
こんにちは!リハビリくんです!
今回はIADL評価法の1つとなるLawtonの尺度について解説していきたいと思います!
IADLについては医療従事者であれば、よく聞く言葉だと思いますが、一般の人にとっては馴染みの少ない言葉かもしれませんね。
IADLは手段的日常生活動作と呼ばれており、自分自身で自立した生活を送る上で欠かせない能力です。IADLを喪失してしまうと、認知症などの様々な病気を併発してしまう恐れがあるので、できる限り自分のことは自分で行うことが重要です。
ADLとIADLで比較すると基本的にはIADLの方がより難しい生活行為になります。そのため、順序的にはIADLが維持できなくなると、やがてADLも維持できなくなっていく、という流れになります。つまり、IADLを維持することが生活の質の維持・向上に繋がるため、IADL能力を定期的に評価し、対策に繋げることが重要になります。

【簡単に自己紹介】
30代の現役理学療法士になります。
理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。
現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。
臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。
そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。
現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。
主な取得資格は以下の通りです
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
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IADLとは
IADLは「Instrumental Activities of Daily Living」の略で、日本語では「手段的ADL」もしくは「手段的日常生活動作」と呼ばれています。
ADLは日常生活の「基本的な動作」であるのに対し、IADLはADLよりも複雑な動作と判断が求められる「応用的な動作」のことです。
例えば「買い物」や「乗り物(公共交通機関等)の使用」など、単純に動作が行えるかだけでなく、判断や意思決定が可能かどうかもチェック内容に含まれます。IADLは生活の質(QOL)にも直結するため、IADLをできる限り維持していく事が、人生100年時代を生き抜くためにとても大切です。
IADLについては、他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【IADLの充実を目指したリハビリについての記事はこちらから】
ADLとIADLの違い
ADLとIADLは、介護やリハビリテーションの世界では一般的に使われている言葉です。
ADLの項目は、移動(歩く、車椅子を操作する)、食事や着替えなどの運動項目、コミュニケーションにおける理解(言葉や意味が分かること)、や表出(自分の意思や意図を伝えること)などの認知項目など、最低限の日常生活を行うための動作を指します。
これに対してIADLは、前述の通りADLよりも複雑な動作と判断が求められる動作のことを指します。IADLの項目に含まれている「洗濯」を例にとって、説明します。
洗濯には「洗濯カゴから洗濯機に洗濯物を移す作業」「洗剤や柔軟剤を入れる作業」「洗濯を干す作業」「洗濯物を畳む作業」「洗濯物を家族ごとに分けて収納する作業」と様々な工程に分かれます。単純な作業で完結するわけではなく、洗濯した服が誰のものなのか、どの服なのかによって、畳み方も収納場所も異なり、臨機応変な行動が求められます。
このように、IADLは身体を動かす機能だけでなく、判断力や理解力などの機能も関わってきます。
IADLの評価法について
- Lawton(ロートン)の尺度
- 老研式活動能力指標
- DASC-21
- Frenchay Activities Index(FAI)
この4種類の評価を抑えておけば間違いないと思います。
Lawtonの尺度の概要
1969年にIADLの発案に携わったといわれるアメリカの心理学者 M・Lawton(ロートン)らが考案したLawton(ロートン)の尺度の評価方法について詳しくご紹介します。
評価項目
Lawton(ロートン)の尺度の評価項目は、以下の8つの項目から構成されています。
- 買い物
- 電話対応
- 家事
- 食事の準備
- 洗濯
- 移動
- 服薬の管理
- 金銭の管理
評価方法
Lawton(ロートン)のIADLの評価表を用いて評価します。

Lawtonの評価表をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺
8項目の項目ごとに、3~5段階で分けられている行動のうち、自身がどれに当てはまるのか該当する番号を選択し、数値の合計で採点します。「スコアが高いほど自立に近い」という評価になります。
Lawtonの尺度の特徴
男女で評価項目が異なるところが特徴になります。女性は前述した8項目になりますが、男性は「家事・食事の準備・洗濯」を除いた「買い物・電話対応・移動・服薬の管理・金銭の管理」の5項目になります。
男女で評価項目が異なる理由としては、IADLへの関わりが男女で異なるという考え方からなります。
※一般的に男性は食事の準備や家事をしないという考え方
しかし、最近では男性が家事をする家庭も多いですし、年々独居の男性も増えています。そのため、男女で評価項目が異なることについては賛否が分かれる問題かと思われます。
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まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!この記事では、IADL評価法の1つとなるLawtonの尺度についてまとめさせていただきました!
Lawtonの尺度については日本で最も使用頻度が高いIADL評価法になるかと思われます。前述したように、男女によって評価項目が異なるところがLawtonの尺度の大きな特徴になると思います。
日本人の生活様式も時代の流れで随分変化してきております。男性が働き、女性が家庭をみるといった時代は終了し、共働きが当たり前の時代となっております。そのため、Lawtonの尺度のように男性は「家事・食事の支度・洗濯」を除外して採点するというのは如何なものかと正直思います。
しかし現在、高齢者に当てはまる方で考えれば、そういう時代に当てはまると思いますのでLawtonの尺度は効果的に使用できるのではないかと思います。今後、数十年後には見直す必要がありそうですね!
この記事ではIADL評価法のひとつ、Lawtonの尺度について考えを述べさせていただきました。BADLについては他の記事で、より詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【ADL評価法はどれを使えばいい?についての記事はこちらから】
参考文献
- 町田綾子,鳥羽研二,櫻井孝,鷲見幸彦.手段的日常生活動作を用いた軽度認知症スクリーニング項目の検討.日老医誌 .2013,50,p266-267.
- 角徳文.ADL・IADLの評価尺度.総合リハビリテーション.2017,45巻,8号,p853-855.