【しているADLとは:FIM】評価項目とADLの意味、医療で活躍

評価法
リハビリくん
リハビリくん

こんにちは!リハビリくんです!

  

この記事では、FIM(機能的自立度評価表)について解説させて頂きます!

   

早速ですが、FIMの採点って凄く難しくないですか?今でこそ学習した成果で正確に採点できるようになりましたが、初めのうちは難しくて、参考書やインターネットで時間をかけて調べながら採点していました。

   

FIMは、世界的に使用されており、ADL能力を項目ごとに7段階で精密に採点できるため優秀な評価法となります。

   

令和4年度の診療報酬改定では、維持期リハビリ(標準算定日数を超えた疾患別リハビリテーション)には、月1回以上のFIMが要件化されました。また、従来のリハビリ計画書はBI(バーセルインデックス)でも良かったのですが、現在はFIMのみに限定されています。ここ数年の制度の流れとしても国がFIMを推していることがよくわかります。

  

そこで今回こちらの記事でFIMが正確に評価できるようにまとめていきたいと思います!

リハビリくん
リハビリくん

【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!

  

ここ近年はコロナ禍の影響もあり、外部の研修会などにも気軽に参加できなくなりましたよね。私の勤務先では、職場内での勉強会も規模が縮小していまいました。あらゆる方面で、以前と比較して自己研鑽する機会が減少してしまったように感じております。

そのような状況ではありますが、医療職として知識のアップデートは必要不可欠になります!

そこで、私自身も活用しており、大変役立っているのが下記の「リハノメ」です!

      ↓↓↓

介護予防においてADLは重要なキーワード

高齢化社会に突入している日本では、高齢者が要介護状態となることの予防、介護状態の悪化の予防を図る取り組み=介護予防の重要性が強調されるようになっています。

介護予防を図るためには生活機能を高めることが必要とされており、身体や精神の機能である「心身機能」、日常生活動作や家事、屋外歩行などの「活動」、生きがいや仕事などの「参加」の3つの要素にバランスよく働きかけることが重要になります。

ADLとは、ADLの意味について

日常生活動作(ADL)とはActivities of Daily Livingのことで、ADLのAはアクティビティー(動作)、DLはデイリーリビング(日常生活)を指します。日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作のことであり、具体的には「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」動作を示します。

高齢者や障害者の方の身体能力や日常生活レベルを図るための重要な指標として用いられており、リハビリテーションの現場や介護保険制度ではひとつひとつのADL動作を「できる・できない」「どのような介助が必要か、介助量はどの程度か」「できるADL・しているADL」などの項目で評価します。

ADLの種類

日常生活動作(ADL)には、基本的日常生活動作(basic ADL=BADL)と手段的日常生活動作(instrumental ADL=IADL)に分類されます。

基本的日常生活動作(BADL)

基本的日常生活動作(BADL)とは、一般的に日常生活動作(ADL)のことを指し、日常生活における基本的な「起居動作・移乗・移動・食事・更衣・排泄・入浴・整容」動作のことを指します。

手段的日常生活動作(IADL)

手段的日常生活動作(IADL)は、基本的日常生活動作(BADL)の次の段階を指します。「掃除・料理・洗濯・買い物などの家事や交通機関の利用、電話対応などのコミュニケーション、スケジュール調整、服薬管理、金銭管理、趣味」などの複雑な日常生活動作のことを指します。

BADLやIADL評価においては、様々な評価法があります。このテーマについては、他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【ADL評価法はどれを使えばいい?についての記事はこちらから

BADLの評価方法

  • Barthel Index(バーセルインデックス)
  • Katz Index(カッツインデックス)
  • DASC-21(ダスク21)
  • FIM(機能的自立度評価表)

この4種類の評価を抑えておけば間違いないと思います。

FIM(機能的自立度評価表)について

評価法の歴史

FIMとは、「Functional Independence Measure」の略語で、1983年にGrangerらによって開発されたADL評価法になります。FIMを日本語でいうと「機能的自立度評価法」といいます。

FIMの目的

FIM(Functional Independence Measure)は、介護者の負担度を評価することに優れた方法で、信頼性と妥当性が高い検査になります。

負担度をみることが目的のため、「できるADL」ではなく「しているADL」を評価することが必要となります。

FIMの特徴

  • ADLをどの程度自分で行っていて、どのくらい介助に手がかかるのかを簡単に評価するツールです。
  • 自宅や病棟などでの「しているADL」を、18項目各7点満点で合計18〜126点で評価します。
  • 実際の動作に関する13の項目(運動項目)に加え、認知面を評価する5つの項目(認知項目)が含まれます。
  • 評価の対象になる病気や障害は選びませんが、7歳以上が対象となります。
  • 医療従事者以外でも、評価することが可能です。

FIMの採点基準

  1. 介助者が必要かどうかを知る
  2. 介助量(手助け)がどの程度必要なのかを知る
  3. 運動項目の5点は「監視・助言」、認知項目の5点は「10%未満の介助」

この3つのポイントを理解した上で、それぞれの項目を1点~7点で評価していきます。

評価用紙

FIM(機能的自立度評価表)の評価表をダウンロードできるようにしておきました!

評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

評価項目

セルフケア

①食事

FIMにおける食事の評価範囲は、食事が適切に用意された状態で、「適切な食器・道具を使って」「食べ物を口に運ぶ動作」「咀嚼し嚥下する」の3つの工程を評価していきます。

採点に配膳や下膳は含まず、箸を使わなくても減点にはなりません(スプーンやフォークでOK)

調理場でやわらかな食形態にすることは、嚥下に関する食形態の配慮ですので、6点になります。もし、嚥下しやすいように加工するのが食事場面であれば、介助者が準備をしたことになり、5点になります。

食事の準備には、エプロンをかける、調味料をかける、その場で食べ物を切り分ける、食べこぼしの後始末などが含まれます。

4点〜1点を評価する場合は、①食器・道具の使用、②口に運ぶ、③飲み込むの3つの工程をそれぞれ「33%」と判断し、3項目の合計パーセンテージで介助量(○%)を評価し採点します。

食事を口に運ぶことと、嚥下することは同等の重み付けではなく、口に運ぶことの方が重要になります。咀嚼や嚥下は可能だが、食べ物を口に運ぶことは全くしないのであれば1点になります。

②整容

整容の評価は、①口腔ケア、②整髪、③手洗い、④洗顔、⑤髭剃りまたは化粧の5つの項目を評価していきます。

整容は、あくまで上記の5つの項目で評価します。爪切りや着替え、清拭、入浴などの項目は整容に含めないように注意しましょう。

5つの項目をそれぞれ「20%」と判断し、5項目の合計パーセンテージで介助量(○%)を評価し採点します。

例えば3項目が自立していて、残りの2項目は全く実施できていない場合、60%を実施しているので3点となります。

髭剃りと化粧が必要ない場合は、その他の4項目で評価することになるため、1項目あたりのパーセンテージが25%となります。

整容の範囲は広いため、①口腔ケア、②整髪、③手洗い、④洗顔、⑤髭剃り・化粧の5つの要素に限定して採点を行います。

③清拭

身体を洗い、すすいで、拭いて乾かすところまでを採点します。

採点範囲は下記10項目となり、頭と背中は採点から除外します。

シャワーの温度調節が必要であれば、準備にあたるため5点となります。

洗うことに対する採点の重み付けは、すすぐこと、拭いて乾かすことよりも重視されます。

④更衣 上半身

腰より上の更衣および義肢装具の装着を評価する。服をタンスに出し入れする動作も採点に含まれる。

入浴前後の着脱に関しては、特殊な状況での更衣と考えて採点対象外とします。しかし、入浴前後しか着替えない場合は、入浴前後の更衣を採点します。医療機関によっては、週に1~2回の入浴の時しか着替えない場合もあるため、そのような場合は入浴前後の更衣を採点します。

採点の際は、①かぶる、②片袖を通す、③もう一方の手を通す、④衣服をひきおろす、という4つの動作に分けると整理しやすいと思います。

4つの項目をそれぞれ「25%」と判断し、4項目の合計パーセンテージで介助量(○%)を評価し採点します。例えば①~③が自立していて、④で半分介助してもらう必要があるとしたら、25%×3+12.5%=87.5%を実施しているので4点となります。

⑤更衣 下半身

基本的な考え方は上半身と同様になります。

採点の際は、①ズボン、②パンツ、③靴下、④靴の4つの動作に分けると整理しやすいと思います。

⑥トイレ動作

衣服の着脱、排泄後の清潔、生理用具の使用を評価します。

採点の際は、①ズボンなどを下げる、②ズボンなどを上げる、③お尻などを拭く、といった3つの動作に分け、3つの工程をそれぞれ「33%」と判断し、3項目の合計パーセンテージで介助量(○%)を評価し採点します。

拭くための紙を渡してもらうことは、準備にあたるため、5点となります。水を流す動作は採点から除外します。

排尿と排便で差があるときは、低い方の点をつけます。日中と比較し、夜間は介助量が増える場合、夜間の能力で採点をします。

排泄コントロール

⑦排尿管理

排尿コントロール、器具や薬剤の使用を含ぶ部分まで評価します。

排尿に関しては、失敗(失禁)する頻度と介助量の両方を採点し、低い方の点数をつけます。

自己導尿している場合、尿捨ては評価に含みません。

失敗とは衣服やシーツなどを汚してしまうことです。尿や便が意図せずに出てしまう失禁は採点対象ではありません。おむつに失禁をしても、そのおむつの処理を自分で行っていれば失敗ではありません。

⑧排便管理

排便コントロール、器具や薬剤の使用を含ぶ部分まで評価します。

排便に関しては、失敗(失禁)する頻度と介助量の両方を採点し、低い方の点数をつける。

考え方は排尿コントロールと同様になります。

移乗

⑨ベッド・椅子・車椅子

臥位から起きあがって座位になり、立ち上がり、椅子または車椅子に移る動作全体を採点します。
主な採点対象(重み付けが強い部分)は乗り移りの部分になります。そのため、起き上がりの比重は少なくなります。

移乗は往復を採点します。往復で点数が違う場合には、低い方の点数をとります。

移乗についても4点~1点については、介助量をパーセンテージで考えて採点しますが、パーセンテージで表すのは難しいと思います。そのため、下記のような考え方で採点すると良いかと思います。

⑩トイレ

便器に移ることおよび便器から離れる動作を採点します。トイレに近づくまでのことは移動であって、移乗の採点には含まれません。

⑪浴槽・シャワー

浴槽の出入り、またはシャワー椅子への移乗が採点対象となります。浴槽をまたぐ動作の往復と、しゃがんで風呂に浸かる動作、立ち上がって風呂から上がる動作があります。

浴槽のそばまでの移動は採点対象外です。

移動

⑫歩行・車椅子

平地での移動を、歩行あるいは車椅子のどちらかで、主に行なっている方で評価します。

採点では介助量だけでなく移動距離も関係します。

まず50m移動しているのかどうかがポイントになります。

50m移動できる場合は、以下の基準にしたがって採点します。

50mは移動できないが、15mであれば移動できる場合は、以下の基準に従って採点します

⑬階段昇降

屋内の12〜14段の階段を昇降する動作を採点します。12〜14段は1フロアーの昇降に相当します。

人によっては、階段昇降を行う機会がないことがあります。その場合は、階段昇降をしているADLではなく、検査として行わせても問題ありません。しているADLではなく、できるADLをテストしていいのは、階段昇降だけになります。

12〜14段の階段がない場合は、数段の階段を反復して昇降するのを採点しても問題ありません。上りと下りで点数が異なれば、低い方の点数をとります。

採点方法は「歩行・車椅子」と似ています。歩行・車椅子での50mを階段の12〜14段に、15mを4〜6段に置き換えると考えやすいと思います。

12〜14段の階段昇降ができる場合には以下の基準から採点します。

12〜14段の階段昇降はできないが、4~6段の階段昇降であればできる場合には以下の基準から採点します。

コミュニケーション能力

⑭理解 ⑮表出

理解とは、聴覚あるいは視覚によるコミュニケーションの理解です。あくまで言葉の理解が対象であり、その後に物事を正しく判断するかどうかは含みません。

表出とは、はっきりとした音声、あるいは音声によらない言語表現になります。書字または会話増幅装置も含みます。自分が言おうとしたことを表出し、それが相手に伝わるところまでが採点範囲です。何を表出しようと考える部分については含みません。

7~6点と5点以下では聞き取る / 表出する内容が変わります。

7~6点では、複雑・抽象的な内容で採点します。複雑・抽象的な内容としては、「集団での会話」「テレビ・新聞の話題」「冗談」「金銭問題」などがあります。

5点以下では、基本的欲求に関する内容で採点します。基本的欲求に関する内容とは、「食事」「喉の渇き」「排泄」「清潔」「睡眠」等が当てはまります。

理解度/表出度と介助量から総合判断します。

理解/表出度では、結果的に何パーセント理解/表出したのかを評価します。うまく理解/表出できたのは10回のうち何回かと数えます。介助量では、理解/表出してもらうために、介助者が使った労力や手間を評価します。

理解/表出の介助例は以下に列挙します

  • ゆっくり話す / 話させる
  • 非常に大きな声で話す / 話させる
  • 繰り返す / 聞き返す
  • 強調する / 念を押す
  • 文字で書く(筆談)
  • ジェスチャー
  • Yes-No を用いる
  • 内容を推察する

社会的認知

⑯社会的交流

治療の場、あるいは社会生活の場において、他人と折り合っていくことになります。自分の要求とともに、他人の要求をどう処理するかということであり、相手に迷惑をかけているか、自分の言動が人にどう思われているかを感じ取る能力になります。

交流機会が何回あって、そのうち適切に交流しているのは何回かを考えて採点します。
6点の例としては、投薬により適切な交流を保っている場合や、新しい環境に適応するのに時間がかかる場合になります。

適切ではないとする行為の例を、以下に列挙します。

  • 治療を拒む
  • かんしゃく
  • 暴力
  • 悪態
  • 挨拶を無視する
  • 車椅子で暴走する
  • 過剰な泣き笑い
  • 過度に引きこもる

⑰問題解決

日常生活上の、金銭的・社会的・個人的な出来事に関して、合理的かつ安全にタイミングよく決断し、行動できるかを評価します。問題を解決できるかどうかではなく、問題を認識して決断を下し、行動できるかどうかが重要にあります。

問題に対して「的外れな行動」「危険な行動をとる」「行動しない」などを減点対象とします。

行動を開始し、継続し,自分で修正していくことです。
自分で修正するというのは,人に頼むことも含まれます。

7~6点は複雑な問題の解決を採点します。例えば、「退院計画に参加して計画を立てる」「薬を自己管理する」「対人トラブルの処理」「金銭管理」などが当てはまります。

5点以下では、日常の問題をどう解決しているかを採点します。例えば、「日常の課題への対処」「日常で起こる不慮の事態への対処」「日常で起こる危険への対処」等が当てはまります。入院生活で考えると「必要な時にナースコールが押せる」「問題が起きたときに介助を頼める」「転倒しないように指示された歩行補助具を使用して歩行する」等になります。

⑱記憶

「毎日の日課」「よく出会う人」「他人の依頼を実行する」の 3 つの課題を覚えているかで評価します。

「毎日の日課」「よく出会う人」「他人の依頼を実行する」の3つをそれぞれ「33%」と判断し、3項目の合計パーセンテージで介助量(○%)を評価し採点します。

「よく出会う人」については家族、主治医、療法士、同室の患者などが当てはまりますが、顔や自分との関係性が分かっていれば、名前は言えなくでも問題ありません。

「毎日の日課」については、起床や就寝の時間、食事の時間や場所、朝や夕に服薬する薬のことなどが当てはまります。

「他人の依頼を実行する」については、人からの頼まれたことを実行できるか、厳守するように依頼されたルールを守れるかどうかが採点のポイントになります。

3つの課題について、手帳やタイマーなどを使用して管理している場合は6点となります。

まとめ

最後までお読み頂きありがとうございます!

この記事ではADL評価法の1つであるFIM(機能的自立度評価表)についてまとめさせて頂きました!

FIMは項目数も多く、項目ごとに採点ポイントも微妙に異なるため、完全に記憶することは難しいと思います。

そのため、採点に躓いた時にスムーズに解決できればと思い、こちらの記事でまとめさせて頂きました!評価法もダウンロードできるようにしたので必要であれば是非使ってみてください!

FIMと並んで使用頻度が高いBADLの評価といえば、Barthel Index(BI)になるかと思います。このテーマについては、他の記事でまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【Barthel Index(BI)の評価方法についての記事はこちらから

リハビリくん
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参考文献

  1. 才藤栄一,園田茂,辻内和人.リハビリテーシ ョン医療における障害-ADL評価法に関連 してFIMを中心に-.リハビリテーション医学.1994年5月,VOL.31,No.5,p321-325.
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