると考えられており、65 歳以上の 1~3%、85 歳以上の 4~5% が PD に罹患していることが明らかになっています。
パーキンソン病(PD)症状
四肢のふるえ(振戦)、動作緩慢、筋固縮、姿勢反射障害がいわゆる四大症状になります。しかし、パーキンソン病には四大症状以外にも多数の随伴症状・関連症状があり、それらが患者によって様々な組み合わせで出現し、病像としては均一とはいえない様相を呈します。随伴症状・関連症状を以下に記載します。
- 振戦、動作緩慢、筋固縮、姿勢反射障害
- 仮面様顔貌、小字症、姿勢異常、指・趾の変形
- すくみ、ジスキネジア、ジストニア、開瞼失行
- うつ症状、無気力、無感動
- 記憶障害、幻覚・妄想、睡眠障害
- 反復常同行動、買物依存症、脅迫的過食症、病的賭博、性行動亢進
- 嗅覚障害、構音障害、嚥下障害、流涎
- 起立性・食事性低血圧、便秘、排尿障害、むくみ、発汗異常、性機能障害
- 腰痛を含む様々な痛み、しびれ感
パーキンソン病で出現する症状は、パーキンソンニズムとしてパーキンソン病以外の他の疾患でも認められます。パーキンソンニズムについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【パーキンソニズムの症状と鑑別方法についての記事はこちらから】
UPDRSとは?パーキンソン病包括的評価法
パーキンソン病の評価指標として世界的に最も有名なものは、「Hoehn & Yahrの重症度分類」になると考えられます。
「Hoehn & Yahrの重症度分類」は名前の通り、パーキンソン病の重症度を判定する評価指標になりますが、簡便である一方で分離は大まかであり、パーキンソン病の多岐に渡る臨床症状ごとの評価および治療の効果判定には適していません。
このような状況の中、開発されたのが UPDRS(Unified Parkinson’s Disease Rating Scale)になります。
UPDRS は 1987 年に Fahn らによって発表されたパーキンソン病の包括的評価法になります。信頼性が高く、世界的に使用されてきましたが、評点方法が曖昧であることや非運動症状である自律神経症状に関する評価項目がないなどの問題点が指摘されていました。
そこで、2008 年には MDS(Movement Disorder Society)による改良版である MDS – UPDRS が発表されています。
パーキンソン病の評価指標にはさまざまなものが考案されておりますが、運動症状と非運動症状の多側面からパーキンソン病を総合的に判定する場合には MDS – UPDRS が選択される場合が多く、臨床研究での使用頻度も多い評価指標となります。
推奨グレード(エビデンス)
パーキンソン病における理学療法診療ガイドラインによるとパーキンソン病の疾患特異的評価指標として、最も頻繁に使用され、信頼性も妥当性も高いと記されています。
UPDRS 評価項目
UPDRS は 4 つのパートから構成されており、評価項目は全部で 42 項目となっています。
- Part 1:精神機能、行動および気分(4 項目)
- Part 2:日常生活動作(13 項目)
- Part 3:運動能力検査(14 項目)
- Part 4:治療の合併症(11 項目)
On Off 症状に応じた評価のタイミング
パーキンソン病では On Off 症状が認められることがありますが、UPDRS では On Off 症状に応じた評価のタイミングが定められております。
- Part 1:問診により On 時または Off 時に関係なく評価する
- Part 2:問診により On 時と Off 時に分けて評価する
- Part 3:On 時に検査し評価する
- Part 4:問診により評価する
UPDRS 評価方法
UPDRS では全 42 項目について評価を行います。全体の合計点も出しますが、パートごとの合計点も計算して効果判定に使用します。
Part 1:精神機能、行動および気分(MAX:16点)
1.知的機能の障害
0 なし
1 軽度の障害がある。健忘が一貫してみられるが部分的に思い出すことができる。他の障害は認められない。
2 中等度の記銘力障害と見当識障害を認める。複雑な問題への対処に中等度の障害を認める。家庭内でも軽度ながら明らかに障害あり、ときに介助を必要とする。
3 重篤な記憶障害を認める。時間や、ときに場所に対する見当識障害を認める。問題の対処に重篤な障害がある。
4 重篤な記憶障害がある。見当識は人に対してのみ保たれている。判断や問題解決は不可能である。身の回りのことにもかなりの介助が必要で、ひとりにしておくことはできない。
2.思考の障害(痴呆または薬物の中毒による)
0 なし
1 生々しい夢をみる。
2 良性の幻覚を見る。幻覚であることはわかっている。
3 時々あるいはしばしば妄想がある。病識がなく、日常生活に支障をきたすことがある。
4 持続的に幻覚・妄想あるいは増悪期精神症がある。自分で社会生活ができない。
3.抑うつ
0 なし
1 時に通常以上の悲しみや罪悪感に悩まされる。数日や数週続くことはない。
2 1週間以上抑うつ状態が続く。
3 不眠、食欲不振、体重減少、興味の消失を伴う抑うつ状態を認める。
4 上記の症状に自殺念慮あるいは自殺企図を伴う。
4.意欲・自発性
0 正常
1 通常より受動的である。消極的でもある。
2 選択的な(ルーチンではない)活動への意欲、興味が喪失している。
3 日常生活動作(ルーチン)への意欲、興味が喪失している。
4 引きこもり、意欲の完全な消失。
Part 2:日常生活動作(MAX:52点)
5.会話
0 正常
1 軽度の障害を認める。理解するのに支障はない。
2 中等度の障害を認める。ときどき、もう一度くり返すように頼まれることがある。
3 高度の障害を認める。しばしば、もう一度くり返すように頼まれる。
4 ほとんど聞き取りすることができない。
6.唾液
0 正常
1 唾液が軽度増加。夜間に流涎を見ることがある。
2 唾液が中等度増加。軽度の流涎をみとめることがある。
3 唾液が高度増加。ときに流涎を認める。
4 流涎のためにティッシュやハンカチをつねに必要とする。
7.嚥下
0 正常
1 まれにむせる。
2 ときどきむせる。
3 柔らかい食事にしないとむせる。
4 鼻管や胃瘻による経管栄養。
8.書字
0 正常
1 軽度書字が遅いか字が小さい。
2 中等度に遅いか字が小さい。すべての字は読める。
3 高度に障害。すべての字が読めるわけではない。
4 字の大多数は読めない。
9.食べ物のカット、食器の取り扱い
0 正常
1 いくらか遅くぎこちないが、助けはいらない。
2 いくらか遅くぎこちないが、基本的には箸、フォーク、ナイフで適切な大きさに切り分けて食べることができる。部分的に介助を要すことがある。
3 食べ物は他の人に切ってもらわないといけない。しかし、ゆっくりではあるが食べることができる。
4 介助で食べさせてもらう必要がある。
10.着衣
0 正常
1 いくらか遅いが、介助は要しない。
2 ボタンを留める、そでに腕を通すなどで介助を要することがある。
3 いくらか自分でできることもあるが、かなり介助が必要である。
4 自分では何もできない。
11.衛生(入浴・トイレ)
0 正常
1 やや遅いが、介助は要しない。
2 シャワーや入浴に介助を要する。とても遅い。
3 洗顔・歯磨き・くし・風呂に行くなどの行為に介助を要する。
4 膀胱カテーテルやその他補助器が必要となる。
12.寝返りおよびシーツをなおす
0 正常
1 すこし遅く不器用だが、介助は必要ない。
2 ひとりで寝返りをうったりシーツを直せるが、たいへんな努力を要する。
3 寝返りやシーツをなおす動作は始められる。しかし完結できない。
4 自分ではまったくできない。
13.転倒(すくみ現象とは関係なしに)
0 なし
1 まれに転倒する。
2 時々転倒する。平均して一日に一回はない。
3 平均して一日一回転倒する。
4 一日数回転倒する。
14.歩行中のすくみ
0 なし
1 歩行中にまれにすくみが出たり、歩き始めにすくむことがある。
2 時々歩行中にすくむ。
3 頻繁にすくむ。これにより時に転倒する。
4 頻繁にすくみ転倒する。
15.歩行
0 なし
1 軽度障害。腕の振りが無かったり、足を引きずることがある。
2 中等度障害。しかし介助はほとんどいらないか不要である。
3 高度障害。介助を要する。
4 介助をもってしても歩行不能である。
16.振戦
0 ない
1 軽度。まれに出現する。患者にとっては気にならない程度である。
2 中等度。患者は振戦が気になり生活に支障をきたす。
3 高度。多くの日常生活動作ができない。
4 著明。ほとんどの日常生活動作が妨げられる。
17.パーキンソン症候群に関連した感覚障害
0 なし
1 時々しびれ、ちくちく、または痛みを感じる.
2 頻繁にしびれ、ちくちく、または痛みを感じる。苦痛ではない。
3 頻繁に痛みを感じる。
4 耐え難い痛みを感じる
Part 3:運動能力検査(MAX:108点)
18.言語
0 正常
1 表現、用語、声量の軽度の障害がある。
2 中等度の障害。単調で不明瞭だが理解できる。
3 著しい障害。理解が困難である。
4 理解不能である。
19.顔の表情
0 正常
1 わずかに表情が乏しい。ポーカーフェース。
2 軽度だがあきらかに表情が乏しい。
3 中等度の表情の乏しさ。口を閉じていないときがある。
4 仮面様で、ひどくあるいは完全に表情がない。口は 0.6cm 以上開いている。
20.安静時の振戦
0 なし
1 わずかの振戦が、時に見られる程度である。
2 軽度の振幅の振戦が常にある。または中等度の振幅の振戦がときどきある。
3 中等度の振戦がほとんどの時間ある。
4 高度の振戦がほとんどの時間ある。
21.手の動作時または姿勢時振戦
0 ない
1 軽度。動作にともなっておこる。
2 中等度の振幅。動作にともなっておこる。
3 中等度の振幅。動作時と姿勢保持時にもおこる。
4 著明な振幅。食事が妨げられる。
22.(筋)固縮(患者は座位で安静にしている。主要な関節で判断する。歯車現象は無視)
0 ない
1 軽微またはミラームーブメントないし他の運動で誘発できる程度。
2 軽度ないし中等度の固縮。
3 高度の固縮。しかし関節可動域は正常である。
4 著明な固縮。関節可動域に制限あり。
23.指タップ(親指と示指をなるべく大きく早くタップする。左右は別々に)
0 正常
1 すこしおそいか、振幅が減少している。
2 中等度の障害。疲れやすく、ときどき運動が止まることがある。
3 著明な障害。しばしば開始時にすくむことがあり、運動がとまってしまう。
4 ほとんどできない。
24.手の動作(できるだけ大きく、すばやく手の開閉をくり返す。左右は別々に)
0 正常
1 すこし遅いか振幅が小さい。
2 中等度の障害。すぐ疲れてしまう。ときに運動が止まる。
3 著明な障害。しばしば開始時にすくむことがあり、運動がとまってしまう。
4 ほとんどできない。
25.手の回内回外運動(垂直や水平の位置で、できるだけ大きく、両手を同時に)
0 正常
1 すこし遅いか、振幅が小さい。
2 中等度の障害。すぐ疲れてしまう。ときに運動が止まる。
3 著明な障害。しばしば開始時にすくむことがあり、運動がとまってしまう。
4 ほとんどできない。
26.下肢の敏捷性.下肢をあげてかかとで床をタップする.かかとは7.5cm あげる.
0 正常
1 すこし遅いか,振幅が小さい.
2 中等度の障害.すぐ疲れてしまう.時に止まっても良い.
3 著明な障害.しばしば開始時にすくむか運動が止まる.
4 ほとんどできない.
27.イスから立ち上がる.(まっすぐの背もたれの木か金属のイス.腕を組んだまま立ち上がる)
0 正常
1 遅い.または1度でうまく行かないことあり.
2 肘掛けに腕をついて立ち上がる.
3 イスにふたたび倒れ込む.一度ではうまく行かないことあり.介助なしで立ち上がれる.
4 介助なしでは立ち上がれない.
28.姿勢
0 正常
1 軽度の前屈姿勢.高齢者では正常な程度.
2 中等度に前屈姿勢.明らかに異常.すこし左右一方に偏っていても良い.
3 高度に前屈姿勢で,脊柱後彎(亀背)をともなう.中等度に左右一方に偏っていてよい.
4 高度の前屈姿勢.姿勢は極端に異常である.
29.歩行
0 正常
1 歩行は緩慢.数歩はひきずり足になる.加速歩行や前方突進はない.
2 歩行は困難をともなう.介助は要しない.加速歩行や数歩の前方突進あり.
3 いちじるしく障害.介助を要する.
4 介助があっても歩行不能.
30.姿勢の安定性(患者はまっすぐに立ち,開眼し,足はすこし開いて準備する。肩を後方に勢いよく引いて後方突進現象をみる)
0 正常
1 後方突進あり.自分で立ち直れる.
2 姿勢反射がおきない.検者が支えなければ倒れてしまう.
3 きわめて不安定.自然にバランスを失う.
4 介助なしでは立てない.
31.からだの動作緩慢.(動作緩慢,ちゅうちょ,腕の振りの減少,運動の振幅の減少と運動全体の少なさを総合的に評価する)
0 なし
1 わずかに緩慢.ゆっくりとした動作.人によっては正常のこともある.運動の振幅がやや小さいこともある.
2 軽度に動作が緩慢.運動量があきらかに低下している.運動の大きさがやや低下.
3 中等度に動作が緩慢.運動量が低下し,または運動の大きさが低下している.
4 著明に動作が緩慢.運動量の低下.または運動の大きさが低下している.
Part 4:治療の合併症(MAX:23点)
A. ジスキネジア
32.持続時間(起きている時間の何%か)
0 なし
1 1-25%
2 26-50%
3 51-75%
4 76-100%
33.ジスキネジアによる障害.
0 なし
1 軽度障害
2 中等度障害
3 重度に障害
4 完全な障害(なにもできない)
34.痛みをともなうジスキネジア.どのくらい痛いか.
0 なし
1 軽度
2 中等度
3 重度
4 著明な障害
35.早朝のジストニア
0 なし
1 あり
B.症状の日内変動
36.服薬時間から予測可能なオフ期間はあるか.
0 なし
1 あり
37.服薬時間から予測不可能なオフ期間はあるか.
0 なし
1 あり
38.とつぜん(数秒以内など)おこるオフ期間はあるか
0 なし
1 あり
39.起きている時間の何%が平均してオフ期間か.
0 なし
1 1-25%
2 26-50%
3 51-75%
4 76-100%
C. その他の合併症状
40.患者は食欲低下,嘔気,嘔吐をともなっているか.
0 なし
1 あり
41.不眠や眠気があるか.
0 なし
1 あり
42.起立性低血圧症状はあるか.
0 なし
1 あり
UPDRS 合計点の解釈、カットオフ値
UPDRS の評価尺度は順序尺度となります。
Part 1からPart 3までは 「0、1、2、3、4 」の 5 段階で採点します。Part 4は「0、1、2、3、4 」の 5 段階で採点する項目と「0、1 」の 2 段階で採点する項目に分類されます。
全 42 項目の合計点の範囲は、0~251 点となります。
- Part 1 の小計の範囲は、0~16 点
- Part 2 の小計の範囲は、On 時とOff 時それぞれで評価する必要があり、各0~52 点
- Part 3 の小計の範囲は、0~108 点
- Part 4 の小計の範囲は、0~23 点
UPDRSにおける基準値やカットオフ値の報告はありません。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「UPDRS・MDS-UPDRS」をキーワードに考えを述べさせていただきました。
こちらの記事がパーキンソン病のアセスメントの質の向上、症状の進行を防止させるための取り組みに少しでもお力添えになれば幸いです。
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参考文献
- 中西亮二,山永裕明,野尻晋一,出田透.パーキンソン病の障害評価とリハビリテーション.Jpn J Rehabil Med.2013,50,p658-670.
- 織茂智之.パーキンソン病の最近の検査、治療.日本老年医学会雑誌.53巻,3号,2016,p195-209.
- 医学と薬学.パーキンソン病の診断基準,MDS-UPDRS その後の評価.武田篤,金原禎子.
Jun. 2020,Vol.77,No.6,p861-867.