【DSSとは?摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類】評価方法を解説

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摂食・嚥下
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リハビリくん
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いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

    

摂食・嚥下障害を正確に評価するには、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)を行うことが望ましいとされています。しかし、これらの検査には機器や設備が必要になるため、摂食・嚥下障害が疑われたとしても、すべての症例に対して嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)を行うことは難しいと考えられます。

  

この記事で解説する「摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)」は 7 段階の包括的な順序尺度であり、判定を行うことで重症度に応じて、どのような対応を行うべきなのかについての指標にもなります。

摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)の判定は嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)が実施できなくても判定することができます。

   

そのため、病院などの医療機関はもちろん、施設や在宅でも使用しやすいツールとなっています。

    

こちらの記事を読むことで、摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)についての理解が深まり、摂食・嚥下障害に対するリハビリテーションに貢献することができれば幸いです。是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

理学療法士としての主な取得資格は以下の通りです

登録理学療法士

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

【理学療法士の転職はマイナビコメディカル】

理学療法士は 2013 年頃より毎年 10,000 人程度が国家試験に合格し続けています。これは医療系の専門職の中では看護師に次ぐ有資格者の増加率となっており、1966 年にはじめての理学療法士が誕生した歴史の浅さを考えれば異例の勢いと言えます。

人数が増えることは組織力の強化として良い要素もありますが、厚生労働省からは 2019 年の時点で理学療法士の供給数は需要数を上回っていると報告されており、2040 年度には理学療法士の供給数は需要数の約 1.5 倍になると推測されています。このような背景もあり、理学療法士の給与、年収は一般職と比較して恵まれているとはいえず、多くの理学療法士の深刻な悩みに繋がっています。

しかし、給与や年収などは職場や企業に大きく左右されるものです。今、働いている環境よりも恵まれた、自分が納得できる労働環境は高い確率で身近にあります。100 歳まで生きるのが当たり前といわれる時代を豊かに生きるためには、福利厚生や退職金制度なども考慮して就職先を決定するべきです。しかし、理学療法士が増え続けていくことを考慮すると恵まれた労働環境も次第に少なくなっていくことが予想されます。だからこそ、今のうちに自分が理学療法士として働く上で納得できるような就職先を探すべきではないでしょうか?

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摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類とは

摂食・嚥下障害の重症度を表すものに、2001 年に才藤らによって提唱された摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類があります。

摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類は英語では Dysphagia severity scale となり、略称は DSS となります。

摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)は、誤嚥という症状を判定の軸にして、摂食・嚥下障害の重症度を 7 段階で示した指標になります。

重症度の定義と解説に加え、対応方法と直接訓練の可否が示されており、治療の指針となる指標になります。

DSS 評価方法

DSS は摂食・嚥下障害の重症度を DSS1から DSS 7までの 7段階に分類し、DSS1が最重症、DSS 7が正常範囲となります。

誤嚥の有無が評価の軸になっているため、臨床的に誤嚥のあるものは DSS 1 ~ 4、誤嚥のないものは DSS 5 ~ 7 に位置付けられます。

重症度と定義(解説)は以下のように分類されています。

  1. 正常範囲:臨床的に問題なし(治療の必要がない)
  2. 軽度問題:主観的問題を含め何らかの軽度の問題がある(主訴を含め、臨床的に何らかの原因によって摂食・嚥下に困難を伴う)
  3. 口腔問題:誤嚥はないが、主として口腔期障害により摂食に問題がある(先行期・準備期も含め、口腔期中心に問題があり脱水や低栄養の危険を有する)
  4. 機会誤嚥:時々誤嚥する、もしくは咽頭残留が著明で臨床上誤嚥が疑われる(通常の VF において咽頭残留著明、もしくは時に誤嚥を認める。食事場面での誤嚥が疑われる)
  5. 水分誤嚥:水分は誤嚥するが、工夫した食物は誤嚥しない(水分で誤嚥を認め、誤嚥や咽頭残留防止手段の効果は不十分であるが、調整食など食物形態効果を十分認める)
  6. 食物誤嚥:あらゆるものを誤嚥し嚥下できないが、呼吸状態は安定している(水分、半固形、固形食で誤嚥を認め、食物形態効果が不十分である)
  7. 唾液誤嚥:唾液を含め全てのものを誤嚥するため呼吸状態が不良である、あるいは嚥下反射が全く惹起されず呼吸状態が不良である(常に唾液も誤嚥していると考えられる状態であり、医学的な安定を保つことができない)

DSS 経管栄養の適応

摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)は、経管栄養の適応についての指標にもなります。

  1. 正常範囲:経管栄養は不要である
  2. 軽度問題:経管栄養は不要である
  3. 口腔問題:基本的に経管栄養は不要であるが、食欲不振や医学的要因により経口による栄養摂取量が少ない場合には経管栄養の併用が必要になることもある
  4. 機会誤嚥:「5.口腔問題」と同様に経口摂取と経管栄養の併用が必要になることがある
  5. 水分誤嚥:DSS 3 以下は胃瘻が検討されるレベルとなり、経管栄養が必要となる
  6. 食物誤嚥:経管栄養による栄養管理が基本となる
  7. 唾液誤嚥:経口摂取は困難であり、生命維持のためには、経管栄養が必要になる

DSS 摂食・嚥下訓練の適応

摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)は、摂食・嚥下訓練の適応についての指標にもなります。

直接訓練についてはリスク管理の観点から訓練を行う環境を定めて実施する必要があります。

間接訓練については環境を問わず実施することが可能であり、DSS 6 以下の全てのレベルで適応となります。

  1. 正常範囲:直接訓練、間接訓練のどちらも必要ない
  2. 軽度問題:主観的問題を含め何らかの軽度の問題があるため、その問題に合わせた直接的訓練が必要になることがある
  3. 口腔問題:主として口腔期障害により摂食に問題があるため、直接訓練の適応となる(直接訓練は一般病院や在宅で可能)
  4. 機会誤嚥:誤嚥することがあり直接訓練の適応となる。この DSS 4 以下では間欠的経管栄養法を併用している可能性がある(直接訓練は一般病院や在宅で可能)
  5. 水分誤嚥:水分で誤嚥することがあり直接訓練の適応となる(直接訓練は一般病院や在宅で可能)
  6. 食物誤嚥:経口摂取は困難なレベルとなる。直接訓練の適応はあるが、直接訓練を実施するのであれば、嚥下造影検査や嚥下内視鏡検査の設備があり、なおかつ言語聴覚士が在籍している必要がある
  7. 唾液誤嚥:医学的安定を目指した対応法が 基本となり、持続的な経管栄養法を要する(直接的訓練の適応外である)

DSS 食形態の選定

摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)は、食形態の選定についての指標にもなります。

  1. 正常範囲:常食
  2. 軽度問題:軟飯、軟菜食など柔らかめの食形態が必要になることが多い
  3. 口腔問題:軟飯、軟菜食、ペースト食など柔らかめの食形態が必要になることが多い。咀嚼の必要性が高くなく、咽頭への送り込みが楽である食事が考慮される
  4. 機会誤嚥:柔らかめの食形態、必要に応じて水分に増粘剤を使用する
  5. 水分誤嚥:水分に増粘剤が必須となる
  6. 食物誤嚥:経管栄養が基本となる
  7. 唾液誤嚥:経管栄養となる

DSS 使用上の注意点

摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)は摂食・嚥下障害の重症度を 7 段階に段階づけするだけではなく、重症度の定義と解説に加え、対応方法と直接訓練の可否、推奨される食形態が示されています。

臨床でも活用できる有用な指標になりますが、判断材料の軸としてるのは誤嚥の有無ということには注意が必要となります。

例えば食事形態については、誤嚥の有無だけでなく咀嚼や食塊形成などの能力なども踏まえて検討する必要があります。

摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類により DSS 5、DSS 6 のように判定したとしても、咀嚼能力や食塊形成能力、認知機能などの違いによって食事形態は変化させる必要があり、この選択には検査者の経験と主観が大きく影響します。

DSS 以外の摂食嚥下機能の判定方法

DSS 以外にも摂食嚥下機能を段階づけて判定する方法はございます。

「摂食嚥下能力グレード」と「摂食嚥下状況のレベル」の 2 つについて紹介します。

摂食嚥下能力グレード

摂食嚥下能力グレードは摂食嚥下の「できる能力」を判定する指標となります。ADL 評価方法でいえば、Barthel Index(バーセルインデックス)のように、「できる能力」を判定します。

摂食嚥下能力グレードは 10 段階の順序尺度であり、グレード1が最重症、10 が正常となります。評価方法および判定方法は以下のようになります。

  1. 基礎的嚥下訓練だけの適応あり
  2. 嚥下困難または不能、嚥下訓練適応なし
  3. 条件が整えば誤嚥は減り、摂食訓練が可能
  4. 楽しみとしての摂食は可能
  5. 一部(1 ~ 2 食)経口摂取
  6. 3 食経口摂取 + 補助栄養
  7. 嚥下食で 3 食とも経口摂取
  8. 特別に嚥下しにくい食品を除き 3 食経口摂取
  9. 常食の経口摂取可能、臨床的観察と指導要する
  10. 正常の摂食嚥下能力

以上のように 10 段階で判定することができる一方、下記のようにグレードにより重症度が一目で判断できるような指標になります。

  • グレード 1 ~ 3 :I 重症(経口不可)
  • グレード 4 ~ 6 :II 中等症(経口と補助栄養)
  • グレード 7 ~ 9 :III 軽症(経口のみ)
  • グレード 10   :IV 正常

摂食嚥下能力グレードの判定により、摂食介助が必要なときは数字の右側に A(assist の略)をつける(ex:8A)とされています。

摂食嚥下状況のレベル

摂食嚥下状況のレベルは摂食嚥下の「している能力」を判定する指標となります。ADL 評価方法でいえば、FIM(機能的自立度評価法)のように、「している能力」を判定します。

摂食嚥下状況のレベルは 10 段階の順序尺度であり、レベル1が最重症、 レベル 10 が正常になります。評価方法および判定方法は以下のようになります。

  1. 嚥下訓練を行っていない
  2. 食物を用いない嚥下訓練を行っている
  3. ごく少量の食物を用いた嚥下訓練を行っている
  4. 1 食分未満(お楽しみレベル)の嚥下食を経口摂取しているが代替栄養が主体となる
  5. 1 ~ 2 食の嚥下食を経口摂取しているが、代替栄養も行っている
  6. 3 食の嚥下食を経口摂取することが基本であり、不足分の代替栄養を行っている
  7. 3 食の嚥下食を経口摂取している。代替栄養は行っていない
  8. 特別に食べにくいものを除いて、3 食を経口摂取している
  9. 食物の制限はなく、3 食経口摂取している
  10. 摂食・嚥下障害に関する問題なし(正常)

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)」をキーワードに解説させて頂きました。

こちらの記事が、摂食・嚥下障害の臨床的重症度分類(DSS)についての理解を深めることに繋がり、臨床における摂食・嚥下障害に対するリハビリテーションにご活用いただければ幸いです。

参考文献

  1. 西村和子,加賀谷斉,柴田斉子,小野木啓子,稲本陽子,太田喜久夫,三鬼達人,田村茂,才藤栄一.嚥下内視鏡検査を用いない摂食嚥下障害臨床的重症度分類判定の正確性.Jpn J Compr Rehabil Sci.Vol 6,2015.
  2. 柴田斉子,戸田芙美,小野木啓子,稲本陽子,太田喜久夫,加賀谷斉,才藤栄一.機能評価と食事形態の選択.Jpn J Rehabil Med.2013,50,p900-904.
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