【てんかん発作の症状と特徴】てんかん発作直後の対応方法を徹底解説

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リハビリくん
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こんにちは!リハビリくんです!こちらの記事では、てんかん発作の定義や症状、発作後の対応方法についてまとめています。

  

てんかん発作に対する筆者の昔のイメージになりますが、何となく痙攣してしまう病気という認識はありましたが、「てんかん」という言葉から症状の連想がいまいちできず「てんかん発作」という疾患のことがよくわかっていない時期がありました。

  

  • てんかん発作って何?
  • 発作が起きるとどのような症状が起きるの?
  • 目の前の患者様が突然てんかん発作を起こしたら、どのように対応すればいいの?

  

上述したような疑問を抱える人は、結構いらっしゃるのではないかと思います!

  

てんかん発作は医療や介護の現場ではいつ起きてもおかしくない病態になります。実際に筆者もベッドサイドでリハビリテーションを実施していたら、隣のベッドで寝ていた患者様が、突然てんかん発作を起こした経験があります。

  

この記事を読んだ後には、てんかん発作に対する理解が深まり、目の前でてんかん発作が発生しても迅速で正確な対応ができるようになります!是非最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

  

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てんかん発作とは

大脳の神経細胞は、規則的な電気活動によって情報を伝達し、脳全体の機能を調和させています。てんかんは、この電気的活動が突発的に崩れ、神経細胞の過剰興奮や過同期といった異常放電が生じることで発作が反復して起こる脳疾患です。

発作は一時的かつ可逆的であり、症状は意識障害やけいれん、感覚・行動の変化など多様に現れます。

てんかん発作の定義として、従来は世界保健機関(WHO)が示した概念的定義である「24 時間以上の間隔で生じた 2 回の非誘発発作」が広く用いられてきました。しかし、2014 年に国際抗てんかん連盟(ILAE)がより臨床実用性の高い新定義を提案し、現在は以下のいずれかを満たす場合にてんかんと診断されます。

  • 24 時間以上の間隔で 2 回以上の非誘発性(または反射性)発作が生じる
  • 1 回の非誘発性(または反射性)発作後、10 年間の発作再発リスクが一般的な再発リスク(2 回の発作後と同程度、約 60 % 以上)に達すると判断される
  • てんかん症候群と診断されている

この新定義の重要な特徴は、脳波異常や神経画像検査での異常所見、あるいは特定のてんかん症候群に該当する場合には、発作が 1 回のみでも「てんかん」と診断し得る点です。これにより早期診断・早期介入が可能となり、再発予防や生活の質の向上に寄与することが期待されています。

てんかん発作の分類

国際抗てんかん連盟(ILAE)は、てんかん発作を以下のように分類しています。

  1. 焦点発作(部分発作)

脳の一部で始まる発作で、症状は発生部位に依存します。意識が保たれる「意識保たれ発作」と、意識障害を伴う「意識減損発作」に分けられます。運動症状、感覚症状、自律神経症状、精神症状などがみられます。

  1. 全般発作

脳全体が同時に異常興奮する発作で、意識消失を伴います。代表的なものに以下があります。

  • 強直間代発作
  • ミオクロニー発作
  • 欠神発作
  • 脱力発作
  1. 分類不能発作

発症様式や症状から焦点性か全般性か判断できない場合に分類されます。

てんかん発作と痙攣の違い

てんかんは「大脳の神経細胞が過剰に興奮し、発作性の神経症状が反復して起こる慢性脳疾患」と定義されています。てんかん発作の症状は多様であり、けいれん(痙攣)だけでなく、意識障害や感覚・自律神経症状、行動変化なども含まれます。

一方、痙攣とは「自分の意思とは無関係に筋肉が持続的または断続的に収縮する現象」を指す運動症状の一つです。痙攣は原因によりさまざまな種類があり、てんかん発作の一症状として生じる場合もあれば、非てんかん性の痙攣も存在します。例えば、顔面けいれんやこむらがえり(有痛性筋痙攣)、代謝異常や薬物中毒による全身痙攣などが挙げられます。

そのため、臨床でけいれん発作を目撃した際に必ずしも「てんかん発作」と即断することはできません。診断には発作時の臨床症状、既往歴、脳波検査、神経画像所見などの総合的評価が不可欠です。両者の違いを理解することは、適切な鑑別診断と迅速な対応につながります。

てんかん発作と心原性失神の違い

てんかん発作と心原性失神は、臨床でしばしば鑑別が必要となる症候です。心原性失神は器質的心疾患や重度の不整脈など生命に直結する病態が背景にあることが多く、迅速な診断と治療が求められます。一方で、てんかん発作の診断においても、心原性失神を除外することは不可欠です。

  1. 発作中の特徴

失神の場合、通常は完全な意識消失と筋緊張低下が主体で、発声はみられません。一方、てんかん発作では意識障害中でもうめき声や叫び声などの発声がみられることがあります。また、てんかん発作では頭部の回旋や舌咬傷が比較的特徴的です。

  1. 痙攣の性状

Sheldon らの報告によれば、失神に伴う痙攣は全身性の短時間で不規則なミオクローヌスを呈し、典型的なてんかん発作にみられる持続的な強直や律動的けいれんは少ない傾向があります。失神に伴う痙攣は「ピクピク」と小刻みで速く、持続時間も短いのが特徴です。

  1. 回復過程

失神後は意識が速やかに回復し、混乱や著明な疲労感は少ないことが一般的です。これに対し、てんかん発作後は数分 ~ 数時間続く意識混濁や傾眠、強い倦怠感がみられることがあります。

これらの特徴を総合的に評価することで、現場でも鑑別の精度を高めることが可能です。特に、発作の持続時間、発作中の発声や姿勢変化、舌咬傷の有無、回復までの経過を観察することが重要です。

症状による病巣部位の予測

てんかんは、大脳神経細胞の異常な電気活動によって発作が生じる脳疾患です。異常放電が発生する部位によって症状は大きく異なり、その観察から病巣部位を推測することが可能です。

発作型と症状の違い

  • 【部分発作(焦点発作)】
     脳の限局した部位から異常放電が始まる発作です。発作部位に応じて、光がちらつく(視覚前兆)、手足のぴくつき(運動症状)、しびれや異常感覚など多彩な症状がみられます。意識が保たれる場合もあれば、応答がなくなり動作が停止する場合もあります。
  • 【全般発作】
     脳全体が同時に異常興奮する発作です。全身けいれん(強直間代発作)のほか、体の一部や全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作、突然の脱力発作、短時間の意識消失を伴う欠神発作などが含まれます。

病巣部位推測のポイント

発作時・発作直後の症状や行動から、異常放電の発生部位をある程度予測できます。例として以下が挙げられます。

  • 【頭位回旋】
     →回旋方向と反対側の前頭葉前運動野の関与が強く示唆されます。
  • 【間代運動】
     →対側の一次運動野が病巣である可能性が高い。
  • 【強直発作】
     →対側の補足運動野や前運動野の関与が疑われます。
  • 【発作直後の鼻を拭く動作】
     →同側の側頭葉発作が示唆されます。
  • 【発語や唾を吐く行動】
     →非優位半球発作の可能性があります。
  • 【発作後の記銘テスト】
     →「リンゴと覚えてください」と伝え、発作後に記憶できていれば、優位半球の言語記憶中枢は保たれていたと判断できます。

このように、発作中や発作後の観察は、右脳・左脳いずれの発症か、さらには脳内のどの領域が関与しているかを推定する上で極めて重要です。理学療法士を含む医療従事者は、診断支援の一助となるよう正確な観察記録を行うことが求められます。

てんかんの症状

てんかんは大脳神経細胞の突然の電気的乱れであるため、異常な電気活動を生ずる脳部位によって様々な症状が現れます。

例えば、脳の一部で起こった場合(部分発作)では、光がチカチカ見える、手がピクピク動くなど、患者さん自身が感じられる様々な症状を示すことがあります。

電気発射がさらに広がると、患者さん自身は発作の間、意識がなくなり周囲の状況がわからない状態となります。一点を凝視して動作が止まって応答がなくなるなどの目立たない症状が出現します。電気発射が脳全体に広がると、全身のけいれん発作になります。

脳全体が一気に興奮する発作(全般発作)では、体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、突然体の力が抜けバタンと倒れる脱力発作、ボーっとする欠神発作などの症状や、全身のけいれん発作が起きます。

てんかん発作発生時の初期対応

まず、てんかん発作の発生時には、誤嚥や窒息を防ぎ安全を確保することが最重要になります。

まず始めに、安全な姿勢を確保するために回復体位をとります。回復体位とは、側臥位にした状態で、患者の下になる腕を前に伸ばし、上になる腕を曲げ、その手の甲に患者の顔を乗せます。加えて、横向きに寝た姿勢を安定させるために、患者の上になる膝を約 90 度曲げ前方に出した姿勢になります。

回復体位をとる過程で吐物が口腔内に貯留しているのであれば気道確保のため、速やかに吐物を口から外に出します。

他には、怪我の予防も重要になります。発作中に、ベッド柵などでけがをしないように周囲にクッション性のあるものを配置したり、危険なものが周囲にある場合には取り除きます。

また、痙攣中に痙攣を止めようと考え、無理に押さえつけることがありますが、押さえつけると骨折などを起こすことがあるので危険になります。舌咬傷を防止するために、口に物を噛ませることも歯の損傷や窒息などの原因となり得るため控えたほうが良いと考えられます。

誤嚥や窒息の対処方法については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【誤嚥窒息の病態と対処方法についての記事はこちらから

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では、てんかん発作についてまとめさせて頂きました!

てんかん発作であっても、失神であっても、意識消失に関わる所見に関しては、迅速かつ適切な初期対応が重要になります。

一般的にはパニックになってしまうような症状になるとは思いますが、知識を有していることは、冷静な対応とその後の観察、情報収集および評価に繋がると思いますので、この記事がそういった対応の一助になれば幸いです。

意識障害については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【意識障害の評価方法:JCSとGCSについての記事はこちらから

参考文献

  1. 西田拓司.てんかん診療の現状と課題.精神雑誌.114巻,8号,2012年,p957-959.
  2. 田巻義孝,堀田千絵,宮地弘一郎,加藤美朗.てんかん分類とてんかん発作分類の変遷について.関西福祉科学大学紀要.第21号,2017,p1-25.

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