こんにちは!リハビリくんです!こちらの記事では、てんかん発作の定義や症状、発作後の対応方法についてまとめています。
てんかん発作に対する筆者の昔のイメージになりますが、何となく痙攣してしまう病気という認識はありましたが、「てんかん」という言葉から症状の連想がいまいちできず「てんかん発作」という疾患のことがよくわかっていない時期がありました。
- てんかん発作って何?
- 発作が起きるとどのような症状が起きるの?
- 目の前の患者様が突然てんかん発作を起こしたら、どのように対応すればいいの?
上述したような疑問を抱える人は、結構いらっしゃるのではないかと思います!
てんかん発作は医療や介護の現場ではいつ起きてもおかしくない病態になります。実際に筆者もベッドサイドでリハビリテーションを実施していたら、隣のベッドで寝ていた患者様が、突然てんかん発作を起こした経験があります。
この記事を読んだ後には、てんかん発作に対する理解が深まり、目の前でてんかん発作が発生しても迅速で正確な対応ができるようになります!是非最後までご覧になってください!
【簡単に自己紹介】
埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です
現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!
主な取得資格は以下の通りになります
脳卒中認定理学療法士
褥瘡 創傷ケア認定理学療法士
3学会合同呼吸療法認定士
福祉住環境コーディネーター2級
「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!
ここ近年はコロナ禍の影響もあり、外部の研修会などにも気軽に参加できなくなりましたよね。私の勤務先では、職場内での勉強会も規模が縮小していまいました。あらゆる方面で、以前と比較して自己研鑽する機会が減少してしまったように感じております。
そのような状況ではありますが、医療職として知識のアップデートは必要不可欠になります!
そこで、私自身も活用しており、大変役立っているのが下記の「リハノメ」です!
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てんかん発作と痙攣の違い
てんかんは「脳の慢性疾患で大脳の神経細胞が過剰に興奮し脳の発作性の症状が反復性に起こること」と定義されています。てんかんの主症状は、けいれん、意識障害、あるいはこれらの併存になります。
医療機関などで突然のけいれん発作に遭遇すると、てんかん発作と決めつけてしまうことがありますが、必ずしも痙攣とは限りません。痙攣とは自分の意志とは関係なく現れる筋肉の動きの1つであり、筋肉の収縮が続く状態と定義されています。
したがって痙攣には、てんかん性けいれん発作のほかに、顔面けいれん、こむらがえりの局所の筋けいれん、非てんかん性の全身けいれんなども含まれます。
てんかんの定義
大脳の神経細胞は、規則正しいリズムで調和を保ちながら電気的に活動しています。この活動が突然崩れ、激しい電気的な乱れ(過剰興奮・過同期)が生じることによって起こるのがてんかんになります。
てんかんについてですが、以前は世界保健機関(WHO)の概念的定義「24時間以上の間隔で生じた2回の非誘発発作」が一般的でした。しかし最近は国際抗てんかん連盟(ILAE)が2014年に発表した新しい実用的定義が用いられることが増えてきています。
どのように変わったのかというと、「24時間以上の間隔で生じた2回の非誘発発作」という定義から、「下記 1. 〜 3. のいずれかの状態と定義される脳疾患」という定義に変更されています。
- 24時間以上の間隔で2回以上の非誘発性(または反射性)発作が生じる
- 1回の非誘発性(または反射性)発作が生じ、その後10年間の発作再発率が2回の非誘発性発作後の一般的な再発リスクと同程度であると考えられる
- てんかん症候群と診断されている
※ 2. の再発リスクについては、「少なくとも60%以上」と記載されている文献がありますが、リスクの評価法については記載がありません。
こちらの新しい定義の特徴は、「神経疾患を有していたり、発作症状と関連し得る脳波異常や神経放射線学的検査異常を有する場合や、てんかん症候群に合致する場合には、発作が1回のみでもてんかんであり得るとする」というところになります。
心原性失神について
心原性の失神にどのようなものがあるのかについては以下の通りとなります。
不整脈による失神(アダムス・ストークス症候群)
徐脈性不整脈として、房室ブロックや洞機能不全症候群があります。また頻脈性不整脈として、心室細動・心室頻拍、ブルガタ症候群、QT延長症候群などがあります。
器質的心疾患
肥大型心筋症、大動脈弁狭窄、心房粘液腫、大動脈解離、心タンポナーゼ、心筋梗塞などの疾患によって失神を生じることがあります。これらは緊急処置を要します。
てんかん発作と心原性失神の鑑別
てんかん発作と心原性失神の鑑別は重要になります。てんかん発作による失神、心原性による失神は経験がないと区別がつきにくいところになりますが、器質的心疾患による失神であるのであれば一刻も早い対処が必要になりますし、てんかん発作の診断にも心原性失神を除外する必要があります。
失神しているであれば、イメージ通り発声することはありません。しかし、てんかんであれば発作中であっても発声することがあります。また、てんかんは頭位が回旋していたり、舌咬傷を生じている可能性があるため鑑別のポイントになります。
Sheldonらの研究によると、痙攣は、全身性の電撃性、不規則、不随意なミオクローヌスを呈する特徴があります。てんかんと比較すると持続時間は短く、強直発作を起こす頻度も少なくなります。
つまり、失神に伴う痙攣は、典型的なてんかんよりピクピクと細かく速く短い発作となります。失神に伴う痙攣であれば、発作後に意識が清明であり、疲労を訴えることや混乱していることも少ないと考えられます。これらの情報を頼りに、てんかんと失神を見分けられるようにしていきましょう。
てんかんの症状と病巣部位の予測
てんかんの症状
てんかんは大脳神経細胞の突然の電気的乱れであるため、異常な電気活動を生ずる脳部位によって様々な症状が現れます。
例えば、脳の一部で起こった場合(部分発作)では、光がチカチカ見える、手がピクピク動くなど、患者さん自身が感じられる様々な症状を示すことがあります。
電気発射がさらに広がると、患者さん自身は発作の間、意識がなくなり周囲の状況がわからない状態となります。一点を凝視して動作が止まって応答がなくなるなどの目立たない症状が出現します。電気発射が脳全体に広がると、全身のけいれん発作になります。
脳全体が一気に興奮する発作(全般発作)では、体の一部あるいは全体が一瞬ピクンと動くミオクロニー発作や、突然体の力が抜けバタンと倒れる脱力発作、ボーっとする欠神発作などの症状や、全身のけいれん発作が起きます。
病巣部位の予測
てんかん発作時の症状から、脳のどこの部位の神経細胞に電気的乱れが生じているのかを予測することができます。
例えば、頭位回旋を認めるのであれば100%、回旋側と反対側の脳に起因し、前運動野が過活動した前頭葉てんかんと判断することができます。
間代があれば高確率で対側の一次運動野、強直があれば高確率で対側補足運動野や前運動野が病巣部位と考えることができます。
他にも、発作直後に鼻を拭くのは同側側頭葉発作、発作中の発語や唾を吐くなどの症状は非優位側の発作が示唆されます。
発作中に声をかける際に「リンゴと覚えてください」と言っておき、発作後に答えることができたとすると、優位半球の言語記憶中枢は保たれていたと判断することができます。
このように、普段の状態や発作時・発作直後を観察することにより、右脳・左脳のどちらで発生したのか、また異常部位まで予測することが可能になります。
てんかん発作後の対応
発作直後の初期対応
まず、てんかん発作の発生時には、誤嚥や窒息を防ぎ安全を確保することが最重要になります。
まず始めに、安全な姿勢を確保するために回復体位をとります。回復体位とは、側臥位にした状態で、患者の下になる腕を前に伸ばし、上になる腕を曲げ、その手の甲に患者の顔を乗せます。加えて、横向きに寝た姿勢を安定させるために、患者の上になる膝を約90度曲げ前方に出した姿勢になります。
回復体位をとる過程で吐物が口腔内に貯留しているのであれば気道確保のため、速やかに吐物を口から外に出します。
他には、怪我の予防も重要になります。発作中に、ベッド柵などでけがをしないように周囲にクッション性のあるものを配置したり、危険なものが周囲にある場合には取り除きます。
また、痙攣中に痙攣を止めようと考え、無理に押さえつけることがありますが、押さえつけると骨折などを起こすことがあるので危険になります。舌咬傷を防止するために、口に物を噛ませることも歯の損傷や窒息などの原因となり得るため控えたほうが良いと考えられます。
誤嚥や窒息の対処方法については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【誤嚥窒息の病態と対処方法についての記事はこちらから】
薬物治療
てんかんの持続時間は症状の重さで異なりますが、一般的には30秒程度で収まることが多いと考えられます。
しかし、1〜2分経っても自然に低下せず、持続時間が長くなると薬物抵抗性となり、脳に損傷が起きることが判明しています。そのため、5分以上続くてんかん発作はてんかん重積状態と診断し、積極的な治療を始めるよう推奨されています。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます!
この記事では、てんかん発作についてまとめさせて頂きました!
てんかん発作であっても、失神であっても、意識消失に関わる所見に関しては、迅速かつ適切な初期対応が重要になります。
一般的にはパニックになってしまうような症状になるとは思いますが、知識を有していることは、冷静な対応とその後の観察、情報収集および評価に繋がると思いますので、この記事がそういった対応の一助になれば幸いです。
意識障害については、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【意識障害の評価方法:JCSとGCSについての記事はこちらから】
参考文献
- 西田拓司.てんかん診療の現状と課題.精神雑誌.114巻,8号,2012年,p957-959.
- 田巻義孝,堀田千絵,宮地弘一郎,加藤美朗.てんかん分類とてんかん発作分類の変遷について.関西福祉科学大学紀要.第21号,2017,p1-25.