【MNA®-SF:簡易栄養状態評価表】高齢者の栄養スクリーニング

栄養管理
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リハビリくん
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いつも当サイト(rehabilikun blog)の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。また、初めましての方はよろしくお願い致します。サイト管理者のリハビリくんです!

   

この記事は「MNA®-SF:簡易栄養状態評価表」をキーワードに内容を構成しております。こちらのテーマについて、もともと関心が高く知識を有している方に対しても、ほとんど知識がなくて右も左も分からない方に対しても、有益な情報がお届けできるように心掛けております。それでは早速、内容に移らせていただきます。

  

リハビリテーションの実施にあたって、短時間で実施することができる栄養スクリーニングの存在は非常に重要になります。しかし、栄養スクリーニングの種類については様々なものがありますので、どの栄養スクリーニングを使用すればいいのかは悩むんでしまうと思います。

    

その中でも65歳以上の高齢者に使用する場合は、本邦の場合、MNA®-SF:簡易栄養状態評価表が最も使用率が高いと考えられます。MNA®-SFは簡単な質問や身体所見から短時間で栄養スクリーニングを行うことが可能になります。

   

  • MNA®-SFとは?
  • MNA®と何が違うの?
  • MNA®-SFの評価表が欲しい
  • 評価項目と評価方法が知りたい!

   

栄養評価を実施する上で、様々な疑問を抱えることがあると思います!そんな方のために、こちらの記事を読むことで上記の疑問が解決できるようにしたいと思います!是非、最後までご覧になってください!

リハビリくん
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【簡単に自己紹介】

30代の現役理学療法士になります。

理学療法士として、医療保険分野と介護保険分野の両方で経験を積んできました。

現在は医療機関で入院している患者様を中心に診療させていただいております。

臨床では、様々な悩みや課題に直面することがあります。

そんな悩みや課題をテーマとし、それらを解決するための記事を書かせて頂いております。

  

現在、理学療法士として得意としている分野は「脳卒中」「褥瘡」「栄養」「呼吸」「摂食・嚥下」「フレイル・サルコペニア」についてです。そのため、これらのジャンルの記事が中心となっております。

  

主な取得資格は以下の通りです

脳卒中認定理学療法士

褥瘡 創傷ケア認定理学療法士

3学会合同呼吸療法認定士

福祉住環境コーディネーター2級

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として働いていると、一般的な会社員とは異なるリハビリ専門職ならではの苦悩や辛いことがあると思います。当サイト(rehabilikun blog)ではそのような療法士の働き方に対する記事も作成し、働き方改革の一助に携わりたいと考えております。

  

こちらの記事は検索ワードのランキング 2 位を獲得しております。"理学療法士は生活できない?PTが転職を考えるべき7つのタイミング"興味がある方は、こちらの記事も目を通してくれると幸いです☺

リハビリテーション×栄養

近年、リハビリテーションを行う患者における栄養評価の重要性が見直されています。リハ患者において低栄養の合併は高頻度にみられ適切なりハ処方のためにも早期の栄養スクリーニングが必要になります。

特に低栄養の病態把握はリハビリテーションの方針決定の参考となるため、低栄養の病態を捉える能力は、重要なスキルになります。

低栄養をスクリーニングおよび診断する意義は、栄養療法の対象の選別・抽出になります。また、リハビリテーションにおける栄養療法の目的は、①リハビリテーションの結果を最大化、②栄養障害に起因した有害事象の回避となります。

リハビリテーションのアウトカムとしては、退院時の日常生活動作だけでなく体重やBMI・握力・骨格筋量などの栄養指標が含まれます。さらに、有害事象の指標には、合併症の有無・在院日数・死亡率などが用いられることが多くなります。

低栄養のリスクと診断された対象者は正しく抽出され、それらは栄養療法の対象となります。リハビリテーションにおいても、入院直後の栄養状態が適切に評価されることが、その結果を変える可能性があります。

栄養スクリーニングについて

栄養スクリーニングは栄養評価の一側面として捉えることができ、栄養管理の端緒として、栄養不良患者または栄養不良のリスクがある患者を抽出することが目的となります。

一般的には、栄養スクリーニングを行った結果、更に詳細な栄養評価が必要となった対象者に対して、栄養アセスメントが実施される流れになると思います。

栄養スクリーニングでは、効率のよい評価が求められます。そのため、以下に示したような要件を満たした評価ツールが必要になります。

  1. 妥当性がある 
  2. 信頼性がある 
  3. 入手しやすい情報を利用する 
  4. 実施が容易である 
  5. 低コストである 
  6. 患者に対して非侵襲的な方法である

栄養管理を最も有効に実施するには、全患者に対
して、日常的なケアの一環として栄養スクリーニングを行うことが必要になります。

スクリーニングツールとしては、様々な種類のものが現在までに提唱されていますが、高齢者を対象とした栄養スクリーニングで有用と根拠があるMNA®-SF(Mini Nutritional Assessment-Short Form:簡易栄養状態評価表)について説明していきます。

栄養スクリーニングや栄養アセスメントについては、リハ栄養においてよく使用されるワードになりますが、両者の違いについてご存知でしょうか?このテーマについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【栄養スクリーニングと栄養アセスメントについての記事はこちらから

MNA®-SF(簡易栄養状態評価表)の概要

65歳以上の高齢者を対象とした評価尺度で、食事歴・体重减少・BMI(Body MassIndex)・疾病の状態・精神状態などから栄養状態を評価します。

入院リハ患者において、入院時評価とリハアウトカムとの関連性が報告されています。BMIの算出が困難な症例では下腿周囲長にて代用することが可能であり、身長や体重測定が困難な場面でも使いやすいツールとなります。

入院や外来リハ患者に対するスクリーニングツールとしては良いが、変化に対する反応性がやや乏しく、短期的なモニタリングや栄養ケアの効果判定には不向きともいえます。

より詳細なアセスメントを要する場面では、MNA®-SFではなくMNA®を用いれば、低栄養の病態に関する詳細なアセスメントも可能になります。

MNA®の歴史

MNA®の誕生については、21年前に国際老年学会でVellasとGuigozにより、高齢者の栄養状態を評価するツールをデザインできないかと検討されたことが始まりであり、認知機能の評価ツールであるMMSEをモデルに作成されました。

5年後に改訂版のフルバージョンが出され、これが20カ国に訳されました。これは、6つの予診項目(最大14ポイント)と12の問診項目(最大16 ポイント)があり、予診で栄養状態の善し悪しを判定し、その先の問診に進む形式となっています。

低栄養のおそれあり(At risk)

MNA®について合計ポイント数により低栄養のおそれあり(At risk)と明確に示せる点が、高齢者の栄養障害の起こるリスクを予測する指標となると評価されています。

米国の療養病床を対象とした調査では、看護師が栄養不良と判断する症例は15.2%であったが、実際にMNA®で数値化したところ、低栄養に該当する症例は 56.7%にのぼったという報告があります。このことから、MNA®を用いて栄養スクリーニングを実施することで、低栄養患者の見逃し防止に繋がることが期待することができます。

MNA®-Short Formは、6項目の質問で構成される簡易型の評価表で、専門的な知識は不要であり、4 分以内で評価することが可能であるため、施設や在宅などでも誰でも使用可能です。

MNA®と同様にポイント評価制のため、経時的に行い継続的な栄養サポートを実施できること、At riskの抽出による早期介入を可能とし、それがスコア別栄養管理に直結して栄養改善を期待することができます。

もともと欧米で開発された評価法ではありますが、本邦でも調査した結果、統計的にもMNA®とMNA®– Short Formの強い相関ありという結果になっている。

一方、MNA®-Short Formは欧米の高齢者を基準に作成されているため、日本人の高齢の入院患者に適用する場合は注意が必要になります。特に評価項目となるF1とF2に使用されるBMIと下腿周囲長のカットオフ値の検討が今後の課題と提言されております。

評価項目

スクリーニング(6項目)

  1. 過去 3 ヶ月間で食欲不振、消化器系の問題、 咀嚼・嚥下困難などで食事量が減少しているのか
  2. 過去 3 ヶ月間で体重減少の有無があるのか
  3. 自力で歩くことができるのか
  4. 過去 3 ヶ月間で精神的ストレスや急性疾患を経験しているのか
  5. 神経・精神的問題の有無について
  6. BMIの数値(BMIが測定できない場合は下腿周囲長の数値で評価する)

アセスメント(12項目)

  1. 生活は自立しているのか(施設入所や入院をしていない)
  2. 1 日に 4 種類以上の処方薬を飲んでいるか
  3. 身体のどこかに押して痛いところ、または皮膚潰瘍があるか
  4. 1 日に何回食事を摂取しているのか
  5. どんなたんぱく質を、どのくらい摂っているのか
  6. 果物または野菜を毎日 2 品以上摂取しているのか
  7. 水分(水、ジュース、コーヒー、茶、牛乳など)を 1 日どのくらい飲んでいるのか
  8. 食事の状況について
  9. 栄養状態の自己評価について
  10. 同年齢の人と比べて、自分の健康状態をどう思うか?
  11. 上腕周囲長(非利き手側)
  12. 下腿周囲長

評価用紙

MNA®-SF(簡易栄養状態評価表)の評価表をダウンロードできるようにしておきました!評価表が必要な方はこちらからどうぞ☺

短縮版ではなく、MNA®のPDFはこちらから

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます!

この記事では「MNA®-SF(簡易栄養状態評価表)」をキーワードに考えを述べさせていただきました。

今回はMNA®-SF(簡易栄養状態評価表)について述べましたが、栄養スクリーニングには他にも様々な評価方法がございます。このテーマについては、他の記事で更に詳しくまとめておりますので、こちらの記事もご覧になって頂けると幸いです☺️ 【栄養スクリーニングツールと低栄養の診断方法についての記事はこちらから

参考文献

  1. 大荷満生.高齢者の栄養評価.静脈経管栄養.Vol.22,No4,2007,p439-445.
  2. 丸山たみ,木川眞美,三浦麻子,清水進.介護老人福祉施設におけるMNA(Mini Nutritional Assessment)による栄養評価の試み.日本栄養 ・食糧学会誌.第59巻,第4号,2006,p207-213.
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