【静的バランスの評価方法】おすすめ4選【直立検査、片足立ち検査】

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この記事の内容
  1. この記事は「静的バランスの評価方法」をキーワードに内容を構成しています
  2. 静的バランスの評価は、身体の安定性を保つ能力を把握するうえで重要となります
  3. 特に直立検査や片足立ち検査は簡便かつ信頼性の高い方法であり、高齢者や神経疾患患者の転倒リスクのアセスメントに有効となります
  4. 静的バランスの評価はリハビリ計画の立案や効果判定にも有用であり、日常生活動作の自立支援において重要な役割を果たします
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リハビリくんの実績
  1. rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設
  2. 2025 年 7 月時点:179 記事公開(月間 3 万 PV)
  3. 実務経験(医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリ等)
  4. 講師活動(診療報酬制度、褥瘡等をテーマに講演)
  5. 脳卒中 認定理学療法士
  6. 褥瘡 創傷ケア 認定理学療法士
  7. 3 学会合同呼吸療法認定士
  8. 福祉住環境コーディネーター 2 級
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直立検査(静的バランス)とは

静的バランスを評価する意義は 2 つに大別することができます。

1 つが小脳障害や前庭機能障害による固有受容感覚の異常が疑われる場合に、固有受容感覚の有無を確認するための静的バランス評価になります。

この場合の検査方法としては、開眼時と閉眼時のパフォーマンスを比較することになるロンベルグ試験やマン試験があげられます。

2 つめは疾患等は限定せずに、単純に静的バランスの低下が疑われる対象者に対して実施する静的バランス評価になります。

この場合の検査方法としては、開脚直立検査、閉脚直立検査、片脚立位検査、継足(タンデム)立位検査などがあげられます。

上記にあげた静的バランス評価、すなわち直立検査は臨床の場で場所を選ばず短時間で簡便に実施できるため、臨床的な意味付けが明確になれば、バランス能力の有用な測定法になります。

よくある間違いが、疾患や病態を考慮せずに「バランスが悪そうだから、まずはロンベルグ試験やマン試験を実施してみよう」というものになります。それぞれの評価方法の目的に沿った静的バランス評価ができるようにする必要があります。

静的バランスの評価方法

静的バランスの評価方法について代表的なテストをご紹介します。

直立検査

直立検査とは名前の通り、上肢の支えなく両脚で立位姿勢を保持するテストになります。両上肢は体側に軽く接し、顔の向きは正面を向くようにして行います。

評価方法

直立検査の評価のポイントは以下の 2 点となります。

  1. 両足の間の幅を狭めていった時に、どの幅まで立位姿勢を保持することができるのか
  2. 一定の足位で立位姿勢をどの程度(時間)保持することができるのか

「1」の場合は、検査する立位保持時間を定めておき(ex:20 秒間)、その時間以上立位を保持できれば「可」 、できなければ「不可」と評定します。

立位保持時の安定性を観察して「安定(2 点)、不安定(1 点)、不可(0 点)」と評定することもできます。

「2」の場合は、1 つの検査足位での立位保持時間の上限(例:40 秒)を決めて、保持時間を測定します。

立位保持時間を区分(10 秒未満:0 点、10 秒以上 20 秒未満:1 点、20 秒以上 40 秒未満:2 点、40 秒以上:3 点)して評定することもできます。

カットオフ値

立位保持には開脚位、閉脚位、継ぎ足位、上肢で支持する場合とさまざまなパターンがあるが、20 秒間の立位保持の可不可と歩行能力との関連性を示した報告がある

立位保持能力と歩行能力とは関連性があり、屋内歩行自立には閉脚位での立位保持能力が、屋外方向自立には継ぎ足位での立位保持能力が必要であることが報告されている

出典:望月久.バランス能力測定法としての直立検査.理学療法―臨床・研究・教育.15,p2–8,2008.

片足立ち検査

立位姿勢から左右どちらかの片足をあげて片足で立位を保持するテストになります。可能であれば左右それぞれの片足立ちを評価します。

評価方法

バランスを崩し転倒する危険性のある検査になるため、滑らない床で周囲の環境に注意する必要があります。実施前に被測定者に以下の事項を説明します。

  • 片足でできるだけ長く立つテストであること
  • 両手は腰に当てて離さないようにする
  • 片足立ちの姿勢は支持脚の膝を伸ばし、もう一方の足を前方に挙げ、挙げた足は支持脚に触れないようにする
  • テスト終了の条件は以下の通り
    • 挙げた足が支持脚や床に触れた場合
    • 支持脚の位置がずれた場合
    • 腰に当てた両手、もしくは片手が腰から離れた場合

テストは最大 2 回実施し、良い方の時間を記録します。長くできる場合には最長 120 秒で打ち切りとします。1 回目の結果が 120 秒の場合には 2 回目は実施しなくて可とします。

カットオフ値

片足立ちのカットオフ値については、情報先によってさまざまであります。以下のような報告がなされています。

5 秒以内の者は転倒ハイリスク者とされている

出典:理学療法ガイドライン(13.身体的虚弱)

片脚立位時間が開眼で 30 秒以下、閉眼で 10 秒以下を異常とする

出典:日本平衡神経学会

閉眼片脚立位では「5 秒以下」、開眼片脚立位では「20 秒以下」で転倒リスクが高まる

出典:村永信吾,平野清孝,田代尚範.高齢者の運動機能(健康増進)と理学療法.PTジャーナル.43 (10),p861-868,2009.

開眼片脚起立時:15 秒未満

出典:運動器不安定症の診断基準(
日本整形外科学会)

マン試験(Mann検査)

両足を前後一直線上に揃えて、両足に体重を均等に荷重して身体動揺を確認するテストになります。

別名で継足ロンベルク試験と呼ばれることがあります。

評価方法

両足を前後の一直線上に揃えて、足尖と踵を接して体重を両足に均等に荷重して直立します。

両上肢は体側に軽くつけ、頭位を正しく保ち正面を見るようにします。

テストは開眼、閉眼それぞれで実施します。実施時間は 30 秒間ずつ行い、前後におく足の交換も行います。

カットオフ値

開眼、閉眼時ともに 30 秒以内の場合に転倒傾向となる。

ロンベルク試験

ロンベルク(Romberg)試験は両足を揃えて立位保持を行い、開眼・閉眼のそれぞれにて直立姿勢を保持できるかどうかを観察する検査になります。

評価方法

両足の内側を密着させた立位(閉脚立位)を保持し、明らかな動揺がないことを確認します。閉脚立位で動揺が大きいのであれば、明らかな動揺がなくなるまで開脚します。

評価は開眼・閉眼それぞれにて 30 秒間行い、身体動揺の程度とバランスが崩れる方向を観察します。

前庭機能障害や下肢深部感覚障害では、開眼から閉眼になると動揺が増大し、これを Romberg 徴候陽性と表現します。また、小脳障害では開眼・閉眼ともに動揺を認めます。

閉眼閉脚でおこなうロンベルグ試験は、深部位置覚の異常を抽出する検査として臨床で広く用いられています。

カットオフ値

ロンベルク試験にカットオフ値は設定されておりません。

前庭機能障害では動揺は閉眼後に徐々に強くなります。片側の障害では,障害側に傾く傾向があります。閉眼により動揺の増加や転倒があればロンベルク徴候陽性となります。

小脳性運動失調では閉眼する前から動揺が大きいため、閉眼による動揺の増加は僅かとなります。この場合、ロンベルク徴候は陰性となります。

動的バランスについて

この記事では静的バランス評価について解説しましたが、動的バランスに対する理解を深めることも重要になります。

動的バランスの定義は以下の通りになります。

【動的バランス機能】

→ 身体重心の移動を伴う動作を達成する機能

静的バランス機能の測定法としてはロンベルグ試験、片足立ち、マン試験、足底部圧力中心(Center of Pressure:COP)の移動量を用いた評価方法などがあげられます。

一方、動的バランス機能の評価法としてはファンクショナルリーチテスト(FRT)、Timed Up and Go Test(TUG) 、Functional Balance Scale(FBS)、Performance Oriented Mobility Assessment(POMA)などがあげられます。

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!この記事では「静的バランスの評価方法」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

直立検査(静的バランス)は、立位姿勢を保持する能力を評価する検査法になります。評価の意義は 2 つに分かれます。

1 つ目は小脳障害や前庭機能障害による固有受容感覚異常の確認で、ロンベルグ試験やマン試験により開眼・閉眼時のパフォーマンスを比較します。2 つ目は疾患を限定せずに静的バランス低下を評価するもので、開脚・閉脚直立検査、片脚立位検査、継足立位検査などを用います。

主な評価方法として、直立検査では足幅と保持時間を測定し、片足立ち検査では最大 120 秒まで測定します。

カットオフ値は検査により異なり、片足立ちでは 5 秒以内で転倒ハイリスクとされます。ロンベルグ試験では閉眼時の動揺増加で Romberg 徴候陽性となり、深部感覚障害を示唆します。

これらの検査は臨床で簡便に実施でき、バランス能力の有用な測定法として活用されています。最後までお読みいただきありがとうございました。

参考文献

  1. 西守隆.バランスの評価.関西理学療法.3,p41-47,2003.
  2. 望月久.バランス能力測定法としての直立検査.理学療法―臨床・研究・教育.15,p2–8,2008.

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