【基本チェックリスト】何がわかる?【判定方法と各項目の考え方】

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フレイル・サルコペニア
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当サイト(rehabilikun blog)にお越し頂きありがとうございます。

サイト管理者のリハビリくんと申します。

この記事の内容
  1. この記事は「基本チェックリスト」をキーワードに内容を構成しています。
  2. 要介護認定の判定において、基本チェックリストが果たす役割を正確に理解している医療従事者は意外に少ないのが現状です。
  3. 25 項目から構成されるこのツールは、単なるスクリーニング検査ではありません。ICF の概念に基づいた包括的な機能評価として、要支援認定の可能性を判断する重要な指標となります。
  4. しかし、各項目の臨床的意義や、認定調査との関連性を深く理解せずに運用している現場も散見されます。
  5. 本記事では、基本チェックリストの理論的背景から実践的な活用法まで、理学療法士として知っておくべき要点を詳細に解説します。
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理学療法士として以下の経験と実績を持つリハビリくんが解説します♪

リハビリくんの実績
  1. rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設
  2. 2025 年 8 月時点:185 記事公開(月間 3 万 PV)
  3. 実務経験(医療機関、介護福祉施設、訪問リハビリ等)
  4. 講師活動(脳卒中、褥瘡等をテーマに複数回講演)
  5. 脳卒中 認定理学療法士
  6. 褥瘡 創傷ケア 認定理学療法士
  7. 3 学会合同呼吸療法認定士
  8. 福祉住環境コーディネーター 2 級
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フレイルとは?CHS基準

フレイルというと、身体機能低下を指す用語として捉えられることが多いと思いますが、実は身体的要素以外にも、心理・精神的要素、社会的要素が含まれる概念になります。

フレイルの認知度を高めるきっかけになったのが、2001年にFriedらが報告したフレイルの表現型モデルに基づくCardiovascular Health Study基準(CHS基準)になります。

このCHS基準が身体的要素に偏っていたことから、「フレイル=身体機能低下」という印象が強まりましたが、心理・精神的要素や社会的要素もフレイルの重要な構成要素となることは、理解しておく必要があります。

このような背景を考えた時に目をつけたいのはフレイル診断に活用される基本チェックリストになります。現在、国内外の多くのフレイルにおける研究でCHS基準を採用してはおりますが、前述のようにフレイルには身体的要素のみならず、心理・精神的要素、社会的要素が含まれます。

基本チェックリストは25項目からなる質問紙となります。25項目の中には、閉じこもりや認知機能、抑うつ気分に関係する質問も用意されており、心理・精神的要素、社会的要素を含めた評価を行うことができます。多要素で構成される基本チェックリストは、フレイルをスクリーニングするうえで有用となります。

基本チェックリスト作成の歴史

基本チェックリストとは、高齢者の加齢や生活の状況による心身の衰え等のリスクを早期に発見して、介護予防や健康づくりに活かすための様式になります。

この記事の目的としては「フレイルの診断ツールとして、基本チェックリストが役に立ちます!」というものになりますが、もともとはというと、基本チェックリストは介護予防事業の対象者選定のために厚生労働省が作成したものになります。

基本チェックリストは25個の質問に回答することで、『生活機能』『運動機能』『栄養状態』『口腔機能』『閉じこもり』『認知症』『うつ』についてのリスクがわかるように作成されています。

市町村の窓口で、65歳以上の高齢者から生活支援や介護予防、介護についての相談を受けると、担当者が基本チェックリストの説明や要介護認定の申請の説明などを行うことになっています。

基本チェックリストを実施し、回答結果から基本チェックリストのリスクに該当した場合、『基本チェックリスト事業該当者』として、介護予防ケアマネジメントを経て、介護予防・日常生活支援総合事業の利用に繋がるような流れとなっております。

基本チェックリストとは

基本チェックリストは、生活状態や心身の機能に関する 7つの領域、合計25項目の質問に対して「はい」か「いいえ」で回答する自記式質問票になります。

7つの領域は、『生活機能』『運動機能』『栄養状態』『口腔機能』『閉じこもり』『認知症』『うつ』により構成されています。

各質問の内容において、生活機能への問題があると考えられる場合に点数が 1 点加算され、得点が高いほど生活機能への問題があると判断することができます。

基本チェックリストの使用用途として、以下の2パターンを挙げることができます。

  1. 介護予防事業関連
  2. フレイルの判定

1つめについては、現在も介護予防に関わる様々な関係者の中で広く浸透しています。また2つめのフレイル判定についても、日本サルコペニア・フレイル学会より英訳版が示されるなど国際的にもその存在が知られるようになってきています。

そのため、介護予防事業においてもフレイル判定においても基本チェックリストは双方で今後も活躍していく評価尺度といえます。

基本チェックリスト 結果の解釈、カットオフ値

25 項目の質問に回答をしてもらった後、どのように結果を解釈すればいいのかを説明します。

介護予防事業では、領域や項目での該当状況などで対象者を選定することもあります。基本的な考え方としては以下のようになります。

  • 1 ~ 20 までの 20 項目のうち 10 項目以上に該当:複数の項目に支障あり
  • 6 ~ 10 までの 5 項目のうち 3 項目以上に該当:運動機能の低下
  • 11 と 12 の 2 項目に該当:低栄養状態
  • 13 ~ 15 までの 3 項目のうち 2 項目以上に該当:口腔機能の低下
  • 16 と 17 の 2 項目のうち 16 にいいえと回答:閉じこもり
  • 18 ~ 20 までの 3 項目のうちいずれか 1 項目以上に該当:認知機能の低下
  • 21 ~ 25 までの 5 項目のうち 2 項目以上に該当:うつ病の可能性

一方、フレイル判定の場合は領域や項目の種類などは関係なしに、25 項目のうち何項目該当したかによって、フレイルの危険性について判定します。基本チェックリストの該当項目数とフレイル判定における佐竹らの報告は以下の通りになります。

  • 8項目以上:フレイル
  • 4〜7項目:プレフレイル
  • 3項目以下:ロバスト

基本チェックリスト 質問項目

  1. バスや電車で 1 人で外出していますか
  2. 日用品の買い物をしていますか
  3. 預貯金の出し入れをしていますか
  4. 友人の家を訪ねていますか
  5. 家族や友人の相談にのっていますか
  6. 階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
  7. 椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっ ていますか
  8. 15 分くらい続けて歩いていますか
  9. この 1 年間に転んだことがありますか
  10. 転倒に対する不安は大きいですか
  11. 6 カ月間で 2 ~ 3 kg 以上の体重減少がありましたか
  12. 身長、体重、BMIについて
  13. 半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
  14. お茶や汁物等でむせることがありますか
  15. 口の渇きが気になりますか
  16. 週に 1 回以上は外出していますか
  17. 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
  18. 周りの人から「いつも同じことを聞く」などのもの 忘れがあると言われますか
  19. 自分で電話番号を調べて,電話をかけることをして いますか
  20. 今日が何月何日かわからない時がありますか
  21. (ここ 2 週間)毎日の生活に充実感がない
  22. (ここ 2 週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
  23. (ここ 2 週間)以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる
  24. (ここ 2 週間)自分が役に立つ人間だと思えない
  25. (ここ 2 週間)わけもなく疲れたような感じがする

厚生労働省が作成した基本チェックリストのpdfはこちらからどうぞ☺️

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「基本チェックリスト」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

こちらの記事で基本チェックリストにおける理解を深め、臨床におけるフレイル対策の一助として活用して頂けると幸いです。

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出典:老人ホーム・介護施設の検索は施設入居特化のクチコミ | スマートシニア

参考文献

  1. 佐竹昭介.基本チェックリストとフレイル.日本老年医学会雑誌.55巻,3号,2018:7,p319-328.
  2. 山田実.介護予防(フレイル対策)に対する評価・効果判定のアウトカム.理学療法学.第47巻,第5号,2020,p499-504.
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