
こんにちは!リハビリくんです!
こちらでは「ハリス-ベネディクトの式」をキーワードに記事を書いていきます!
皆様の勤務地では、患者様および利用者様の1日に摂取するエネルギー量はどのように設定されているでしょうか。恐らく医師や管理栄養士が中心となり、患者の全身状況に合わせたエネルギー摂取方法およびエネルギー摂取量を決定していると思います。エネルギー摂取量を決めるうえで1つの目安となる方法が、ハリスベネディクトの式の活用になります。
ハリスベネディクトの式は基礎エネルギー量の計算式であって、その人が生きていくために必要最低限のエネルギー数を算出することができます。しかし、ハリスベネディクトの式は計算式も少し複雑ですし、運用にあたっては課題もあることがわかっています。
- ハリスベネディクトの式とは?
- 基礎エネルギー消費量(BEE)の概要とハリスベネディクトの式を活用した計算方法
- 総エネルギー消費量(TEE)って何?
- 活動係数とストレス係数について知りたい!
- ハリスベネディクトを使用するにあたっての注意点について
ハリスベネディクトの式を活用する上で、様々な疑問を抱えることがあると思います!そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

【簡単に自己紹介】
30代の現役理学療法士になります。
理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。
現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。
臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。
そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。
現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。
主な取得資格は以下の通りです
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
ここ近年は新型コロナウイルスの影響もあり、外部の研修会などに参加する機会も減少していると思います。また、職場内での勉強会も規模が縮小している施設が多いのではないでしょうか?
このような状況ではありますが、医療職として知識のアップデートは必要不可欠ですよね。
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基礎代謝、基礎代謝量とは
まずはじめに、基礎エネルギー消費量(BEE)というワードよりも、基礎代謝量(BMR)というワードの方が馴染みがあると思いますが、基礎エネルギー消費量と基礎代謝量については同義となります。
基礎エネルギー消費量とは、生体が生命維持活動をするために最低限必要なエネルギーの量になります。具体的には、安静状態における呼吸や血液の循環、体内の生合成と分解、体温維持に要するエネルギーの量のことを指します。
また、基礎代謝におけるエネルギーの多くは筋肉で消費されます。そのため、筋肉の量が多くなるにしたがって基礎エネルギー消費量は高くなります。言いかえれば、体を動かす習慣やスポーツに取り組んで筋肉を維持していくことは、基礎代謝を維持することにもつながることになり、脂肪が付きにくい体質を作ることになるといえます。
基礎代謝の計算方法
基礎代謝とは基礎エネルギー消費量のことであり、 basal energy expenditure::BEEのことを表します。基礎エネルギー消費量を算出する方法はいくつかありますが、最も有名なものが「Harris-Benedict」の公式を使用した算出方法になると考えられます。
計算の方法は性別によって異なりますので注意が必要です。
男性:66.47 + (13.75 × 体重) + (5 × 身長) – (6.76 × 年齢)
※体重:kg 身長:cm 年齢:歳
女性:665.1 + (9.56 × 体重) + (1.85 × 身長) – (4.67 × 年齢)
それでは、実際にHarris-Benedictの式を活用して、基礎エネルギー消費量を算出してます。
症例1:40歳男性 170cm 70kg
66.47+[13.75×70]+[5.0×170]-[6.75×40]=約1,609kcal
症例2:20歳男性 170cm 70kg
66.47+[13.75×70]+[5.0×170]-[6.75×20]=約1,744kcal
総エネルギー消費量(TEE)の求め方
Harris-Benedictの式からBEE(基礎エネルギー消費量)を求め 、これに活動係数とストレス係数を乗じてエネルギー投与量を決定する方法は、1979 年に Long らが発表したものになります。
総エネルギー消費量(TEE)の算出方法は以下の通りになります。
総エネルギー消費量 = 基礎エネルギー消費量(BEE) × 活動係数(AF)× ストレス係数(SF)
総エネルギー消費量は、基礎代謝量(約60%)、食事誘発性熱産生(約10%)、身体活動量(約30%)の3つで構成されています。
そのうち、基礎代謝量は体格に依存し、食事誘発性熱産生は食事摂取量に依存するため、個人内での変動はあまり大きくありません。総エネルギー消費量が多いか少ないかは、身体活動量および身体に及ぶストレスによって決まります。
活動係数(AF)について
- 寝たきり(意識障害、JCS2~3桁):1.0
- 寝たきり(覚醒、JCS1桁):1.1
- ベッド上安静:1.2
- ベッドサイドリハビリテーション:1.2~1.4
- ベッド外活動:1.3
- 機能訓練室でのリハビリテーション:1.3~2.0
- 軽労働:1.5
- 中~重労働:1.7~2.0
ストレス係数(SF)について
- 術後3日間:手術の侵襲度によって1.1~1.8
- 骨折:1.1~1.3
- 褥瘡:1.1~1.6
- 感染症:1.1~1.5
- 熱傷:深達度と面積によって1.2~2.0
Harris-Benedictの式の注意点
かねてから日本では、エネルギー必要量の推算式としてHarris-Benedictの式が広く用いられてきました。しかし、この式は欧米人のデータをベースにしているため、日本人に当てはめた場合には、エネルギー必要量が少し多めに算出されるとの指摘があります。
また、計算時に用いる活動係数とストレス係数に科学的根拠がないこと、各係数の数値の選択が計算を行う人の主観的要素が加わること、同じ体重でも筋肉量・脂肪量が異なる点を考慮していないことも課題になります。
そのあたりを考慮してエネルギーバランスの調整に望む必要があります。
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まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では「Harris-Benedictの式」をキーワードに考えを述べさせていただきました。
今回はエネルギー消費量についてHarris-Benedictの式を用いた算出方法を述べさせて頂きました。
エネルギー消費量についてですが、場合によっては、リハビリテーションで消費しているエネルギーとリハビリテーション以外で消費しているエネルギーを別々に考える必要があります。
リハビリテーションや運動により消費しているエネルギーを計算する方法にMetsという単位があります。Metsについては、他の記事で詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【運動強度を表す単位:METsについての記事はこちらから】
参考文献
- 田中茂穂.エネルギー消費量とその測定方法.静脈経腸栄養.Vol.24,No.5,2009,p5-11.
- 宮澤靖.各種病態におけるエネルギー、基質代謝の特徴と、 至適エネルギー投与量(高齢者および長期臥床患者).静脈経腸栄養.Vol.24 ,No.5,2009,p57-62.