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この記事は「MFES:Modified Falls Efficacy Scale」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。
近年、転倒に関する心理的影響として転倒恐怖感というものが注目されています。転倒恐怖感とは、「身体機能が残されているのにも関わらず移動や位置の変化を求める活動を避けようとする永続した恐れ」と定義されております。
転倒恐怖感は日常生活における活動制限や行動範囲の縮小を引き起こし、身体機能低下や生活の質の低下を招く厄介な心理的症状となります。
地域在住高齢者がたった1回の転倒を機に活動量低下を来たすことや、回復期にてリハビリテーションを実施してきた患者が自宅への退院後に転倒することへの恐怖心から閉じこもりになってしまうようなことは珍しいことではありません。
そのため、特に転倒歴を有しており転倒への不安を抱く対象者に対しては、転倒恐怖感を評価することが必要になります。転倒恐怖感の評価方法の1つとしてMFESが挙げられます。MFESについては細かな評価項目まで把握できていない方もいらっしゃると思います。そんな人のために、こちらの記事をまとめました!
こちらの記事を読むことで、MFES:Modified Falls Efficacy Scale における理解を深め、地域における介護予防や退院支援の一助になることを目標にします。是非、最後までご覧になってください!
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。
理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです
登録理学療法士
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
【リハビリテーション専門職の転職サイト】
医療従事者となる理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったリハビリテーション専門職は超高齢社会を突き進む本邦において必要不可欠な職種になります。
実際に近年では、理学療法士は 10,000 ~ 11,000 人程度、作業療法士は 4,000 ~ 5,000 人程度、言語聴覚士は 1,600 ~ 1,800 人程度、国家試験に合格しており、順調に有資格者数が増え続けています。
このように世の中から必要とされている反面、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の給与は他業界と比較して恵まれてるとはいえません。「賃金構造基本統計調査」から他業界と比較してみても2022 年度のリハビリテーション専門職の初任給平均額は 239,100 円となっており、満足できるものではありません。
また、給与の問題もありながら、リハビリテーション専門職は業界特有の激しい人間関係という荒波に揉まれながら業務にあたることになります。この人間関係で辛い思いをする人はかなり多いと考えられます。
このように、給与や人間関係、また福利厚生などを含めた恵まれた労働環境で働くためには転職が必要になることもあります。1 年目、すなわち始めての職場が恵まれた環境であればいうことありませんが、必ずしもそう上手くはいきません。
最近では転職サイトにも様々な種類のものがあり、どの転職エージェントを選択するか迷うと思います。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士におすすめしたい転職サイトは、他の記事で詳しくまとめています!《【理学療法士転職サイトランキング】おすすめ5選|リハビリ職の転職》こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️
転倒の定義について
転倒の定義はいくつかありますが、Gibsonの転倒の定義をご紹介致します。
Gibsonによると転倒とは「他人による外力、意識消失、脳卒中などにより突然発症した麻痺、てんかん発作によることなく、不注意によって、人が同一平面あるいはより低い平面へ倒れること」と定義されています。
医療や介護において転倒は重要な問題となりますので、転倒歴の確認や転倒時の情報収集をすることがあります。しかし、転倒の判定については、人によって判断が異なる場合があることを念頭におく必要があります。
例えば、対象者によっては躓いたことを転倒に含めている場合も考えられます。また、血圧低下に伴う意識消失で倒れたことを転倒歴として扱う方もいると思いますが、Gibsonの定義でいえばそれらは転倒には当てはまりません。
高齢者の転倒場所と転倒要因
加齢により足腰が弱くなった高齢者にとって、増加するリスクとして「転倒」が挙げられます。地域在住高齢者の転倒場所を調査した過去の研究によると、転倒の多くは屋外ではなく屋内で発生しており、60%以上の転倒は自宅内で発生していると報告されています。
転倒の原因は内的要因と外的要因の2つに大別できます。
内的要因とは加齢による身体機能の低下や薬剤の副作用が挙げられます。外的要因とは環境面が課題の中心となり、手すりの有無・滑りやすい床面・カーペットの端のめくれた部位・躓きやすい段差などが挙げられます。
自宅内での転倒は高齢者に限って発生するわけではありませんが、高齢者の場合には骨折等の深刻な怪我に繋がる可能性が高くなります。
小さな段差に躓いたとしても、身体がそれに反応して身を守ることができれば大きな怪我には繋がりません。反対に身体機能が低下しても環境面がいわゆるバリアフリーな状態であれば安全に生活することができます。内的要因と外的要因のバランスを考慮しながら転倒対策を図ることが効果的と考えられます。
転倒恐怖感とは
一般的に寝たきりに繋がると言われる高齢者の重症度の高い骨折は大腿骨頸部骨折になります。大腿骨頸部骨折を受傷するとベッド上への長期臥床を余儀なくされるため、その間に全身の筋力が低下し、骨が整復した後にも寝たきり生活が継続される恐れがあります。
健康のために有害な大腿骨頸部骨折となりますが、時には幸運にも転倒しても骨折しないで済む場合もあります。
近年問題となっているのが、転倒して骨折せずに済んだ場合であっても、歩くことへの自信を喪失して鬱状態になったり、転倒への恐怖感を抱いて活動量が低下することになります。
外に出る自信がなくなり、家の中で閉じこもりのような生活になると活動量の減少だけではなく他者と関わる機会も減少していきます。このような生活を続けていくと結果的に身体機能は低下し、転倒リスクをさらに高くするという悪循環に陥ります。
このように高齢者の転倒は骨折などを引き起こす危険因子であり、運良く骨折を免れたとしても転倒したという心理的ショックにより活動制限・参加制約をもたらすものになります。
転倒恐怖感は身体活動量を低下させる要因にもなります。身体活動量については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【活動量計を用いた身体活動量の評価方法についての記事はこちらから】
MFES(Modified Falls Efficacy Scale)
MFES(Modified Falls Efficacy Scale)は、Hillらが作成した転倒に対する自己効力感から転倒恐怖心の程度を測定するための尺度になります。
基本的な日常生活活動(BADL)だけではなく、買い物などの手段的日常生活活動(IADL)を含めた14項目にて構成されています。
対象者には14項目の設問ごとに、0点(全く自信がない)から10点(完全に自信がある)より回答してもらい、合計点数が低いほど転倒恐怖感が強いことを意味します。
MFES 評価項目
14の各活動を転倒することなく、実施できる自信はどれくらいかを回答してもらいます。
- 風呂に入る
- 戸棚やタンス・物置の所まで行く
- 食事の準備(調理・配膳)をする
- 家の中の廊下や畳を歩き回る
- 布団に入る・布団から起き上がる
- 来客(玄関・ドア)や電話に応じる
- 椅子に腰掛ける・椅子から立ち上がる
- 衣服の着脱を行う
- 軽い家事を行う
- 軽い買い物を行う
- バスや電車を利用する
- 道路(横断歩道)を渡る
- 庭いじりをする、又は洗濯物を干す
- 玄関や勝手口の段差を越す
MFES 評価用紙
MFES(Modified Falls Efficacy Scale)の評価用紙をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺
MFES カットオフ値、結果の解釈
得点範囲は 0〜140 点となり、得点が低いほど転倒恐怖感が強いことを示します。
140 点満点を転倒恐怖感なし、139 点以下を転倒恐怖感ありと判断します。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「MFES(Modified Falls Efficacy Scale)」をキーワードに考えを述べさせていただきました。
こちらの記事が、地域における介護予防支援や退院支援に少しでもお力添えになれば幸いです!
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参考文献
- 村上泰子,柴喜崇,渡辺修一郎,大渕修一,稲葉康子.地域在住高齢者における転倒恐怖感に関連する因子.理学療法科学.23(3),2008,p413-418.
- 加藤真由美,加藤昭尚,泉キヨ子,平松知子,正源寺美穂.デイサービス利用高齢者の転倒予防 : 下肢筋力,日常生活および転倒恐怖感と転倒との関連.老年看護学.Vol.9,No.1,2004,p28-35.