高次脳機能評価ハブ|USN・注意・遂行機能を迷わず探す
高次脳機能の評価は、検査を増やすほど良いわけではありません。まずはUSN・注意・遂行機能・失行・アパシーのどれが主役かを当て、ADL のズレとして所見化することが重要です。
このハブでは、ベッドサイドで当たりをつける → ADL で工程のズレを書く → 同条件で再評価する流れで、必要な記事へ最短で進めるように整理します。評価全体は 評価ハブ、脳卒中全体は 脳卒中ハブ も確認してください。
このハブの使い方
最初にやるのは、検査名を選ぶことではなく主役の当たりをつけることです。ベッドサイドで短時間に拾い、ADL でどの工程がズレるかを確認してから、必要時だけ標準化検査へ進みます。
- ベッドサイドで USN・注意・遂行機能・失行・アパシーの当たりをつける
- ADL 場面で、どの工程でズレたかを観察する
- 同じ条件で再評価し、変化を記録する
領域別リンク集
迷ったら、親記事から読み、必要な各論へ進んでください。
| 領域 | まず読む | 代表小記事 | 記録・運用に直結 |
|---|---|---|---|
| USN | USN 評価フロー | 抹消課題 / 線分二等分 / DSS | CBS |
| 注意 | 高次脳の OT 評価 | 逸脱・中断・疲労で崩れる条件を所見化 | 意識評価ハブ / CAM-ICU |
| 遂行機能 | 工程のズレとして言語化 | 更衣・整容・服薬などで工程の抜けを確認 | OT 評価ハブ |
| 失行 | 失行の見立て | 模倣・道具使用・系列動作を誤り方で記録 | OT 初期評価チェックリスト |
| アパシー | 意欲評価の使い分け | やる気スコア / Vitality Index / PRPS | BPSD 評価の進め方 |
ベッドサイド 5 分フロー
ベッドサイドでは、詳細評価よりも見落としやすい 5 つを短時間で拾います。ここで得た当たりを、ADL 観察で深掘りします。
| 領域 | まず見るサイン | よくある見落とし | 次の一手 |
|---|---|---|---|
| USN | 視線・探索の偏り、衝突、食事の偏り | 机上テストは OK でも ADL で出る | CBS で ADL を観察 |
| 注意 | 指示が入りにくい、逸脱、中断が多い | 眠気・せん妄・疲労と混ざる | 覚醒の前提を揃える |
| 遂行機能 | 段取りの崩れ、自己修正の乏しさ | できない理由が工程で書けない | 更衣・整容で工程を分解 |
| 失行 | 道具操作の誤り、模倣困難 | 麻痺や失語の影響と混同 | 模倣・道具使用で切り分け |
| アパシー | 開始が遅い、促し待ち、自発性が弱い | 抑うつと混同する | やる気スコアで共有 |
ADL 観察|工程のズレとして書く
高次脳は、机上検査の成績だけでなく、生活場面での困りごととして把握することが重要です。「できない」で終わらせず、どの工程でズレたかを書きます。
| 困りごと | ズレやすい工程 | 関与しやすい領域 | 記録の一言例 |
|---|---|---|---|
| 食事で左側を残す | 探索・注意配分 | USN/注意 | 左側探索が乏しい。声かけで改善あり。 |
| 更衣で順番が崩れる | 段取り・自己修正 | 遂行機能 | 工程の飛ばしあり。修正の自発性は乏しい。 |
| 歯磨きで道具操作が不自然 | 道具使用・模倣 | 失行 | 手順理解は保たれるが、道具操作で誤りが出る。 |
| 促しがないと開始できない | 開始・動機づけ | アパシー | 開始は遅いが、開始後は一定の遂行が可能。 |
再評価|条件をそろえて比較する
高次脳機能は日内変動や環境の影響を受けやすいため、再評価では頻度よりも条件の統一が重要です。時間帯・環境・声かけ・課題をそろえると、変化を読み取りやすくなります。
| 項目 | そろえる理由 | 運用例 | 記録メモ例 |
|---|---|---|---|
| 時間帯 | 覚醒・疲労で成績が変わる | 午前の同じ枠で実施 | 10 時台、食後 30 分 |
| 環境 | 刺激量で注意がブレる | 静かな場所、同席人数を固定 | 病室/1 対 1 |
| 声かけ | 介入量で結果が変わる | 声かけルールを統一 | 開始合図のみ |
| 課題 | 課題差で比較できない | 同じ課題で比較 | 上衣更衣:袖通しまで |
現場の詰まりどころ
高次脳評価は、気になるたびに検査を追加すると、運用が複雑になります。まずは、拾う領域と ADL 観察の書き方、再評価条件をそろえることが重要です。
| 詰まり | NG | こう直す | 記録の型 |
|---|---|---|---|
| スクリーニングが統一されない | 担当者ごとに検査が違う | 5 領域の拾い方を固定 | 主役+根拠 1 行 |
| ADL 観察が抽象的 | 注意低下・遂行不良で終わる | 困り → 工程 → 関与領域で分解 | 工程+介入反応 |
| 再評価条件が揃わない | 変化の理由が分からない | 時間帯・環境・声かけ・課題を固定 | 条件セットを 1 行で残す |
| 机上と生活の乖離を見落とす | 机上 OK で安心する | 机上+ADL 観察で拾い直す | 危険場面で所見化 |
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よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 最初に何をやればいいですか?
最初は検査選定よりも、ベッドサイドで USN・注意・遂行機能・失行・アパシーのどれが主役かを当てにいきます。その後、ADL 観察でどの工程がズレるかを所見化します。
Q2. USN は机上テストで陰性でも疑うべきですか?
はい。机上では目立たなくても、食事・移動・更衣などの ADL で探索や注意配分の偏りが出ることがあります。ADL 観察と同条件での再評価が重要です。
Q3. 注意障害と眠気・せん妄・疲労の区別が難しいです。
まずは覚醒、時間帯、環境、疼痛、呼吸苦などの評価成立条件をそろえます。前提が崩れていると、注意障害として見えてしまうことがあります。
Q4. 抑うつとアパシーの区別が難しいです。
まずは「開始が遅い」「促し待ち」「自発性が弱い」など、観察できる行動で記録します。必要に応じて、やる気スコア、Vitality Index、PRPS などを使い分けます。
Q5. 再評価の頻度はどのくらいがよいですか?
頻度よりも、時間帯・環境・声かけ・課題をそろえることが重要です。条件がそろえば、少ない回数でも変化を読み取りやすくなります。
次の一手
まずは高次脳評価の総論で順番を固定し、必要に応じて USN・意識・OT 評価へ進んでください。
参考文献
- 本記事は当ブログ内の関連ページを整理した索引です。
著者情報

rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


