臨床手技・プロトコルハブ|手順 → 中止基準 → 記録を “ 迷わず回す ”
臨床手技は「やり方」だけ覚えても、安全と再現性が上がりません。手順 → 中止基準 → 記録の型をセットで揃えると、申し送り・カンファ・家族説明まで一気にラクになります。
このハブは、呼吸手技/皮膚・褥瘡/ポジショニング・シーティング/移動・安全管理/急性期の運用フローを横断し、必要なときに最短で引ける形にまとめた索引です。
このハブの使い方( 3 ステップ )
①やることを 1 つ決める → ②中止基準を先に確認 → ③条件固定で記録の順にそろえると、手技がブレなくなります。迷ったら「安全(中止基準)→準備→段階介入→観察記録→再評価」に戻してください。
- 手技を 1 つ選ぶ:排痰、気道管理、褥瘡予防、支持面選定、座位管理、ライン留置中の離床、急変対応など、目的を言語化してからページへ
- 中止基準を先に確認:疼痛、循環、 SpO2 、症状、禁忌を事前チェック
- 条件固定で記録:体位・補助具・介助量・実施時間・反応を「次回も同条件」で残す
最短導線の早見表
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| 領域 | まず引く(手順) | 次に確認(安全) | 記録で固定する要点 |
|---|---|---|---|
| 排痰(標準化) | 排痰(気道クリアランス)標準プロトコル | 中止基準、疲労、 SpO2 / HR、同調 | 手技選択、体位、 1 セッション量、回収(咳 / 吸引) |
| 呼吸手技 | 徒手的呼吸介助( 7 手技 ) | 禁忌・中止基準、同調、 SpO2 / HR | 体位・部位・サイクル・反応( SpO2 / 息切れ / 痰 ) |
| 気道管理(要否判断) | 喀痰吸引の適応判定(代替策と中止基準) | 適応根拠、代替策、リスク | 所見セット、実施理由、回数、分泌物、反応 |
| 褥瘡予防(Braden) | Braden スコア運用プロトコル | 弱点項目(どこが落ちているか) | 下位項目、除圧、皮膚観察、体位計画 |
| 支持面・マットレス | 体圧分散マットレス導入・モニタリング(導入後 72 時間) | 導入理由、沈み込み、ずれ、微気候、踵骨免荷 | 設定、除圧部位、皮膚所見、再評価時点、計画修正 |
| IAD 鑑別 | IAD と褥瘡の違い(鑑別) | 混在リスク、湿潤・ずれ・圧の整理 | 分布・境界・所見・ケア変更点 |
| 不可避褥瘡(UPI) | 不可避褥瘡( UPI )運用と記録テンプレ | 判定前チェック、標準ケアの証跡 | 評価→介入→計画修正の “ 証跡 ” を残す |
| 胸腔ドレーン離床 | 胸腔ドレーン留置中の離床・歩行 | 泡(リーク)・水面・症状+バイタル | 段階、回路係、観察所見、 SBAR、再開条件 |
| CHDF / CRRT 離床 | CHDF / CRRT 中の離床・運動療法 | アクセス部位・回路の張り・アラーム | 段階、アラーム種、体位 / 角度、戻し方 |
| 経腸栄養中の離床 | 経腸栄養中の離床(体位・タイミング・中止基準) | 逆流・嘔気・湿性嗄声、 HOB、ライン干渉 | 時点(注入中 / 直後 / 休止中)、体位、症状 |
| 急変対応(呼ぶ基準) | RRS / RRT の呼びどき( PT ) | 呼ぶトリガー、 NEWS2 / 変化量、 SBAR | 時刻、推移、酸素条件、介入後反応、 SBAR |
| 血圧運用 | リハ前後の血圧チェック手順 | 測定条件、体位変化、症状 | 体位・安静・カフ・タイミング・変動 |
| 血液ガス(ABG) | 血液ガス( ABG )の読み方 | 急変兆候、酸塩基の方向性 | pH / PaCO2 / HCO3- と臨床所見のセット |
呼吸・排痰(気道クリアランス)
- 排痰(気道クリアランス)標準プロトコル:評価 → 手技 → 記録
- ACBT・ PEP・体位排痰の違い(比較・使い分け)
- ACBT(ハフィング)の手順と中止基準
- 徒手的呼吸介助( 7 手技 )
- 体位ドレナージ(体位排痰法):肺葉別の体位選択
- 胸郭振動・叩打法:禁忌と “ やりすぎ ” を防ぐ
- IPV(肺内パーカッション換気):手順と中止基準
気道管理(吸引・判断と代替)
皮膚・褥瘡・創傷ケア
褥瘡領域は「評価票 → 体位変換 → スキンケア → 支持面(マットレス) → 記録」の順でつなぐと、現場で止まりにくくなります。マットレス関連記事が増えてきたので、体圧分散マットレス導入・モニタリング(導入後 72 時間)を親記事として、方式別・運用別の記事へ回遊できる入口にしています。
- Braden スコア運用プロトコル( PT 向け )
- Braden スコア別 褥瘡予防バンドル(最優先 1 手)
- 褥瘡予防ポジショニング実務|圧・ずれ・踵骨免荷
- 褥瘡予防のスキンケア|保清・保湿・保護の手順
- 厚労省「危険因子評価票」の院内運用プロトコル
-
体圧分散マットレス導入・モニタリング(導入後 72 時間)
- 支持面の選び方、導入理由、設定、再評価の見方をまとめた親記事です
- マットレス方式別・機種別の記事は、この親記事からたどる設計にしています
- IAD と褥瘡の違い(鑑別フロー)
- 不可避褥瘡( UPI )運用と記録テンプレ
ポジショニング・シーティング
- ポジショニング:基本 8 ポイントと実務フロー
- 車椅子シーティング全体像:評価 → 調整 → 再評価
- 車椅子でずり落ちる原因と対策( 3 点調整 )
- 車椅子の側方崩れ対策(骨盤傾斜)
- 体位交換は何時間おき?30° 側臥位の間隔の決め方
ライン・機器・急性期の運用フロー
循環・安全管理(中止基準・急変)
検査(最小セット)
現場の詰まりどころ|解決の三段(必須)
よくある失敗:手順だけ覚えて、安全が人依存になる
「できる手技」より先に、止めどき(中止基準)を揃えると事故が減ります。バイタルが許容でも、症状・表情・努力呼吸・同調の崩れなど “ 境界 ” の所見を 1 行で統一して追うと、判断が揃いやすいです。
回避手順:条件セット → 反応 → 再評価を 1 行で固定する
再現性は「上手さ」ではなく記録の粒度で決まります。体位・物品・介助・時間を条件セットとして残し、反応( SpO2 / 息切れ / 疼痛 / 痰・皮膚所見など)を短文で追えば、次回も同条件で回せます。
※スマホでは表を左右にスクロールできます。
| 詰まりどころ | 起こりやすいこと | 打ち手(最小の修正) |
|---|---|---|
| 「型」だけ覚える | 禁忌・中止基準を飛ばして “ やり方 ” が独り歩きする | 先に安全(中止基準)を確認し、強さより同調・観察を優先する |
| 条件が毎回変わる | 体位・補助具・介助量・時間が揃わず、再評価できない | カルテに条件セット(体位・物品・介助・時間)を固定で残す |
| 安全管理が曖昧 | バイタルは見ているが「境界」の追い方が人で違う | 中止基準に加えて、境界で観察する所見を 1 行で統一する |
| 記録が抽象的 | 「実施」だけで、次回の条件が再現できない | 何を / どれくらい / どう反応したかだけ短文で残す(回数・時間・反応) |
よくある質問(FAQ)
各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。
Q1. まず最初に揃えるべき “ 1 つ ” は何ですか?
結論は中止基準(止めどき)です。手順を増やす前に、症状・バイタル・同調の崩れなど「境界」の所見をチームで 1 行に揃えると、判断が速くなります。迷うときは 中止基準 を入口にしてください。
Q2. 吸引は “ いつやるか ” が毎回ブレます
吸引は「やり方」より適応判定 → 代替 → 必要時のみ実施 → 再評価の順番を固定するとブレが減ります。まずは 吸引の適応判定 で、根拠の揃え方を先に統一してください。
Q3. マットレス記事が増えてきて、どこから読めばいいですか?
支持面の記事は、まず 体圧分散マットレス導入・モニタリング の親記事から入ると迷いにくいです。導入理由、設定、 72 時間の再評価ポイントを先に揃えてから、方式別・機種別の記事へ進むと現場で使いやすくなります。
Q4. 褥瘡と IAD が混ざって現場が止まります
混ざりやすいので、分布・境界・湿潤・ずれ・圧を分けて整理するのが近道です。迷うときは IAD と褥瘡の鑑別 を先に確認し、ケア変更点を記録に落としてください。
Q5. ライン留置中の離床は、何を固定すると安全ですか?
「見る順番」を固定すると安全判断が揃います。胸腔ドレーンなら泡・水面・症状、CHDF / CRRT ならアクセス部位・回路の張り・アラームの順で確認し、変化があれば中止 → 切り分け → 報告へ翻訳します。該当するプロトコル( 胸腔ドレーン / CHDF・CRRT )を参照してください。
関連ハブ(横断で迷わない入口)
- 評価ハブ(評価 → 記録 → 再評価をそろえる)
- 疾患別ハブ(脳卒中/ PD /内部障害/老年症候群 などの入口)
- サイト索引(ハブ一覧)(全体の入口)
次の一手(行動)
- 体圧分散マットレス導入・モニタリングで、支持面選定 → 設定 → 再評価の流れをまとめて押さえる(マットレス親記事)
- 中止基準(線引きの共通言語)で、部署の “ 止めどき ” を 1 行にそろえる(全体像)
- RRS / RRT の呼びどきで、グレーな場面の「呼ぶ基準+ SBAR 」を固定する(すぐ実装)
参考文献
各手技の根拠・引用は、リンク先の個別記事に集約しています(本ハブは索引として運用します)。
著者情報
rehabilikun(理学療法士)
rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。
- 脳卒中 認定理学療法士
- 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
- 登録理学療法士
- 3 学会合同呼吸療法認定士
- 福祉住環境コーディネーター 2 級
専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下


