【起立性低血圧とショック状態】血圧低下時の対応方法と低血圧の要因

臨床での悩み
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リハビリくん
リハビリくん

こんにちは!リハビリくんです!

   

こちらでは「血圧低下、低血圧」をキーワードに記事を書いていきます!

血圧低下は生命の維持にかかわる見逃せない徴候であり、幅広い疾患や病態が関与しています。そのため、低血圧の病態や血圧低下の要因を学び、何故血圧が低下するのかについて理解を深める必要があります。

血圧低下については、起立性低血圧などの一過性低血圧が一般的によく見られますが、重篤な場合はショックとなることがあります。ショックは非常に深刻な状態となるので、血圧が低下した時に適切な対応ができるかどうかが重要となります。

   

  • 低血圧の病態と血圧低下の要因について
  • 起立性低血圧とショックについて知りたい
  • 脈の触知による血圧の評価
  • 血圧低下時の対応方法を教えて!
  • 血圧が低下する患者のリハビリテーションはどうすればいい?

   

血圧管理はリハビリテーションにおいて、非常に重要な要素となります。そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
リハビリくん

【簡単に自己紹介】

埼玉県の医療機関で働いている理学療法士です

現在、院内にて入院患者様へのリハビリテーションと、介護保険サービスの方で利用者様への訪問リハビリテーションを行わせて頂いています!

  

主な取得資格は以下の通りになります

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級


「医療や介護に関わる人の力になるため」「患者様や利用者様に根拠のある適切なリハビリテーションを実施するため」をモットーに働く1児の父です!

  

最近気になっている資格なのですが、2023年より、日本急性期ケア協会が主催する急性期ケア専門士認定試験が実施されるようです。急性期ケア専門士は急性期ケア・急変対応におけるスペシャリストです。 状態変化の兆候をいち早く察知し、アセスメントから初期対応、 医師への報告など急性期におけるケアの実践を行えることを目指す資格となっています!

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低血圧の病態

まず低血圧についてですが、WHOが定めた低血圧の定義では、収縮期血圧 100 mmHg以下、拡張期血圧 60 mmHg以下を低血圧としております。

血圧は循環血液量と末梢血管抵抗の積により規定されますが、これらに影響を与える様々な疾患や病態が存在します。血圧が下がる要因について後述していきます。

心臓のポンプ作用低下による血圧低下

心臓が1回の拍動で、血液を送り出す量のことを「1回拍出量」といいます。そして、1分間に血液を送り出す量のことを「心拍出量」といいます。1回の拍動(血液を送り出す量)が強い程、心拍出量が増え血圧が上がりますが、反対に心臓のポンプ作用が低下すると、血圧は低下します。

心筋梗塞、心筋症、慢性腎不全、弁膜症などで心臓のポンプ作用が低下する可能性があります。

末梢血管抵抗の低下による血圧低下

末梢血管抵抗が低下する原因として、一般的にショック状態が考えられます。ショックはアナフィラキシー・敗血症性・神経原性の3つに分類することができます。

循環血液量の減少による血圧低下

体の中を循環している血液の量が減ると血圧が下がります。逆に量が多いほど血圧は上がります。循環血液量が減少する要因としては脱水、出血、貧血、低栄養などが考えられます。

神経疾患や自律神経障害の存在

神経疾患や自律神経障害により、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れる場合があります。

バランスが崩れ、高血圧になることもあれば反対に低血圧になることもあります。自律神経の乱れにより、血液の循環が悪くなることで低血圧になります。

疾患や病態としては多系統萎縮症、パーキンソン病、脊髄損傷、糖尿病性神経症などが挙げられます。

内分泌異常による血圧低下

糖質コルチコイドの代表的なホルモンであるコルチゾールは、体内に塩分を保持して血圧を維持し、血糖を上昇させる働きがあります。 このホルモンが欠乏した場合は、倦怠感が出現して低血圧・低血糖になります。副腎機構低下や甲状腺機能低下などで生じることが考えられます。

薬剤性による血圧低下

降圧利尿薬、亜硝酸薬、α遮断薬、抗精神病薬、抗うつ薬の服用により薬剤性の血圧低下をきたす可能性があります。

起立性低血圧について

仰臥位から座位や立位へと体位が変化すると、500〜800ccの血液が下肢や腹部内臓に移動し、静脈還流量および心拍出量が減少します。このような生理的変化に際して病的に血圧が低下する状態を起立性低血圧と呼びます。

起立性低血圧の定義は以下のいずれかを認める状態と定義されています。

  • 体位変化後 3 分以内に 20 mmHgを上回る収縮期血圧の低下
  • 体位変化後 3 分以内に 10 mmHgを上回る拡張期血圧の低下
  • 収縮期血圧の絶対値が 90 mmHg未満に低下

起立性低血圧そのものが生命に直接的に危険を及ぼすことはあまりありませんが、意識消失による外傷や脳虚血などの臓器障害のリスクがあります。

ショックは緊急性の高い病態

また、多くの場合で血圧低下をきたす誘因が存在し、重篤な病態の初期症状として現れショックに至ることもあります。ショックは最も緊急性の高い病態であり、ショックの定義は以下のどちらかをきたす場合と定義されています。

  • 収縮期血圧が90mmHg未満
  • 平均血圧[(収縮期血圧−拡張期血圧)÷ 3 +拡張期血圧]が 60 ~ 65 mmHg未満

しかし、健康でもこれらの基準を満たす低血圧気味の人もいれば、高血圧の方では、血圧がこの基準以上でもショック状態の場合があるため、一概に血圧だけでは判断できない場面も想定されます。

また、収縮期血圧が 90 mmHg以上であっても、急激な血圧低下をきたした場合はショックに陥ることがあります。

起立性低血圧以外に一過性低血圧を呈する病態として、食事性低血圧と血管迷走神経反射が挙げられます。食事性低血圧は、食事中や食後に消化管に血流が集中することで血圧低下をきたします。

血管迷走神経反射は、長時間の立位保持や緊張・疲労などで副交感神経が亢進し、徐脈や血圧低下をきたします。

血圧低下の原因は幅広く、病歴聴取や検査により、背景となる病態を的確に把握することが対策を行ううえで必要になります。

血圧が低下すると脈の触知ができなくなる

血圧が低下すると脈拍が弱まり、橈骨動脈で 80 mmHg、大腿動脈で 70 mmHg、頚動脈では 60
mmHgを下回ると脈の触知が難しくなります。

この所見は、即効性のある血圧低下のアセスメントとして有効です。この記事を読んでくださっている皆様の中にもご経験がある方がいると思いますが、「血圧が低下しているかもしれない!」と予見したときに血圧計を巻いて測定しても、error表示になったりして測定できない場合がありますよね。

もちろん血圧計による正確な数値は必要かと思いますが、緊急時の対応としては、まず脈の触知で即効性のあるアセスメントを行うことも重要になります。

血圧低下時の対応方法

血圧低下に気づいた時あるいは、それを疑う症状が出現した時の対応方法をまとめていきます。基本に忠実にABCDE(気道・呼吸・循環・中枢神経・体温)を評価していきます。

  1. 患者を仰臥位にして下肢を挙上する
  2. その場から離れずに重篤な病態も想定して、応援を要請して複数のスタッフで対応する
  3. 患者の脈(橈骨動脈)を触れながら声をかける。この時普通に会話ができるのか、意識がしっかりしているのか、A(気道)とD(意識障害)を確認する
  4. 胸の動き、呼吸の速さや回数、呼吸様式を見ながら普通に話せるか確認する。呼吸がハアハア言っていたり、苦しそうだったり、胸の動きが左右でおかしかったりすると、B(呼吸)の異常を疑う
  5. 橈骨動脈や末梢の皮膚などを触れ、C(循環)とE(体温)を確認する。脈の触れが弱い、脈が早い、皮膚の色や冷たくないか、冷や汗をかいてないか等がチェックポイント

上記のように初期対応を行うことで、特に緊急性の高い心原性ショックや閉塞性ショックの鑑別を行います。さらに全身をチェックアップし、出血や貧血、感染徴候の有無を評価します。

意識消失・めまいなどの神経症状がある場合は瞳孔や眼球運動、運動失調、麻痺などを評価し急性神経疾患を鑑別します。重症度や緊急性の高い病態が否定的で、初期対応で血圧が改善する場合は、一過性低血圧(起立性低血圧や食事性低血圧、血管迷走神経反射)の可能性が高いと判断できます。

血圧低下とリハビリテーション

日本リハビリテーション医学会のガイドラインでは、収縮期血圧 70 〜 90 mmHg未満を訓練中止基準の参考値としています。

しかし、血圧に関しては疾患や年齢、服薬状況などの影響を受けるものであり、個人差が大きくでるものだと考えられます。

例を出せば、普段から低血圧であり、その対象者にとっては収縮期血圧 90 mmHg 以下であることが正常といえることもありますし、高血圧の方(安静時 160〜170 mmHg)であれば 100 mmHgまで血圧が低下してしまうと危険といえるかもしれません。

このように血圧の基準値については、その対象者によって様々であるため、リハビリテーションの中止基準に関しても対象者ごとで設定するべきだと考えられます。

離床における血圧低下を予防する方法の 1 つに弾性包帯があると思います。弾性包帯については過去の記事でまとめておりますので、こちらの方もみていただけると幸いです!

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「血圧低下」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

今回は血圧低下の病態や実際の対応方法について述べましたが、血圧の正常位と管理方法については過去の記事でまとめておりますので、こちらの方もご覧になって頂けると幸いです☺️

リハビリくん
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参考文献

  1. 河野律子,荻ノ沢泰司,渡部太一,安部治彦.起立性低血圧.昭和医会誌.第71巻,第6号,2011,p523-529.
  2. 秦多惠子,船上仁範,伊藤栄次.ラットにおける起立性低血圧とストレス.心身医学.Vol.47,No.7,2007,p607-616.
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