GLIM 診断の記録と介入デザイン|判定→再評価

栄養・嚥下
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GLIM 診断の記録と介入デザイン【判定アルゴリズム・記録シート付き】

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結論:GLIM は「診断して終わり」ではなく、重症度判定 → 介入方針 → 再評価まで “ 1 本の線 ” にすると現場で回ります。本ページは、スクリーニング陽性後の GLIM をアルゴリズムと記録シートで標準化し、病棟カンファ/リハ栄養カンファでそのまま共有できる形に整理する実務ガイドです。

GLIM の定義・判定枠組み(基準の考え方)は別ページにまとめています。詳しい背景や全体像は 「GLIM による低栄養診断の基本とリハ栄養」 を参照しつつ、本稿では「診断したあと何をどう記録し、どのような介入につなぐか」に集中します。

GLIM 判定アルゴリズム( A4 )  GLIM 記録シート( A4 )

5 分フロー|スクリーニング陽性から「診断→介入→再評価」まで迷わない

結論:現場で詰まるのは “ 手順 ” ではなく、期間・測定条件・病因の具体性が揃っていないときです。最初にフローを固定し、記録の粒度を統一すると、カンファでの解釈のズレが一気に減ります。

下の表を「標準の流れ」として使い、各ステップで “ 一言メモ ” まで残すと、スタッフ交代や施設間連携でも判断根拠が追えます。

GLIM を回す 5 分フロー(成人・一般臨床の実務用)
順番 やること 最低限の記録 詰まりどころ 一言メモ例
1 スクリーニング(陽性/境界を拾う) 実施日、ツール名、結果(陽性/境界/陰性) ツールが部署で混在 「病棟標準:〇〇で統一」
2 フェノタイプの確認(体重・ BMI ・筋量など) 数値+期間、測定条件(時間帯・衣服・機器・浮腫) 期間が曖昧、体重条件がバラバラ 「3 か月で − 7.7 %、午前・同秤」
3 エティオロジーの整理(摂取不足/吸収不良・炎症など) 原因を “ 具体要因 ” まで分解 「食べない」で止まる 「嚥下+食形態不一致で摂取不足」
4 GLIM 診断(フェノタイプ ≥ 1 + エティオロジー ≥ 1) 診断の一文(根拠が追える形) 結論だけ書いて根拠が残らない 「フェノタイプ 2 + 病因 1 →低栄養」
5 重症度(表現型の “ 程度 ” で整理) 中等度/重度、根拠(体重変化・ BMI 等を 1 行) 重症度が “ 未記載 ” 「根拠:体重減少率+期間」
6 介入デザイン(栄養療法 × リハ栄養) 誰が/何を/いつまでに(期限) 役割と期限が決まらない 「栄養:補食、PT:負荷調整、2 週で再評価」
7 再評価(同条件で) 再評価日、指標(体重・摂取量・活動量など) 再評価が先送り 「2 週後:体重・摂取量・歩行量」

記録シートの書き方|フェノタイプは “ 数値+期間 ”、病因は “ 具体要因 ”

結論:記録のコツは 2 つだけです。①フェノタイプは数値と期間をセットで書く、②エティオロジーは病名ではなく具体要因まで落とす。この 2 点が揃うと、重症度と介入が “ 自動で ” つながります。

フェノタイプの例は「3 か月前 52 kg → 現在 48 kg( − 7.7 % )」のように、いつからどれだけ変化したかが一目で分かる形にします。体重や周囲長は測定条件(時間帯・衣服・機器・浮腫)を短く添えると、後日の見直しで迷いません。

GLIM 記録シート:フェノタイプ × エティオロジーの書き分け GLIM 記録シート:フェノタイプ × エティオロジー フェノタイプ欄 ・体重・ BMI ・筋量を「数値+期間」で記録 ・例:3 か月前 52 kg → 現在 48 kg(− 7.7 %) ・計測条件(時間帯・服装・機器・浮腫)をメモ ・重症度の根拠は “ 1 行 ” で残す エティオロジー欄 ・摂取不足/吸収不良・炎症(疾患負荷)を整理 ・病名ではなく “ 具体要因 ” に落とす ・例:嚥下+食形態不一致、呼吸苦で食事時間延長 ・介入の優先順位が決まるメモ欄として使う 診断・重症度: 「フェノタイプ ≥ 1 + エティオロジー ≥ 1」+ 重症度の根拠を一文で記録

エティオロジーは「嚥下障害による摂取不足」「食形態の不適合」「呼吸苦で食事が進まない」「慢性疾患で炎症が続く」など、介入に直結する言葉に置き換えます。診断欄は「フェノタイプ ≥ 1 + エティオロジー ≥ 1 で低栄養あり」のように、一文で結論+根拠が追える形にしておくと、多職種の解釈のズレが減らせます。

そのまま転記できる|GLIM 記録テンプレ(カルテ補助の型)

結論:文章を頑張るより、埋める枠を固定した方が回ります。下のテンプレをそのまま記録シートやカンファ用メモに転記すると、診断から再評価まで 1 本でつながります。

ポイントは「根拠は 1 行」「担当と期限は必ず書く」です。ここが揃うと “ 介入したのに振り返れない ” が減ります。

GLIM 記録テンプレ(項目名レベル/実務用)
書くこと 例(短く) コツ
評価日 判断の “ 日付 ” 2025/12/20 再評価日もセットで決める
スクリーニング ツール・結果 〇〇:陽性 部署で統一(混在させない)
フェノタイプ 数値+期間+条件 3 か月で − 7.7 %(午前・同秤) 期間が書けないと重症度が崩れる
エティオロジー 具体要因(介入に直結) 嚥下+食形態不一致で摂取不足 病名ではなく “ 何が起きているか ”
診断 一文(結論+根拠) フェノタイプ 2 + 病因 1 →低栄養 多職種の読み違いが減る
重症度 中等度/重度+根拠 根拠:体重変化+期間 根拠は 1 行で十分
介入方針 担当・内容・期限 栄養:補食、PT:負荷調整、2 週 担当と期限がないと回らない
再評価 日付・指標・条件 2 週後:体重・摂取量・歩行量(同条件) 同条件で比較する

介入デザイン|病因(エティオロジー)から “ 優先順位 ” を決める

結論:介入は「低栄養だから栄養」ではなく、エティオロジーに合わせて優先順位を決めると設計がブレません。摂取不足が主なら “ 入る量を増やす ”、炎症・疾患負荷が主なら “ 負荷を下げつつ筋量低下を止める ” を軸に組み立てます。

下の表を “ 方針の下書き ” として使い、記録シートの介入欄に「誰が・いつまでに」を短く書いてカンファで合意すると、次回の再評価がしやすくなります。

エティオロジー別:観察ポイントと介入の方向性(実務の型)
主なエティオロジー まず見る(観察) 介入の方向性 関わる職種の例 再評価の軸
摂取不足が主体 喫食量、時間、姿勢、食形態、嚥下・口腔、食環境 食形態調整、補食、食環境整備、嚥下・口腔ケア、運動負荷の微調整 ST/看護/管理栄養士/PT・OT 摂取量、体重、活動量
急性炎症・疾患負荷が主体 循環・呼吸、疼痛、発熱、治療経過、離床可否 原疾患治療優先+早期離床、廃用予防、栄養投与の見直し(方針共有) 医師/看護/管理栄養士/PT 状態安定化、離床量、体重推移
慢性炎症が主体 長期の体重・筋量変化、活動性、増悪要因、服薬・通院状況 長期の高蛋白・高エネルギー方針+レジスタンス、増悪要因の整理 医師/管理栄養士/PT・OT 筋力・歩行、体重、生活活動
社会的要因が主体 独居、買い物・調理、経済、介助体制、サービス利用 配食・サービス導入、環境調整、支援体制づくり(役割分担) MSW/ケアマネ/看護/PT・OT 継続率(食事・サービス)、体重、生活範囲

カンファで迷子にならない|60 秒共有テンプレ(読み上げ用)

結論:議論が長引くときは、共有の順番が揃っていないことが原因です。①診断と重症度 → ②病因 → ③方針(担当・期限)→ ④再評価の順で読み上げると、短時間でも合意形成が進みます。

下のテンプレを “ そのまま読み上げ ” にすると、情報の抜け漏れが減ります。

GLIM 共有テンプレ(カンファでそのまま使う)
項目 言うこと(短く)
診断・重症度 結論+根拠 1 行 「フェノタイプ 2 + 病因 1 →低栄養、根拠:体重変化+期間」
病因(優先) 具体要因を 1 つに絞る 「摂取不足:嚥下+食形態不一致が主」
介入(担当・期限) 誰が/何を/いつまでに 「栄養:補食、ST:食形態、PT:負荷調整、2 週」
再評価 日付+指標+条件 「2 週後:体重・摂取量・歩行量(同条件)」

よくある失敗|見落とし・過大評価・記録ブレを先に潰す

結論:失敗は「知識不足」より、条件が揃っていない/原因が抽象的/再評価が未定で起きます。最初に “ NG パターン ” を表で潰すと、運用が安定します。

特に体重の測定条件と “ 期間 ” は、後から修正できないことが多いので、最優先で揃えます。

GLIM 運用で起きやすい失敗と対策(実務向け)
よくある失敗 何が起きる 対策 記録の一言
期間が書けない 重症度と経過が追えない 「いつからいつまで」を必ず記入 「3 か月で − 7.7 %」
体重条件がバラバラ 変化が “ ノイズ ” になる 時間帯・衣服・機器・浮腫をメモ 「午前・同秤・浮腫あり」
病因が抽象的 介入が決まらない 嚥下・呼吸・疼痛・環境・体制へ分解 「嚥下+食形態不一致」
担当と期限がない 実行と振り返りができない 誰が/何を/いつまでにを固定 「2 週で再評価」
再評価が未定 単発で終わる 再評価日を先に書く 「〇/〇 再評価」

よくある質問( FAQ )

各項目名をタップ(クリック)すると回答が開きます。もう一度タップで閉じます。

Q1. GLIM はスクリーニングと何が違いますか?

A.スクリーニングは “ リスクの拾い上げ ”、GLIM は “ 診断(確定)と重症度 ” の枠組みです。実務では、スクリーニング陽性を起点にして、GLIM の診断・重症度まで 1 本でつなげると迷いが減ります。

Q2. 筋肉量( FFMI など)が測れないときはどうしますか?

A.測れる範囲の情報(体重変化、 BMI、周囲長、身体機能、臨床所見)で “ いま何が起きているか ” を整理し、根拠を残すことが重要です。測定できない項目は「未測定」と明記し、次回以降に測定できる体制(機器・担当)も含めて検討すると再現性が上がります。

Q3. 介入方針はどう書けば共有しやすいですか?

A.「誰が/何を/いつまでに」を 1 行で書くのが一番強いです。病因(摂取不足・炎症など)に紐づけて “ 優先順位 ” を明確にし、再評価日とセットで記録すると、次回の振り返りがスムーズになります。

Q4. 記録が長くなってしまいます。短くするコツは?

A.根拠は “ 1 行 ” にします(数値+期間、条件の一言)。病因は “ 具体要因 ” を 1 つに絞り、介入は “ 担当と期限 ” を書けば十分です。長文より、運用の再現性が上がります。

おわりに

GLIM は、診断そのものよりも「診断 → 介入 → 再評価」を回せるかどうかで価値が決まります。まずは、判定アルゴリズムで “ 順番 ” を固定し、記録シートで “ 根拠・担当・期限 ” を揃えるところから始めてみてください。次回カンファで 60 秒テンプレのとおりに共有できれば、チームの合意形成が一段ラクになります。

参考文献

  1. Cederholm T, Jensen GL, Correia MITD, et al. GLIM criteria for the diagnosis of malnutrition – A consensus report from the global clinical nutrition community. Clin Nutr. 2019;38(1):1-9. doi: 10.1016/j.clnu.2018.08.002 / PubMed: 30181091
  2. Cederholm T, Bosaeus I, Barazzoni R, et al. Diagnostic criteria for malnutrition – An ESPEN Consensus Statement. Clin Nutr. 2015;34(3):335-340. doi: 10.1016/j.clnu.2015.03.001 / PubMed: 25799486

著者情報

rehabilikun(理学療法士)

rehabilikun blog を 2022 年 4 月に開設。医療機関/介護福祉施設/訪問リハの現場経験に基づき、臨床に役立つ評価・プロトコルを発信。脳卒中・褥瘡などで講師登壇経験あり。

  • 脳卒中 認定理学療法士
  • 褥瘡・創傷ケア 認定理学療法士
  • 登録理学療法士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 3 学会合同呼吸療法認定士
  • 福祉住環境コーディネーター 2 級

専門領域:脳卒中、褥瘡・創傷、呼吸リハ、栄養(リハ栄養)、シーティング、摂食・嚥下

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