MNA(本式)とは?評価方法・判定基準・18項目を解説

栄養・嚥下
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MNA(本式)の使い方|評価方法・判定・点数後の対応

MNAを点数だけで終わらせず、一次判定から介入・再評価までつなげたい方向けの記事です。

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一次判定はMNA-SF

低栄養診断はGLIM基準

MNA(Mini Nutritional Assessment・本式)は、高齢者の栄養状態を18項目・0〜30点で評価し、栄養状態良好、低栄養のおそれあり、低栄養の3段階に整理する評価法です。体重やBMIだけでなく、食事摂取、移動能力、急性疾患、認知・抑うつ、生活環境、周囲長などを包括的に確認できます。

この記事では、MNA本式を実施する場面、評価の流れ、判定基準、18項目の見方、点数が出た後の対応を実務向けに整理します。後半には、公式票で採点した各項目の点数を集計できる自動計算ツールと、評価条件・介入・再評価を記録できるA4記録シートPDFも掲載しています。

MNA-SFの採点方法やGLIM基準による低栄養診断は、別記事で詳しく解説しています。本記事では、本式MNAの実施と運用に焦点を当て、正式な採点には公式評価票を使用します。

MNA(本式)の評価方法|6ステップ

MNA本式は、測定条件と聞き取り条件をそろえ、判定後の介入と再評価まで一連の流れで実施します。

  1. 対象者と評価条件を確認する:体重、身長または推定身長、既往歴、服薬、食事形態、嚥下状態、生活背景を確認します。
  2. MNA-SFで一次判定する:MNA-SFを実施し、11点以下の場合は本式MNAによる詳細評価へ進みます。
  3. 公式票に沿って18項目を評価する:本人の回答を基本とし、必要に応じて家族、介護者、診療録、食事摂取記録から情報を補完します。
  4. 合計0〜30点を算出する:24〜30点、17〜23.5点、17点未満の点数帯に分類します。
  5. 低得点項目の背景を確認する:摂取量、口腔・嚥下、炎症、認知・抑うつ、薬剤、生活・社会要因を整理します。
  6. 介入と再評価条件を決める:実施内容、主担当、評価時期、体重や摂取量などの追跡指標を記録します。
MNA-SFから本式MNAへ進む流れ

MNA-SFで栄養リスクを認めた場合に本式MNAへ進み、低得点となった領域と介入の優先順位を整理します。MNA-SFの評価方法は、MNA-SFの使い方と判定基準を確認してください。

MNA(本式)の判定基準

MNA本式は、合計0〜30点を3つの点数帯に分類します。点数が低いほど栄養状態の悪化が疑われますが、低得点だけで原因や低栄養診断が確定するわけではありません。

MNA本式の点数と判定
合計点 判定 確認する内容 初期対応
24〜30点 栄養状態良好 体重、食事の質、活動量、生活環境の維持 経過観察と再評価時期の設定
17〜23.5点 低栄養のおそれあり 摂取量低下、体重減少、口腔・嚥下、食事形態、生活背景 原因を整理し、補食や食事調整を行って短期再評価
17点未満 低栄養 急性疾患、炎症、嚥下障害、抑うつ、薬剤、社会要因 多職種で原因評価と集中的な栄養介入を検討

MNAの判定は、介入対象と優先順位を整理するために使用します。低栄養の診断が必要な場合は、体重減少、BMI、筋量、摂取量、疾患負荷や炎症を確認し、必要に応じてGLIM基準による低栄養診断へつなげます。

MNAを実施する前に固定したい条件

MNAの経時変化を正しく読むには、測定方法と聞き取り方法をできるだけ固定します。体重、身長、上腕周囲長、下腿周囲長の測定条件が毎回異なると、介入効果ではなく測定誤差によって点数が変わる可能性があります。

  • 体重:測定時刻、衣類、食前・食後、車椅子計測の条件
  • 身長:実測、過去身長、膝高などの推定方法
  • 上腕周囲長:測定側、測定位置、浮腫の有無
  • 下腿周囲長:測定側、肢位、最大周径、浮腫の有無
  • 問診:本人回答、家族補完、介護者補完などの回答条件
  • 食事情報:確認期間、食事摂取割合、欠食、補食の有無

MNA(本式)でよくある失敗

MNA本式では、測定条件の違い、問診情報の不足、点数だけを見た判断が運用上の失敗につながります。

MNA本式で起きやすいミスと対策
よくある失敗 起こる問題 対策 記録ポイント
体重変化の期間が統一されていない 異なる期間の体重変化を同じ基準で判断してしまう いつからいつまでの変化かを確認する 参照日、測定日、測定条件
身長の推定方法が毎回異なる BMIと関連する点数が測定方法によって変化する 実測または推定方法を固定する 実測・過去身長・膝高などの方法
周囲長で浮腫を考慮しない 筋量を実際より多く評価する可能性がある 浮腫、左右差、肢位を確認する 測定側、肢位、浮腫の有無
本人の回答だけで評価する 認知機能低下、失語、抑うつによって情報が偏る 家族、介護者、食事記録で補完する 回答者と補完した情報源
合計点だけを記録する 介入すべき低得点領域が分からない 項目別得点と背景因子を残す 低得点項目、原因、担当者、再評価日

MNA本式18項目の見方

MNA本式は、人体計測、全身状態、食事状況、本人の主観を組み合わせて栄養状態を評価します。以下は正式な質問文や採点選択肢ではなく、各項目を臨床でどのように確認するかをまとめた運用ガイドです。採点時は必ず公式票を使用してください。

MNA本式18項目の臨床的な見方
区分 評価項目 確認する意味 追加で確認する内容 記録ポイント
A〜F 食事量の変化 最近の摂取低下とその程度を確認する 嚥下、疼痛、悪心、便秘、食欲、食形態 いつから、何割まで減ったか
A〜F 体重変化 非意図的な体重減少を確認する 浮腫、脱水、測定条件、急性疾患 参照期間と体重の実測値
A〜F 移動能力 活動量と生活範囲を確認する 歩行補助具、離床時間、外出、転倒 屋内・屋外移動の範囲
A〜F 心理的ストレス・急性疾患 代謝亢進や摂取低下の背景を確認する 感染、発熱、手術、入院、喪失体験 発症時期と食事量低下の時系列
A〜F 認知・抑うつ 食事継続や自己管理への影響を確認する 意欲、見当識、抑うつ、不安、拒食 既存評価と家族・介護者の所見
A〜F BMIまたは代替計測 やせの程度を確認する 身長推定法、浮腫、切断、円背 身長が実測か推定か
G〜R 生活の自立度 食事を準備し継続できる環境か確認する 独居、買い物、調理、配食、介助者 食事準備を担う人と支援内容
G〜R 常用薬 多剤併用や副作用による摂取低下を確認する 口渇、便秘、悪心、眠気、味覚変化 薬剤変更と症状の時系列
G〜R 褥瘡・皮膚潰瘍 炎症と栄養需要の増加を確認する 創の深さ、感染、滲出液、治癒経過 部位、重症度、処置内容
G〜R 食事回数 食事機会が確保されているか確認する 欠食、間食、食事時間、生活リズム 1日の食事・補食回数
G〜R たんぱく質摂取 筋量維持に必要な食品の摂取状況を確認する 肉、魚、卵、大豆、乳製品の頻度 主菜の種類と摂取頻度
G〜R 果物・野菜 食事の多様性と微量栄養素摂取を確認する 咀嚼、調理方法、食形態、買い物環境 摂取頻度と代替食品
G〜R 水分摂取 脱水や便秘の背景を確認する 嚥下障害、利尿薬、心不全、飲水制限 1日の飲水量と水分形態
G〜R 食事の自立度 食事動作と介助条件を確認する 姿勢、食具、トレイ配置、疲労、片麻痺 介助量と食事後半の変化
G〜R 自己評価:栄養状態 本人が食事や体重の変化をどう捉えているか確認する 食欲、体重減少の自覚、疲労感 本人の言葉を短く記録する
G〜R 自己評価:健康状態 全体的な健康観と生活上の不安を確認する 入院歴、ADL、IADL、疾患への認識 本人が困っている生活場面
G〜R 上腕周囲長 上腕部の筋・脂肪量の簡便な目安とする 浮腫、測定側、測定位置、麻痺 測定側と周囲長
G〜R 下腿周囲長 下肢筋量の簡便な目安とする 浮腫、左右差、拘縮、測定姿勢 測定側、肢位、最大周径

MNAの点数が出た後の対応

判定後は、点数帯だけでなく低得点となった項目から介入内容を選びます。同じ合計点でも、摂取量低下、急性疾患、生活環境、口腔・嚥下など、背景によって必要な対応は異なります。

MNA本式の点数帯ごとの初動
点数帯 優先して確認する内容 介入例 再評価の考え方
24〜30点 体重、食事の質、活動量、食事環境 たんぱく質と食事の多様性を維持し、活動量を確保する 状態変化時または施設の定期評価に合わせる
17〜23.5点 摂取量低下、体重減少、食形態、口腔・嚥下、生活環境 補食、栄養補助食品、食事形態、口腔ケア、食事姿勢を調整する 介入後の体重・摂取量を短期間で確認する
17点未満 急性疾患、炎症、嚥下障害、抑うつ、薬剤、社会要因 原因評価を急ぎ、多職種で集中的な栄養介入を検討する 全身状態と介入内容に応じて早期に再評価する

MNAを再評価するタイミング

MNAは一律の日数だけでなく、栄養状態へ影響する条件が変わったときに再評価します。初回と同じ測定・聞き取り条件をそろえ、変更した条件がある場合は明記してください。

  • 食事摂取量や体重が変化したとき
  • 食形態、補食、栄養補助食品を変更したとき
  • 肺炎、感染症、手術、発熱などの急性疾患が生じたとき
  • 口腔状態や嚥下機能が変化したとき
  • ADL、活動量、離床時間が変化したとき
  • 薬剤や栄養投与方法を変更したとき
  • 退院、転院、在宅移行によって生活環境が変わるとき

再評価では合計点だけでなく、体重、食事摂取量、低得点項目、実施した介入、本人の食べやすさを合わせて比較します。

MNA本式の活用例

症例1:回復期病棟
食事摂取量が6割程度で、入院前から体重減少を認めました。MNA本式は21点で「低栄養のおそれあり」でした。低得点項目と食事観察から、口腔乾燥、主菜摂取不足、食事後半の姿勢崩れを確認し、食前口腔ケア、座位調整、補食を導入しました。再評価では摂取量と体重の推移を合わせて確認しました。

症例2:在宅独居
主食中心の食事となり、買い物と調理が負担になっていました。MNA本式は16.5点で「低栄養」に該当しました。配食サービス、栄養補助食品、家族支援を導入し、体重減少が止まったか、食事回数が増えたかを短期再評価しました。

MNA本式記録シートPDF

MNA本式の採点、評価条件、身体計測、背景因子、介入内容、再評価結果をA4用紙1枚で整理できます。紙での記録、多職種カンファレンス、前回との比較に使用してください。

MNA本式記録シート(A4・PDF)

身体計測、採点、低得点項目、背景因子、介入、再評価を1枚にまとめた記録用シートです。

MNA本式記録シートPDFを開く

MNA本式記録シートをプレビューする

MNA(本式)自動計算ツール

公式票で採点したA〜Rの得点を入力すると、スクリーニング小計、詳細評価小計、MNA合計0〜30点、判定、前回差、低得点項目を確認できます。正式な質問文と採点選択肢は掲載していないため、必ずMNA公式票を使用して各項目を採点してください。

体重、身長、BMI、上腕周囲長、下腿周囲長、回答支援、摂取量、口腔・嚥下、炎症、認知・抑うつ、薬剤、生活要因、介入・再評価予定も記録できます。

自動計算ツールの使い方
  1. MNA公式票に沿ってA〜Rの各項目を採点します。
  2. 自動計算ツールへ各項目の得点を入力します。
  3. スクリーニング小計、詳細評価小計、合計点、判定を確認します。
  4. 得点率が低い項目と背景因子を確認します。
  5. 介入内容、担当者、再評価条件を記録します。
MNA本式自動計算ツールを別画面で開く

スマートフォンで入力欄を大きく表示したい場合や、記事とは別画面で使用したい場合に利用してください。

自動計算結果だけで栄養介入を決めない

自動計算ツールは、公式票で採点した得点の集計と記録を補助するものです。低得点の原因、疾患、炎症、食事摂取量、体重変化、筋量、口腔・嚥下、本人の希望を合わせて介入を検討してください。

MNA本式の記録例

合計点だけでなく、小計、低得点項目、身体計測、背景因子、介入、再評価条件をセットで記録します。

【MNA本式】合計__/30点
判定:栄養状態良好・低栄養のおそれあり・低栄養
スクリーニング小計:__/14点
詳細評価小計:__/16点
前回差:__点
低得点項目:____
体重:__kg/身長:__cm/BMI:__
MAC:__cm/CC:__cm
測定条件:____
回答条件:本人・家族補完・介護者補完・その他__
摂取量・食事内容:____
背景因子:口腔・嚥下__/炎症__/認知・抑うつ__/薬剤__/生活環境__
優先介入:____
主担当:____
再評価日・条件:____

MNA(本式)のよくある質問

各質問をタップすると回答が開きます。もう一度タップすると閉じます。

MNA本式はいつ実施しますか?

一般的にはMNA-SFで一次判定を行い、11点以下の場合に本式MNAへ進みます。本式では、栄養リスクの有無だけでなく、どの領域を優先して介入するかを整理します。

MNA本式は何点満点ですか?

0〜30点です。24〜30点は栄養状態良好、17〜23.5点は低栄養のおそれあり、17点未満は低栄養の目安として分類します。

MNAの低得点だけで低栄養と診断できますか?

MNAは栄養状態を評価し、リスクと介入の必要性を整理するための評価です。低栄養診断では、体重減少、BMI、筋量、摂取量、疾患負荷や炎症などを確認し、必要に応じてGLIM基準へつなげます。

本人から正確な回答が得られない場合はどうしますか?

家族、介護者、食事摂取記録、診療録などから情報を補完します。誰が回答し、どの情報源を使用したかを記録し、再評価でも可能な限り同じ条件をそろえてください。

身長を測定できない場合はどうしますか?

過去の身長や施設で採用している推定方法を使用します。推定方法を記録し、再評価でも同じ方法を用いてください。方法が変わるとBMIと点数の比較が難しくなります。

下腿周囲長に浮腫がある場合はどう解釈しますか?

浮腫があると周囲長が過大に測定される可能性があります。測定側、肢位、浮腫、左右差を記録し、周囲長だけで筋量を判断しないようにしてください。

MNAはどのくらいの頻度で再評価しますか?

一律の日数ではなく、食事摂取量、体重、疾患、食形態、栄養介入、生活環境が変わった時点で再評価します。定期評価を行う場合も、施設の運用と対象者の状態に合わせて設定してください。

自動計算ツールだけでMNAを評価できますか?

自動計算ツールは、公式票で採点した各項目の得点を集計する補助ツールです。正式な質問文、回答選択肢、採点方法を置き換えるものではありません。

次に確認する記事

MNAを臨床で運用する場合は、一次判定、本式評価、低栄養診断の役割を分けて理解すると整理しやすくなります。


参考文献

  1. Mini Nutritional Assessment. 簡易栄養状態評価表(日本語版). 公式PDF
  2. Mini Nutritional Assessment. Nutrition Screening and Assessment Guide. 公式ガイド
  3. Vellas B, Guigoz Y, Garry PJ, et al. The Mini Nutritional Assessment and its use in grading the nutritional state of elderly patients. Nutrition. 1999;15(2):116-122. doi:10.1016/S0899-9007(98)00171-3
  4. Rubenstein LZ, Harker JO, Salvà A, et al. Screening for undernutrition in geriatric practice: developing the short-form Mini Nutritional Assessment. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2001;56(6):M366-M372. PubMed:11382797
  5. Kaiser MJ, Bauer JM, Ramsch C, et al. Validation of the Mini Nutritional Assessment short-form: a practical tool for identification of nutritional status. J Nutr Health Aging. 2009;13(9):782-788. doi:10.1007/s12603-009-0214-7
  6. Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition: a consensus report from the global clinical nutrition community. Clin Nutr. 2019;38(1):1-9. doi:10.1016/j.clnu.2018.08.002

著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blogを2022年4月に開設。急性期・回復期・療養病棟、介護福祉施設、訪問リハビリテーションでの臨床経験をもとに、理学療法評価、臨床手順、記録用紙、医療制度などの実務情報を発信しています。

現在は療養病院に勤務し、脳卒中、褥瘡・創傷ケア、リハビリテーション栄養、呼吸リハビリテーションを中心に臨床・教育活動を行っています。

保有資格

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター2級

専門分野

脳卒中、褥瘡・創傷ケア、呼吸リハビリテーション、リハビリテーション栄養、シーティング、摂食・嚥下

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