理学療法士のキャリアアップ(キャリアパス)総まとめ|5つのルートと実践プラン
本稿は 理学療法士のキャリアアップを「到達ゴール」と「到達ルート」に分解して、最短で意思決定できるよう設計したまとめです。まずは全体像を把握し、転職や配置換えを含む進め方を軸に 6 週間の実行計画へ落とし込みます(同一タブ)。
キャリアアップの 5 ルート(結論)
- 昇進・役職化:主任→係長→科長など。評価制度と任用要件の把握が第一歩。
- 年収アップ(内部/外部):手当最適化・役割拡張・職場スライドで総額を底上げ。
- 資格戦略:認定PT→専門PT。対象領域と要件(単位・実績・筆記/口頭)を逆算。
- 大学院・研究職:臨床+研究の二刀流、または教育・研究への転換。
- 領域変更・転職:急性期/回復期/訪問など症例ポートフォリオを刷新し市場価値を上げる。
5 ルートの比較表(意思決定のための俯瞰)
| ルート | 到達期間の目安 | コスト/投資 | 期待できる年収差 | 主なリスク | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 昇進・役職化 | 1–3 年 | 学習時間・管理業務の増加 | +5–15% | 管理負荷・評価責任 | 院内で影響力を高めたい人 |
| 年収アップ(内部) | 即時〜6 か月 | 資格/委員会/当直等の追加 | +3–10% | ワークライフの圧迫 | 現職での満足度を維持したい人 |
| 年収アップ(外部) | 1–2 か月 | 転職活動の時間 | +5–20% | カルチャーフィット不一致 | 条件交渉を含めて素早く動ける人 |
| 認定PT→専門PT | 1–3 年 | 研修費・学会費・試験対策 | +5–10%(役割に依存) | 学修負担・更新要件 | 専門性で評価されたい人 |
| 大学院・研究職 | 2–3 年 | 学費・時間投資が大 | 変動(研究/教育職に依存) | 機会費用・領域適合性 | 研究/教育で価値を出したい人 |
| 領域変更(急性期/回復期/訪問 等) | 1–3 か月 | 学習/OJTコスト | +0–10%(地域差) | 適応期間のストレス | 症例ポートフォリオを更新したい人 |
6 週間の実行プラン
- 週1:現状棚卸し(得意領域・症例・役割・収入・時間)。譲れない条件を 3 つに絞る。
- 週2:院内評価制度と役職要件を入手。学修/症例の不足を洗い出し、学修計画を 90 日で作る。
- 週3:資格/大学院/転職の候補3–5件を比較表へ。必要なら見学予約。
- 週4:面談/見学でギャップ確認。役割拡張(委員会/教育/カンファ主導)を上長と合意。
- 週5:条件調整(職務内容/手当/勤務形態)。学修は週 2 コマ固定。
- 週6:意思決定→計画をカレンダー化。評価面談のアジェンダを作成。
よく検索される具体質問に答える
管理職になるには?
任用要件(経験年数・評価・研修)と「期待する役割」を書面で確認。次の半年で達成可能な行動(委員会運営・教育プログラム化・多職種連携のKPI)を上長と合意します。
年収を上げる方法は?
内部では当直・委員会・兼務手当などの加点、外部では職場スライド(訪問/急性期 等)でレンジを底上げ。総支給額と時間外の実態を比較します。
認定PTと専門PTの違いは?
認定PTは領域の基礎的専門性、専門PTは高度かつ継続的な学修と実績が要件。到達期間と更新要件を踏まえ、症例/教育/研究の三本柱で設計します。
大学院の費用と回収は?
学費・機会費用は大きい一方、研究/教育職や高度実践家としての市場価値が向上。テーマは臨床現場の課題から逆算し、共同研究と臨床アウトカムで回収します。
FAQ(よくある悩み)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
いまの職場でやれることは?
役割拡張(教育/委員会/カンファ主導)と、症例の幅を広げる配置の相談。半年で成果が可視化できる小プロジェクトを設定します。
転職と昇進、どちらを先に?
昇進の見込み(任用要件と時期)が明確なら内部で挑戦、見込みが薄い/年収レンジが低い場合は外部を並走。いずれも比較表で可視化して意思決定を早めます。
学修の時間が取れません
週 2 コマ(各 60–90 分)を固定枠にし、通勤や休憩の短時間を反復暗記に充てます。学修は「アウトプット前提(発表/教育)」が最短です。
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。臨床とキャリアの実務情報を発信し、意思決定を支援しています。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:キャリア設計、病院運営の現場実務、脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ


