栄養・嚥下ハブ|スクリーニング→介入→再評価を 1 本線で回す
栄養と嚥下は、「どれを測るか」より先にスクリーニング→次アクション→再評価の型を作ると、チームの迷いと事故リスクが一気に減ります。このハブでは、PT・OT・ST・看護が現場で困りやすい①低栄養リスクの拾い上げ、②嚥下のベッドサイド評価、③介入(運動・食形態・口腔・呼吸)、④モニタリングを、リンクで最短導線にまとめます。
「まず何をする?」を決めたいときは、下の早見表から入ってください。評価は条件を固定して記録できるほど再評価がラクになります。迷ったときの戻り先として、このページを使ってください。
このハブの想定読者
- 病棟・回復期・在宅で、栄養と嚥下を最小セットで回したい PT ・ OT ・ ST ・看護師
- 「スクリーニング陽性の次」「どこまでやって ST / 医師へつなぐか」に迷う方
このハブで得られること
- 栄養:スクリーニング→アセスメント→計画→モニタリングの導線
- 嚥下:観察→ RSST / MWST →食形態と介入→精査( VE / VF )の導線
- 「条件の固定」「記録の型」「よくある失敗」のチェックポイント
最短導線(まずはここ)
目的別:まず引くページ早見表
※表は横にスクロールできます(スマホでは左右にスワイプしてください)。
| 目的 | まずやる(入口) | 次に押さえる(精度を上げる) | 同条件で追う(再評価) |
|---|---|---|---|
| 低栄養リスクを拾う | 栄養スクリーニング使い分け | MNA-SF / NRS-2002 / GNRI | 摂取量(%)+体重(傾向)+機能(歩行 / ADL )をセットで記録 |
| ツールの違いで迷う | MNA-SF / MUST / GNRI 比較 | スクリーニングとアセスメントの違い | 同じツール・同じ条件(期間 / 情報源)で追う |
| 低栄養を“診断”につなぐ | GLIM 基準 | SGA / PG-SGA(がん) | 体重変化(%/期間)・摂取低下・炎症 / 疾患負荷を固定して追う |
| 嚥下の全体像を先に掴む | 嚥下評価(総論) | 嚥下評価の実務フロー | 体位・一口量・性状・観察ポイントを固定して再評価 |
| ベッドサイドでまず拾う | RSST | MWST(改訂水飲みテスト) / MWST と WST の比較 | 嚥下直後〜後嚥下の“声・咳・呼吸”を毎回同じ順で観察 |
| 主観(質問紙)で拾う | EAT-10 | EAT-10 と聖隷式の比較 | 同じ本人(同じ体調)・同じ頻度で追う(経時変化用) |
| 誤嚥性肺炎を減らしたい | 誤嚥性肺炎 予防バンドル | 口腔・体位・活動量・呼吸・水分を“セット化”して実装 | 毎日チェック( 1 行)+週 1 でミニ見直し |
栄養:スクリーニング→計画→モニタリング
栄養は「評価」で止まると成果が出ません。現場向きの順番は、①リスク抽出(スクリーニング)→②原因と重症度の整理(アセスメント / 診断)→③必要量と手段の決定(計画)→④経過で修正(モニタリング)です。まずは入口ツールを 1 つ固定し、陽性例だけ次へ進む設計にすると回りやすくなります。
「どの指標を使うか」で迷う場合は、MNA-SF / MUST / GNRI の比較から、対象(高齢 / 成人 / 入院)と必要データ(採血の有無)で決めるのが早いです。診断や多職種共有まで揃えたいときは、GLIMを“共通言語”として置くとブレが減ります。
栄養:よく使うページ
- 栄養スクリーニング(低栄養リスク)の使い分け
- MNA-SF( 6 項目 ) / MNA(本式)
- GNRI(計算・読み方) / GNRI 運用プロトコル
- NRS-2002
- スクリーニングとアセスメントの違い
- SGA / PG-SGA(がん)
- エネルギー必要量の考え方(計算式)
嚥下:ベッドサイド評価→介入→精査へつなぐ
嚥下は、まず安全確認と観察を固定し、次にツール( RSST / MWST / フードテスト等)で仮方針を作ると迷いが減ります。重要なのは、テスト単体の点数よりも、体位・一口量・性状・観察ポイントを揃えて「同じ条件で再評価」できる状態にすることです。
ベッドサイドの全体像は摂食嚥下評価(総論)、現場での分岐(どこまでやって、どのタイミングで VE / VF を検討するか)は嚥下評価の実務フローを基準にすると、チームで共有しやすくなります。
嚥下:よく使うページ
- 摂食嚥下評価(総論)
- 嚥下評価の実務フロー
- RSST
- MWST(改訂水飲みテスト) / MWST と WST の比較
- EAT-10(スクリーニング) / EAT-10 と聖隷式の比較
- 摂食嚥下の 5 期モデル
- 誤嚥性肺炎 予防バンドル
記録の型:抜け漏れを減らす最小テンプレ
栄養・嚥下は「所見が点在」しやすいので、まずは同じ順番で残すだけでも共有がラクになります。下のテンプレは、病棟・在宅で最低限そろえたい項目を 1 枚にまとめたものです(施設ルールに合わせて追加してください)。
| 領域 | 所見(例) | 介入(例) | 再評価(条件固定) |
|---|---|---|---|
| 栄養 | 摂取量(%)/体重変化(%・期間)/炎症・併存症 | 補食・ ONS 検討/食事環境調整/運動負荷の段階化 | 週 1 ミニ再評価(摂取量+体重傾向+機能) |
| 嚥下 | 観察(声・咳・呼吸)/ RSST / MWST 所見 | 体位・一口量・性状調整/口腔・呼吸の介入 | 同体位・同一口量で再評価(直後〜後嚥下の観察固定) |
| 共有 | 「何が危険サインか」を 1 行で | 誰に・いつ相談するか( NST / ST / 医師 ) | 次回の観察ポイントを 1 行で |
現場の詰まりどころ:よくある失敗と立て直し
栄養・嚥下は、情報が多いぶん「途中で迷う」ポイントが固定化しやすい領域です。下の表のどこで詰まっているかを先に特定し、条件固定と次アクションの言語化で立て直すのが近道です。
| 詰まりポイント | よくある原因 | 立て直し(最小アクション) | 記録のコツ |
|---|---|---|---|
| ツールが選べない | 対象(高齢 / 入院 / 在宅)と目的(拾う / 診断 / 追う)が混在 | 場面別フローで入口を 1 つ固定 | 「目的」と「採用ツール」を冒頭 1 行に書く |
| スクリーニング陽性の次が曖昧 | 誰が・いつ・どこへ相談するかが未定 | GLIMの要素を“そろえる”→共有 | 不足データ(体重変化 / 摂取量 / 炎症)をチェック欄化 |
| 嚥下テストの所見がブレる | 体位・一口量・水温・観察順が毎回違う | MWSTは条件固定(体位 / 量 / 観察) | 「体位」「一口量」「直後〜後嚥下の所見」をセットで残す |
| 過剰な食止め / 制限になりやすい | リスク回避が優先され、再評価の設計がない | 実務フローで“戻す条件”を決める | 「中止基準」と「再開条件」を 1 行ずつ残す |
| 誤嚥性肺炎の再発を繰り返す | 口腔・体位・活動・呼吸・水分がバラバラ | 予防バンドルでセット化 | 毎日 1 行チェック+週 1 見直し(固定) |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. 栄養は「スクリーニング」と「アセスメント」をどう使い分けますか?
まずはスクリーニングで「介入優先度が高い人」を拾い、陽性例は当日〜 48 時間以内を目安にアセスメントへ進めると運用が崩れにくいです。入口と次工程を 1 本線で整理するなら、違いの整理→GLIMの順が分かりやすいです。
Q2. MNA-SF / GNRI / NRS-2002 はどれを選べばいいですか?
対象(高齢 / 入院 / 在宅)と、採血を使うか( Alb を前提にするか)で決めると早いです。迷ったら比較・使い分けで、施設の患者層に合わせて“入口を 1 つ固定”してください。
Q3. RSST と MWST はどちらを先にやりますか?
入口としては「観察→ RSST(反射の惹起性)→ MWST(少量水の安全性)」の順にすると、負荷を上げ過ぎにくく安全です。実施条件(体位・一口量・観察ポイント)が揃うほど再評価が安定します。詳しい流れは総論にまとめています。
Q4. EAT-10 はどんな場面で使うと便利ですか?
本人の「食べにくさ」を定量化して、経時変化を追いたい場面に向きます。まず疑いを拾うだけなら、他の手段と組み合わせて使い分ける方が安全です。比較はこちらにまとめています。
Q5. 「次に誰へ相談するか」をブレずに決めるコツは?
相談先( NST / ST / 医師 )を決める前に、「不足データは何か」「危険サインは何か」「再評価条件は何か」を 1 行ずつ固定すると共有が早くなります。本文の記録テンプレを“申し送りの型”として使ってください。
関連ハブ(横断)
次の一手(行動)
運用を整える → 共有の型を作る → 環境の詰まりも点検(無料チェックシート)
無料チェックシートを開く(マイナビ)参考文献
- Cederholm T, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition – A consensus report. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2019. doi:10.1002/jcsm.12383
- Belafsky PC, et al. Validity and reliability of the Eating Assessment Tool (EAT-10). Ann Otol Rhinol Laryngol. 2008;117(12):919-924. doi:10.1177/000348940811701210
- Detsky AS, et al. What is subjective global assessment of nutritional status? JPEN. 1987;11(1):8-13. doi:10.1177/014860718701100108
- Bouillanne O, et al. Geriatric Nutritional Risk Index. Am J Clin Nutr. 2005;82:777-783. (PMID:16210706)
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


